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【vol.86】デュアル・ディグリー 北京語言大学

高田雄将さん 文学部人間学科 4年 

 2007年に開設された文学部のデュアル・ディグリーコース。これは、対外中国語教育のトップ校「北京語言大学」との相互学位認定プログラム協定により、本学と北京語言大学両大学の学士号が得られる二重学位制度です。
本コース1期生としてこの2月に帰国した高田さんは、北京語言大学において2年連続で成績優秀者に選ばれ、HSK10級も獲得。その成果が評価され、ダ・ヴィンチ賞を受賞しました。留学前は、ただ中国への憧れだったのが、1年目は文化の違い、自らのイメージとのギャップなどに苦しみ中国が大嫌いに。2年目は中国の人たちの懐の深さに気付き、日中友好に貢献する人生を歩もうと決意したといいます。
 2年間の留学は“長いようであっという間で、やはり長くそして濃かった”という充実の北京語言大学での日々、中国、そしてこれからについて話を聞きました。

デュアル・ディグリーコース: 本学入学後、本コースの授業を受けた1年次の8月上旬に5日間の夏期中国語研修を受講。その後、9月中旬に行われる選抜試験でコースの履修生を内定します。2年次・3年次は、留学先の北京語言大学で学習をし、北京語言大学で修得した科目単位が本学の開講科目としても認定されます。そして4年次は、再び本学で学習をします。卒業論文については、北京語言大学の教授が来学して口頭試問を行い、指定された卒業要件を満たすことにより、本学と北京語言大学の二つの学士号が取得できます。

★北京語言大学での2年連続の成績優秀者、HSK10級取得、そしてダ・ヴィンチ賞の受賞、大変におめでとうございました!

・・・ありがとうございます!まさしく充実の2年間でした。高校生でひょんなことから中国語の弁論大会に出て近畿大会まで出場することができたことがあったんです。それから中国語に魅了されて、中国に強いあこがれを抱くようになりました。しかし、留学の1年目に自分が目にしたのは、何人かの中国の人たちのマナーの悪さ。列には並びませんし、平気でうそをつく、そういう人たちとの出会いをきっかけに大好きだったはずの中国がいつのまにか大嫌いになってしまいました。成績も伸び悩み、完全なスランプに。2年間の留学コースに参加したことさえ後悔しました。とにかく苦しかったです。最初の1年目に中国嫌いを払拭することはできず、その分勉強にのめり込むようにしました。HSK(中国語検定試験)8級の取得を目指して、日々自分を追い込みました。一緒にデュアルデシグリーに参加した友人たちに支えられ、逆に比べては焦ってしまってと、歯車がくるってしまったような状態でした。それでも、成績優秀者となることができ、少し自信を取り戻すことができたのだと思います。友人たちのありがたさも感じられるようになりました。転機は、留学2年目に行った中国旅行でした。汽車の中で高校教師をしている方と出会いました。人情に厚く、見ず知らずの人にここまでしてくれるのかという彼の人柄に、中国の人の懐の深さを感じました。そこから中国の人たちに対する見方が変わり、パワフルで真っ直ぐな性格を愛らしく思えるようになりました(笑)。 

★留学中、デュアル・ディグリー参加者のそれぞれが中国語習得以外にも、様々な取り組みをされていたようですね。

・・・はい、菊池広幸くんはヌンチャクを習得し、テレビやラジオに出演して人気者になっていましたし、中澤宏美さんは、徳光陽子さん、日野和恵さん、古林佐知子さんと日本舞踊で老人ホームを回り、淤見貴子さんは、北京市主催の弁論大会で3位になりました。1期生は全10名で、何をするにも初めてでしたから大変だと感じることもありましたが、後輩のために自分たちが道を開くしかないというパイオニア精神もありました。手探りではありましたが、それぞれの特徴を活かしながら、中国の中に溶け込んでいきました。私は、旅行を通し自分の目で中国を見て歩くことができました。旅行記を人民日報海外版に掲載してもらったこともいい思い出になっていますし、旅で出会った人たちから多くを学びました。杭州では、保安官から「日中の歴史についてどう思う?」といきなり質問をされたり、満州、南京なども訪れましたので、戦争博物館等で、中国の人たちのいまだ消えない日本に対する憎しみや憤りも心が疲れ果てるほどに感じました。そうした経験の中で、“本当に両国の間で友情を築くことができるのだろうか”“日中友好と言うことは簡単だけれどもそのために自分に何ができるのだろうか”と思い悩むようになりました。
創立者の池田先生は何年にもわたり、中国との友好のために行動されてきました。1968年に日中国交正常化、中国の国連復帰を提言。周恩来総理、鄧小平副総理、江沢民国家主席、胡錦濤国家主席ら中国の歴代の指導者とも会見されています。中国からの初の留学生を受け入れたのも創立者でした。こうした創立者の行動に対し、”井戸を掘られた人“と敬意と賞賛を惜しまないのが中国の人たちの人柄で、100を超える中国の大学から創立者に名誉学術称号が贈られているのはその証の一つであると思います。
そうしたことに思いをめぐらしながら行きついたのは、”もっとお互いを知りたい“ということでした。友人たちにその思いを話すと、”自分ももっと日本のこと世界のことを知りたい“と賛同してくれ、中国、韓国、日本、キューバ、ロシア、カザフスタンなど6カ国13名の学生たちと1週間に1度、自分たちの国をプレゼンしあい、ディスカッションするサークルを作ることになりました。民族、国家、歴史観など語り合い、それぞれがそれぞれに対する認識を新たにすることができましたし、何より胸襟を開いて語り合った13名とかけがえのない友情を築くことができました。彼らとは今でも連絡を取り合っています。

★デュアル・ディグリーのメリットをどのように感じていますか?

・・・2つの学士号が取れることはもちろんですが、自分にとっては2年間という長期間であったことがとても良かったと思っています。1年間でも、十分に語学力は向上しますが、語学力を活かし文化や生活など、相手の懐にもう一歩深く入り込んでいくためには2年間は必要なのではないかと思います。実際、1年目に中国を嫌いになった自分も、2年目には文化の違いや国民性も乗り越えて中国で生きていきたいと思うところまで中国を知っていくことができました。また、1年目にはそれぞれ悩んでいた1期生も2年目には2期生の後輩たちを迎え、不思議と気が引き締まりました。先輩らしく頑張らなくてはと(笑)。また、創大は北京事務所があり、事務長の川上喜彦さん、嘱託職員の上野理恵さんが本当に親身になって支えてくれました。一緒にスポーツ大会で汗を流して下さったりと、デュアル・ディグリーというコース自体も素晴らしいのですが、そのコースに参加をする学生たちを支える体制がある所に、創大の温かさを感じました。

デュアル・ディグリーコース1期生28人とともに(このメンバーの中から最終的に10名が選抜され北京語言大学で学びました)

★2年間体感した中国はどんなところでしたか?

・・・中国人は報道されている以上に愛国心も強く、伸びようとする力がすごいです。自分たちに誇りを持っていますし、それと共に自分たちが他国よりも遅れているということを認識しています。日本人が失った良い意味での向上心、“追い越せ追いつけ”という勢いと情熱があり、その意識が人口13億人の巨大な国を一つにし、全力で走っているという感じです。情報統制はすごいです。インターネットも制限だらけで、アクセスも統制されています。それでも現在の特に若い人たちは他国で留学を体験するなどして多文化に触れていますし、世界を、また自国を冷静に見ていると感じました。人に関しては、もちろんいろいろな人がいますが、仲良くなったら日本人以上に義理固いです。学生たちは驚くほど勉強しています。図書館は朝から晩まで満員ですし、学生たちはどこでも暇さえあれば勉強しています。貪欲さ、ひたむきさ、真剣さ、本当にすごい国です。

★最後に、これからについて聞かせてください。

・・・中国を舞台に活躍したいです。その一言に尽きますが、進路を開いていくこと、さらに社会で活躍していくこと、まだまだ1期生として、後輩に示していかなくてはいけないことがあります。また、そうやって頑張ることが、支えて下さった創立者池田先生や北京事務所の方々、文学部の教授の方々、そして共に2年間を過ごした仲間たちへの恩返しになるのだと思います。いよいよこれからです。創立者が結んでくださった日中友好の友誼の橋を、また一つ架けられる自分に必ずなっていきます!

友人たちと万里の長城にて

タカダ  ユウスケ/ 
(好きな言葉) 希望是本无所谓有,无所谓无的。这正如地上的路,其实地上本没有路;走的人多了,也便成了路。(希望とは始めからあるものかもしれないし、ないものかもしれない。それはまさに地上の道のようなものだ。地上にはもともと道はない。歩く人が多くなれば、やがてそれが道となるのだ。) ~魯迅「故郷」より~
(性格) 凝り性。負けず嫌い。
(趣味) 陸上競技(専門種目は400メートル走)、サイクリング、中国将棋
(最近読んだ本) 「対話の文明」

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