卒業生紹介

大学での学びが外交官の基礎に
 田邊 由美子さん | 外務省 総合外交政策局国際平和協力室 主査

1、大学時代の学び

大学進学当初から就職先として外交官や国際公務員に興味があり、法学部に入学しました。しかし法律の勉強は好きになれず、弁護士を目指す友人たちが憲法や刑法・民法の議論を深めていくのを聞きながら、課題や試験をクリアできるだけの勉強をこなしていたのが正直なところです。語学は好きだったので、法学部の単位のコマ以外はネイティブの先生が担当する授業を毎日取れるようにカリキュラムを組みました。
法学部では、多くのOBの方々が講師として来訪され、お話を聞く機会があると思います。民間企業で海外事業を展開するのも楽しそうでしたが、一企業を超えて大きな目的のために世界を舞台に仕事がしたいと考えたこと、また、外交官になったOBの方々の人間的な魅力に強く惹かれたこと、さらに、春休みを使って旅行したインドに強く関心を持ち、この国との関係を築く仕事ができたら面白いのではないかと考え、外交官を目指すことにしました。

2、現在の仕事

外務省では入省時に一つの担当言語を言い渡され、その言語の専門家となることが求められます。私はインドの公用語であるヒンディー語の担当として、5年間インドで勤務し、その後東京に戻ってからも日印関係の仕事を3年間担当しました。
外務省には、上記のような二国間関係の仕事のほかに、国連など国際機関とのマルチラテラルな仕事、条約作成、世界貿易機関(WTO)や自由貿易協定(FTA)など国際経済の枠組みに関する仕事、邦人保護に携わる領事等の様々な仕事があります。外務省では、担当する言語を超えて、これらの業務に携わります。私は現在、国連平和維持活動(PKO)に関する業務を担当する課で仕事をしています。国連PKOは国連安保理の決議に基づいて各国の軍隊が任務に当たる活動ですが、その内容に関してニューヨークの国連本部に出張して議論したり、国連PKOの質を向上させるために国連を通じ途上国の部隊の訓練を支援するため、アフリカに出張したりしています。

3、法学部の学びと仕事の関係

大学では国際法ゼミを選択し、国際法の論点を楽しく学ぶことができました。外交官として働くには国際法の知識は必須なので、しっかり学んでください。
社会人になると、仕事に没頭して周りが見えなくなってしまう時があります。そんな時は、「何のため」という創立者の指針を確認し、原点に立ち返ることがとても大切です。皆さんも大学生活のなかで、自身と向き合いながら、建学の精神と「何のため」を追及していってください。

田邊 由美子 Yumiko Tanabe

  • 法学部法律学科 2008年卒業
    勤務先:外務省 総合外交政策局国際平和協力室 主査