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ニュージーランドの平和学者 ケビン・クレメンツ教授が本学で講演

2009.11.20

 11月20日(金)、ニュージーランドのオタゴ大学教授、同大学平和紛争研究センター所長、国際平和研究学会事務局長のケビン・クレメンツ(Kevin Clements)教授が来学し、総合科目「平和と人権」の授業において、「危機の時代における慈悲の境界の拡大(Enlarging Boundaries of Compassion in a time of Global Crisis)」とのテーマで講義を行いました。

 ケビン・クレメンツ教授は、これまでに、オーストラリア・クイーンズランド大学平和・紛争研究センター所長、アメリカ・ジョージメイスン大学紛争分析・解決研究所所長、イギリスに本部を置く国際NGOインターナショナル・アラート事務局長等を歴任し、平和構築や紛争解決の分野において、長い間、学問と実践の融合に取り組み、ニュージーランド、オーストラリア、イギリス、スウェーデン、オランダ政府の安全保障分野におけるアドバイザーを務め、主にアジア太平洋地域の平和と安全保障に関して、これまでに7冊の著書と150本以上の論文を著しています。
 博士は講演の中で、人間の生存を支えてきたのは、政治や権力構造ではなく、利他や共感、愛情といった慈悲の心であると強調。戦争、飢餓などの危機の時代を克服する方途として①自身の慈悲の心を認識し、育み、広げる②他者に対して開かれた心を養うことなどの重要性を訴えました。
 質問会では「なぜ核はなくならないのか」「自己満足ではなく相手のために行動するにはどうしたらいいか」「ニュージーランドでの環境の取り組み」「自分たちの生活の中で、いかに慈悲の境界を拡大していったらいいか」など活発に質問が出され、一つひとつの質問に丁寧に答えながら、「慈悲を行うためには、自分自身が体験し、実践することです。そして確固たる自分を確立していくことです。そうして初めて慈悲に基づいて行動ができるようになります。つまりまずは強い自分を作ることです。自分に対して確信を持つ、自信を持つ。そして他者との関係も持ち、共同体の中に根を張っていく。その中ではじめて他者との健全な関係が築かれる。自分に対して不安がある、人との関係に不安がある。そんな状態では慈悲の境界を拡大することはできません。利他主義にもパラドクスはあると思うが、確固たる自己を築いていくことから慈悲の境界の拡大は可能になるのではないでしょうか」また「慈悲というのは有限のものではありません。慈悲を実践すればするほど、多くの慈悲を相手からもらうことができる。自分自身の慈悲を実践できる。石油は有限。慈悲は違う。枯渇しない。途上国でのニーズ、開発援助や問題解決といった行為を通して、自分は一人ではないと感じられること、また途上国の人たちも自分たちは孤立していないと感じられる人間関係が確立できれば素晴らしいことだと思います。資源の枯渇や紛争など様々な問題はありますが、それよりももっと最悪なものは、人に対して思いやりの気持ちが持てないことです。つまり、誰も自分のことを気にかけてくれない、自分に対して誰も思いやりや関心を持ってくれないという孤立感が一番怖い。私たちというのは、他者のニーズに応えないことを通して弱くなるし、恐怖心を増します。人が最も困っている時に応えられないことで、自分を弱体化させてしまう。本当に自分が必要とされているという人間関係の中に入っていかないと大きな後悔や不安が残る。現在私はアメリカで“共同体の中での絆をどう強くしていくか”というプロジェクトをしています。分断をする人間ではなく、絆を作る人。つまり橋を壊す人ではなく、橋を架ける人をどうしたら増やしていけるかというプロジェクトです」と語り、特に原水爆禁止宣言を世に放たれた戸田城聖先生、その戸田先生の師匠である牧口常三郎先生、そして多くの青年たちと共に戦争に反対し平和を推進し続けていらっしゃる創大創立者の池田大作先生に心からの敬意を表したいと挨拶しました。

ニュージーランドの平和学者 ケビン・クレメンツ教授

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