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2016年09月26日

「創価大学北京事務所開設10周年記念講演会」が開催されました

中国・北京大学で、「創価大学北京事務所開設10周年記念講演会」が、9月26日(月)に開催されました。北京大学李岩松副学長、中日友好協会王秀雲副会長、中国国際交流協会李冬萍理事等の来賓をはじめ、本学に在職した交換教員や交換留学で学んだ学生、中国に留学中の本学学生ら約120人が参加しました。

冒頭、本学田代康則理事長が挨拶し、創立者池田大作先生のメッセージを紹介しました。創立者はメッセージの中で、「教育の進歩の成否こそが、人類社会の未来を決するといっても過言ではありません。今、地球社会の多様な課題の解決のために、時代の先頭に毅然と立ち、世界の教育の進歩をリードされゆく貴国の先生方、そして学生の皆さん方と、共に手を携え、人類の希望の創造の道を、共に歩めることを、私たち北京事務所は、何よりの誇りと思っております」と語りました。
田代康則理事長による挨拶
田代康則理事長による挨拶
来賓を代表し、北京大学の李岩松副学長が挨拶に立ち、創立者の日中友好の功績を称えるとともに、創価大学と北京大学の交流の実績について紹介し、「わが大学の『池田大作研究会』も、本年で15周年を迎えます。北京事務所と研究会が力を合わせ、両国の未来を輝かせるさらなる交流を推進したい」と望んだ。

北京大学の池田大作研究会の宋成有教授の講演では、「池田大作先生と北京大学との交流は、『最も早く』『最も高く』『最も多く』『最も長く』そして『最も感動する』交流であるといえる。1974年5月、池田先生が北京大学を訪問し、創価大学と北京大学は『最も早く』交流が始まった。その後、1980年に両大学は大学間交流協定書を正式に締結し『最も高い』レベルの交流に発展した。
池田先生は、北京大学への訪問7回、講演3回、図書寄贈も『最も多く』なっている。さらに、北京大学での講演の時間の長さは累計すると他の大学での講演と比べて『最も長く』なっている。そして、創価大学での池田先生との交流は春風の如く、創価大学はキャンパスも美しく、『周桜』『周夫婦桜』、『北京大学桜』等、友好の桜が美しく咲き誇り、毎年、桜の開花時期になると、学生達が周恩来総理を偲んで観桜会を開催し友好に包まれている。まさに、『最も感動する』交流といえる。日本には、現在700を超える大学があるといわれるが、このような素晴らしい光景が見られる大学が他のどこにあるのでしょうか。
中日両国には、『和すれば則ち共に栄え、争えば共に傷つく』といった歴史的教訓がある。中日両国は『一衣帯水』で、その関係は長期的な安定を保ち、平和裏に発展すべきものだ。それこそが両国民の利益に合致し、周辺地域と世界の平和安定にとって有益となる。
30年以上に渡り、池田先生は『日中友好の金の橋』の事業に邁進し、その意義は両国間に存在する負の要素を一つ一つ取り除いていったことにある。そして、池田先生の創立した創価大学では、学生たちが『日中友好金の橋』の重要な後継者として立派に育っている。ここにも、池田先生の日中友好への大きな貢献がある」と語りました。
 
次に登壇した北京師範大学の高益民教授の講演では、「国民国家が成立した後、キリスト教会のような超国家的な権威によるコントロールがなくなり、国家間同士の衝突、矛盾、争いが止まらなくなった。そして、二度の世界大戦のような大きな惨劇も生まれた。二度の世界大戦の後、世界の人々は平和を求めたが、異なる国同士の、異なる経済、政治、文化、宗教上の差異から矛盾が尚も重なり、争いをなくすには、容易とは言えない状況である。
もう一方では、経済のグローバル化が進み、各国間の繋がりも日増しに緊密になっていく中で、各国間の交流が増進し、世界は一つの『地球村』へと向かっている。EUも誕生し、多くの人々は新しい希望を見出だしている。世界市民の教育理論は、このような状況下で発展してきた。
我々は、特に東アジアの伝統思想から、世界市民の育成という課題に参考とすべき思想的栄養を汲み取っていく必要があると考える。例えば、儒教思想の中では、『天下』は、国家の枠を超えた概念とみなし、その為、『天下の平定』は、『国の統治』よりも高い次元とみなしている。簡単に述べると、儒教の伝統的な天下観は、国と国とが理想的な関係を求め、共に理想とする共通の価値を求めることである。
さらに儒教思想は、国と民との関係について、例えば、孟子は次のように述べている。『民を貴しと為し、社稷(国)はこれに次ぎ、君を軽と』すなわち、民が一番で、国家はその次で、君主が最後に位置するべきだと。13世紀、日本の仏教指導者である日蓮も、この思想を受け継ぎ、『国』という漢字を、国へんに『民』と書き改めた。
そして、これらの思想においてさらに重要なのは、天下の民には人類の基本倫理、共通価値の原則を順守し擁護する責任があり、それらを破るものとは闘争していくのだと指摘していることである。
本日提起したテーマの結論を簡潔にまとめると、①世界市民の教育理論は、伝統思想の中に潜む思想的栄養分を吸収する必要がある②世界市民という思想的潮流は、西洋から発しているが、東アジアの思想的資源から有益な要素を見出だしていく必要がある③東アジア思想の中には、世界市民と相通じる『民の天下に対する責任』という考えがあり、これについてはさらに学んでいく価値があると思われる」と述べました。

講演会の翌日は、本学田代理事長一行が北京語言大学を訪問し、李宇明北京語言大学校務委員会主任、張宝鈞学長補佐、曹文漢語学部長らと会見し懇談会が行われました。
ページ公開日:2016年09月26日