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2017年05月22日

本学経済学部の北政巳教授(比較文化研究所所長)がフランス学士院からの招聘で講演しました

本学経済学部の北政巳教授が、フランス・パリのフランス学士院道徳・政治科学アカデミーから招聘を受け、5月22日(現地時間)に「Japanese Ethics and Mahayana Buddhism — A Qualitative Approach(日本人の倫理と大乗仏教-定性的アプローチ)」と題して講演し、約100名の有識者が参加しました。フランス・ヨーロッパ社会がかかえる「個人と社会の関係のあり方」の方向性を仏教国日本の経験に学びたいとの趣旨から北教授に依頼がありました。講演はPPを用いて45分講演(英語)で、後の45分では活発な質疑応答(仏語か英語)が行われました。

フランス学士院はフランス市民革命後に創始された世界で最も権威あるフランスの国立アカデミーです。現在、アカデミー・フランセーズ、碑文・文芸アカデミー、科学アカデミー、芸術アカデミー、道徳・政治科学アカデミーで構成されています。今回、道徳・政治科学アカデミー主催の「自由主義経済の次世代倫理」探求プロジェクトから依頼され、世界から注目される日本社会と経済発展メカ二ズムを支える倫理の講演を北教授が担当しました。

講演では、日本人の社会・経済活動を支える倫理観の形成過程を、その多様性を容認する日本独自の大乗教文化について、仏教伝来と日本への定着、継いで固有の米作農耕文化の中で醸成された人間の連帯感の形成、さらに中国・韓国から伝来した儒教文化の影響を受けての独自な行政組織の形成と役割、幕末明治時代に輸入されたスコットランド・ルネッサンスの思想(エンジニアの思想として日本の技術教育の基となった)、さらに第2次世界大戦後に輸入されたアメリカ・ルネッサンスの思想(個人の思想・信条の自由)等を包合しながら形成された現代日本人の倫理を紹介しました。さらに島国の枠を超えて、交通・通信の発展した現代社会において、日本独自の「個人の幸福と社会の安寧を目指す大乗教のもとづく思想・哲学」の役割を強調しました。

最後に「日本人の心の中に生き続ける大乗仏教の生き方には進化( evolution)論があり、常に未来に向かって向上するエネルギーを発しています。さらに相互の協力、共存への気持ちが強いことは、大震災などの被害があっても互いに手をとりあいながら、力強く復興に進む姿から感じとれます。この日本の倫理観を後世に引き継いでいくことが世界共和・共栄に大事だと考えます」と語りました。
ページ公開日:2017年05月22日