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2017年12月22日

本学で「第81回仏教学懇話会」が開催されました

本学の国際仏教学高等研究所(所長:辛嶋静志教授)が主催する「第81回仏教学懇話会」が、12月16日(土)に本学中央教育棟で開催されました。
今回は、本研究所に客員研究員として滞在中のパキスタンのペシャワール大学名誉教授のナシム・ハン博士が、「仏教彫刻を(考古学的)コンテキストから考察する:ガンダーラのブトカラ第3遺跡の例」(Studying Buddhist Sculptures in Context: The case of But Kara III site in Gandhāra)とのテーマで講演しました。

現在のパキスタン北部に位置するガンダーラ地域では、数百の仏教遺跡が発掘され、数千もの彫刻が見つかっています。それらに関する報告・カタログが出版されている場合もありますが、まだ公開されていないものが数多くあります。
ブトカラ第3遺跡は、これまで二度発掘され、190の仏教彫刻と数多くの塔が見つかっています。ナシム・ハン博士もこの発掘に参加しており、現在はばらばらに保存されている彫刻と塔を、発掘当時の写真をもとに、考古学的コンテキストに戻して再構成し、それらの意味するところを再解釈するという試みをしました。  
このような視点は、従来の考古学・仏教美術研究には無く、ナシム・ハン博士によってはじめて検証されました。

ナシム・ハン博士は、ガンダーラ考古学で世界的に著名な研究者であり、ペシャワール大学卒業後、パリ第三(新ソルボンヌ)大学で学ばれ、ガンダーラ美術に関する論文で博士号を取得されました。ペシャワール大学考古学部を退官の後、現在は、イスラミア大学(ペシャワール)に「ガンダーラおよび仏教研究センター」を設立され、所長として、国内外で幅広くご活躍されています。また英文研究雑誌Gandhāran StudiesおよびAncient Pakistanなど、博士の出版物は多数に及んでいます。
懇話会には、ガンダーラ考古学の権威であるナシム・ハン博士の講演を聴くために多くの研究者が来場し、講演終了後には、参加者から仏教彫刻への考察を巡り多数の積極的な質問が提示され、活発な討議が展開されました。
ページ公開日:2017年12月22日