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2018年08月24日

本学で「第84回仏教学懇話会」が開催されました

本学の国際仏教学高等研究所(所長:辛嶋静志教授)が主催する「第84回仏教学懇話会」が、8月10日(金)に本学文系​C棟で開催されました。
今回は、北京大学准教授の叶少勇博士が、「羅什対龍樹:虚無論に対する論駁の違い:龍樹の『中論頌』と羅什訳との比較研究」とのテーマで発表しました。

研究の内容は、「龍樹(りゅうじゅ:150-250年頃)が韻文でまとめた『中論』(ちゅうろん)は、大乗論書の始まりです。鳩摩羅什(くまらじゅう)が五世紀初めに、この『中論』と青目(しょうもく)の注釈を翻訳し、それとともに中国における中観派(ちゅうがんは)の研究が始まりました。両極端を排した中間の立場が、中観の哲学と言われていますが、実はこれは龍樹の『中論』にはない考えです。龍樹は絶対的な否定を説き、コンプロマイズという意味の中道を説いてはいません。また、絶対的真理(真諦しんたい)と世間的真理(俗諦ぞくたい)という考えも、龍樹の『中論』や仏護(ぶつご)の古い注釈には見られず、鳩摩羅什が訳した『大智度論』(だいちどろん)・『成実論』(じょうじつろん)、インドでは六世紀の清弁(しょうべん)などの著作で初めて説かれるようになります。龍樹の考えと、中国では鳩摩羅什以降、インドでは清弁以降の中観派の考えは異なっているのです」との斬新な発表でありました。

講演に引き続き、ハーバード大学教授ミヒャエル・ヴィツェル博士なども加わって、活発な議論が行われました。
ページ公開日:2018年08月24日