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2018年09月01日 16時57分

留学日記(中国・北京語言大学 中国語DD11期 2018年9月1日③) 

7月23日
この日は『西路線ツアー』に参加しました。このツアーは敦煌よりさらに西にある遺跡を観光するツアーです。ホテルで予約し、朝の9時からバスに乗って出発しました。映画の撮影地になった『敦煌故城』や『西千仏洞』へ行き、その次に『陽関』へ行きました。
この陽関が最高でした。高校の時に習った王維の詩「西のかた、陽関を出ずれば故人無からん」の一節を思い出しました。今では烽火台しか残っていませんでしたが、朽ち果てたその姿に哀愁を誘われました。周りは茫洋と広がる荒野。関門が在りし日に心はタイムスリップしていました。ここでもかなり焼けてしまいました。水ぶくれが沢山でき、王維のように詩を即興で作りたかったのですがそれどころではなかったです笑。
その次に『玉門関』へ行きました。当時は漢代の関門で、ここから先は漢王朝の範囲が及ばないところでした。荒涼とした大地にぽつんと、しかし近づいてみるとどっしりと玉門関はありました。壁を触ってみると、風化はしているものの嘉峪関関城とは違い、崩れ落ちてはきませんでした。世界遺産の矜持といったところでしょうか。見方によってはただの大きな岩かも知れません。しかしそう私たちに見せるところに歴史の謙虚さがあるような気がし、ただただ尊敬の念を抱きました。
ここで1人の青年が私に話しかけてきました。彼は湖南省の大学に通う大学生で、私と同じくこのツアーに1人で参加しているとの事でした。このツアーの参加者の中で私だけが日本人で、少し寂しかったので、彼との出会いはすごく嬉しかったです。このあと遺跡の説明やツアーの今後の流れを親切に説明してくれました。またしても人との縁に恵まれました。
最後に『ヤルダン地貌公園』に行きました。これは新疆ウイグル自治区の近くに位置し、数十キロに渡って独特な形をした岩の景色が広がっていました。特に艦隊出海と名付けられた景色は圧巻で、戦艦の形をした岩が無数にあり、今にも進み出しそうな迫力がありました。周りはやっぱり広大無辺の大地。そこにひかれた新疆に続く1本の道。その道のど真ん中に寝てみました。陽の光に照らされたクレーターのような大地に触れてみると、地球では無く月にいるかのようでした。午後8時30分頃、北京と実質2時間の時差がある敦煌ではこの時間帯になってようやく日没の準備を始めます。地平線に沈むまでの間、湖南省の彼と一緒に太陽を使って美しい写真を撮り合っていました。そして午後9時、いよいよ日没。太陽が完全に沈むまでの間、私はずっと太陽を直視していました。地球が生きている、その感動を実感していました。
バスを出発してしばらくするとようやく空も暗くなってきました。しばらくするとバスが停まり、乗客がバスから降りていきます。何だろうと思い私も降りました。次の瞬間、私は絶句しました。空を見上げると満点の星空が広がっていました。荒野にバス1つ。星座の説明をしてくれるバスの運転手さんそっちのけで私は大自然のプラネタリウムに見入っていました。地平線から星が昇ってくるのがはっきり見えました。日本の田舎でも見ることが出来ないような、文字通り宝石箱をひっくり返したような世界がそこにありました。私を含めそこにいた全員が星空に恋をしていました。ホテルに帰ったのは午前1時すぎ。ベッドに入ってからも余韻に浸っていました。
7月24日
いよいよ北京に帰る日を迎えました、とはいっても電車は夜の9時なのでかなり時間が余った私は2日前くらいに今度は敦煌の東にある遺跡を見に行くツアーに申し込んでいました。出発は朝の7時。案の定寝不足の上、体調が悪く、ホテルの人にツアーに参加しない旨を伝えたのですが、ホテルの人から逆に叱られ、ヨタヨタ状態でツアー用のタクシーに乗らされました。しかもチェックアウトの際デポジットとして帰ってきたお金に誤りがあったとして、タクシーの中で全額返金させられ、半ばキレながらツアーは始まりました笑。ツアーといっても私しかおらず、タクシーのおっちゃんとの2人旅でした。ドライヤーのような熱風を浴びながら2時間ほど寝て着いたのは『楡林窟』です。莫高窟よりは規模が小さいのですが、ここでもさまざまな壁画や仏像が見られました。壁画、仏像ファンになったかもしれません笑。
次に『鎖陽城』に行きました。かつての城壁が点在しており、シルクロード時代の面影がありました。バギーに乗って観光したのですが、私以外はご老人しかおらず、ずいぶん可愛がってもらいました笑。ある老夫婦の方々から中国語を褒められたのでうれしかったです。ここでも水ぶくれがさらに悪化したのは言うまでもありません笑。
ツアーも終わり、午後5時ごろ駅に着きました。早く着きすぎたのでぼーっとしていたところ、聞き覚えのある声が聞こえました。振り向くとなんと鎖陽城で出会った老夫婦がいました。彼らは息子夫婦とともにこれから新疆に行くのだそう。ひとしきりおしゃべりをしたあと、双方名残惜しさを抱えて私は一足先に電車に乗りました。最後まで人との縁を感じました。帰りは20時間かけて北京に帰ってきました。
この旅を通じて学んだことは、世界って広い!ということ。自分が今まで生きてきた世界がいかに小さかったのかを思い知らされました。また今回多くの中国人の方々との出会いに恵まれました。外国人である私を彼らは温かく包み込んでくれました。最高の旅となりました。この恩を、また知らぬ誰かへ「恩返し」できるように、この経験を忘れず生きていきたいです。
H.A.
ページ公開日:2018年09月01日 16時57分
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