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2018年12月20日

本学文学部の坂井孝一教授の著書『承久の乱―真の「武者の世」を告げる大乱―』が出版されました

本学文学部の坂井孝一教授の著書『承久の乱―真の「武者の世」を告げる大乱―』が、12月20日に中公新書より出版されました。

本書は2016年の呉座勇一著『応仁の乱』。2017年の亀田俊和著『観応の擾乱』に続く、中世の乱シリーズの第3弾として刊行されます。
1219年、鎌倉幕府三代将軍・源実朝が暗殺されました。朝廷との協調に努めた実朝の死により公武関係は動揺。その2年後に承久の乱が勃発しました。朝廷に君臨する後鳥羽上皇が、執権北条義時を討つべく兵を挙げたのです。しかし、義時の嫡男である泰時率いる幕府の大軍は京都へ攻め上り、朝廷方の軍勢を圧倒しました。後鳥羽ら三上皇は流罪となり、六波羅探題が設置されました。公武の力関係を劇的に変え、中世社会のあり方を決定づけた大事件を読み解く一冊です。

出版にあたって坂井教授は「承久の乱は、高校の日本史の教科書にも太字で載っている鎌倉時代の重大事件です。ただ、その歴史的実態については思いのほか知られていません。とくに、乱を起こした後鳥羽上皇(院)に対する誤解は甚だしいといえます。無謀にも幕府を倒そうと企てて失敗し、島流しになった時代の流れが読めない朝廷の権力者、多くの方が抱く後鳥羽のイメージとはこのようなものではないでしょうか?しかし、実態は違います。後鳥羽はマルチな才能に恵まれたバイタリティーあふれる稀代の帝王だったのです。その後鳥羽が、なぜ乱を起こすに至ったのか。そこには時の鎌倉幕府の将軍、源実朝の存在が大きく関わっています。私は4年前に刊行した著書で、実朝に対する800年来の誤解を解くことに努めました。新著では、その実朝が暗殺されるという想定外の事態が起きた時、後鳥羽と幕府はどのような選択を迫られ、どのような決断をしたのか、明らかにしようと心がけました。承久の乱とは、彼らの選択と決断が複雑に絡み合うことによって勃発した大乱でした。そして、幕府の勝利によって歴史は劇的に転回し、『真の武者の世』が到来したのです」と述べました。

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ページ公開日:2018年12月20日