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2019年06月03日

フィリピン・ネグロス島サトウキビ労働者組合のジョン・ミルトン・ロサンデ氏を招いて、法学部講演会を開催しました

5/15(水)にフィリピン・ネグロス島サトウキビ労働者組合のジョン・ミルトン・ロサンデ氏をお迎えし、法学部講演会を開催しました。明治学院大学国際平和研究所研究員の勅使川原香世子氏より、フィリピン国内で起こる人権侵害問題の背景や経緯を説明していただいた後、ジョン・ミルトン・ロサンデ氏より「土地と労働をめぐる地主と労働者の紛争〜サトウキビ農園の事例から〜」というテーマで講演を行っていただきました。
<講演内容抜粋>
マルコス大統領打倒後、1988年にアキノ政権の下で出来たのが農地改革の法律です。この法律には地主に有利な条項がたくさんありました。具体的には、農民が土地を手にすることができないような仕組みとなっていて、小作人は結局小作人のままということが現在まで続いています。また、多国籍企業と契約することが農地改革の条件にあげられ、契約価格が15年据え置きになってしまっている上、企業と労働者との契約年数が書かれていない(契約書には空欄となっている)、企業側に労働者の契約書サインがあるため、勝手に契約年数を決められてしまう可能性がある等、不当な契約が取り交わされています。さらに、プランテーションで働けない時期は、その土地に穀物を育てていく以外、生きていく道がないにも関わらず、それが契約違反となるケースもあり、罰金を課せられ債務奴隷を生み出すことに繋がっています。そのような現状を訴えながら、我々は人権を守るために闘っています。
ネグロス島での深刻な人権侵害の現状に学生一同、驚き、人権保護の重要さをあらためて確認しました。わたしたち日本人も消費者として、日本企業も関わっている低賃金によって支えられている安いバナナや、砂糖を購買していることから、深く結びつくテーマであることを理解することができました。

講演終了後には活発で熱心な質疑応答がありました。

Q1. 地主が政治家になるパターンが多いのに、そもそもなぜ農地改革の法案が通ったのでしょうか?
A1. 包括的農地改革法は、メンジョーラ虐殺のあと、コーリー・アキノ政権の1988年に制定されました。当時、農民たちの強い要求がアキノ大統領に法の制定を強きました。農民たちの農地改革への要求はとても強く、また、広がりを見せていたので、政府は農民たちの抵抗が全国に広がることを恐れました。

Q2. サトウキビ農家とバナナ農家、コメ農家の状況は同じなのでしょうか。
A2. さまざまな状況があります。米の農業労働者の所得は収穫の一部を現金で受け取ります。サトウキビ畑、バナナの農業労働者の所得は現金で支給されます。サトウキビ畑の労働者は、もっとも悲惨な状況にあります。

Q3. ジョンさんはなぜ、命の危険を冒してまで、農家の方たちのために戦うのですか?
A3. 私は、抑圧や犠牲といった彼らが経験していることと同じことを感じています。おそらく、それは、自分が製糖工場で経験したものと同じです。だから、彼らの権利が守られるように、危険があっても立ち向かいます。

Q4. 殺される可能性があるのにフィリピンへ戻る理由は何ですか?
A4. 自分の家はそこにあります。よりよい生活のための私の闘いもそこにあります。私の友人や家族、同僚はそこにいて、よりよい生活と自由な社会のために闘っています。私の一つの選択は、彼らと一緒にいて、平和のために闘うことです。

Q5. 他国からフィリピン政府に対して、政府が行なっている農民への殺害行為について批判は寄せられているのでしょうか?
A5. はい、あります。カナダやオーストラリアなどです。それらの国は、昨年、EJKに関する声明を出しました。
ページ公開日:2019年06月03日
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