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2020年05月25日 09時00分

留学体験(岸波秀美さん・ダカール大学)

留学の目的、その国や大学を選んだ理由

 私がダカール大学を選んだ理由は大きく二つあります。
 一つ目は、創価大学入学前から、「アフリカとのつながりが欲しい!」との一心で、進路を考えていたことです。確かにアフリカは日本と比べて、貧しかったり、治安も悪かったり、政府も安定していなかったりと、様々な問題は数多くあります。しかし、私は日本の都会の社会人の憂鬱そうな顔、自殺率やうつ病率の高さにずっと疑問を感じ、日本で過ごしていていました。中学・高校生の時にも、ひょんなことから「アフリカはとっても明るい国!生命力あふれる国!」ということを知る機会があり、大学進学では「アフリカと繋がれる大学」を念頭に置いて大学受験を考えていました。
 二つ目に、「大学在学中に必ず、英語・フランス語話者になる。」との決意をして創価大学に入学をしたからです。フランスの文化にも子供のころから興味があり、高校生の時にはフランス語を何度か独学しようとしていました。しかし、毎回気が付いたら挫折していたため、「交換留学の条件であるフランス語検定を目指すこと自体にも価値があるのでは?」と思い、一年生の時から目指していました。
総じて、アフリカにあるセネガルで、フランス語の勉強ができるというのは、まさに自分の使命を果たせる場所だと感じ、この留学先を選びました。

国と大学の概要、特色

セネガル料理・チェブジェン
 セネガルは、アフリカの最西端にある、元々フランス領地だった国です。また、セネガルは皆さんが想像するようなアフリカ、いわゆる”貧困、紛争、飢餓“といったものとはかけ離れた、ピースフルな国だと言えます。
 ダカール大学(正式名:Université Cheikh Anta Diop de Dakar)は、数々の著名人や大統領を輩出してきた、セネガルの中でトップクラスの大学、“日本で言えば東大”のような大学でした。

現地での活動状況

ホストファミリーと
①授業について
 この交換留学のプログラムでは、IFE(Institut de Français pour Etrangers )という、フランス語を習得したい外国人学生用に構成されています。中には、フランス語を学術レベルに引き上げたいという現地セネガル人もいるので、セネガル人との交流もできました。
授業の内容は、主にフランス語でフランス語を学ぶ事です。フランス語でフランス語の文法、表現方法、エッセイの構成方法、口頭練習、などを勉強しました。また、選択授業として、アフリカの文明の歴史や、アフリカ文学、英語仏語翻訳の授業も取っていました。しっかりとしたフランス語を学べるのはもちろんのこと、セネガルが経験してきた植民地時代の歴史や、セネガル固有の生活様式や文化を知れる文学作品を学べるということは、この留学ならではのものだと思いました。

②ホームステイ
 元々、交換留学で用意されていた宿泊先は、“ゲストハウス”と呼ばれる、大学教授が主に住んでいる、きれいなマンションのような場所でした。しかし、現地の人や、現地日本人に相談すると、「せっかくなら、現地の人たちと同じ生活をして、無理やりでもフランス語を話す環境にいた方がいいんじゃない?」とのことで、現地の知り合いのつてでホームステイ先を紹介していただきました。
 私がホームステイした家庭は、息子3人を持つシングルマザーの家庭でした。このホームステイでラッキーだったことは、この家庭ではフランス語しか話さないことです。セネガルでは公用語がフランス語であるものの、一般的にはウォルフ語が現地の人々の間では話されています。そのため、家族間の会話がフランス語であるのはいいリスニング練習にも、スピーキング練習にもなりました。

留学で得た成果

「一緒にご飯食べない??」と初対面で誘ってくれた青年たち
 私が留学中に最も成長できたことは、「どんなに拙くてもいいから、自分の言葉で表現すること」です。
 私がフランス語を習得したい理由の一つとして、「フランス語圏文化に染まってお喋りさんになりたい!」ということがありました。なぜなら、私は外国語だろうと日本語だろうと、「自分の言葉にして伝える」ことがとても苦手だったからです。無意識に「おとなしく、静かであることは美」「言われたことにきちんと従うことが優秀」という、固定概念が小さいころから備わっていました。しかし、大学生になり、授業や部活などの機会において、「自分自身のことを言語化できないこと」にとても歯がゆい思いをしました。フランス語を話す、フランス人やセネガル人はとてもおしゃべりであることを知った私は、「フランス語習得を通して、この人たちみたいになりたい」と思うようになりました。
 実際に、最初の3か月は泣きながら学校に通うこともありましたが、おしゃべりで優しいセネガル人に囲まれて、フランス語を勉強したことによって、「自分のありったけの単語を引き出して、口に出してみる」ということが身に付きました。特にセネガル人は、フランス語は第二言語に近いため、私が下手なフランス語を話しても、寛容に受け入れてくれました。日本に帰ってからも、今までは全く自分のことを家族や友達に話さなかった私ですが、今ではいかに出来事を面白く、わかりやすく、伝えられるかを楽しめる自分になりました。
(ちなみに、セネガルにはうつ病患者がいないというのは、悩みも嫌なことも、全て家族に話すから、だそうです。)

今後について

 私はこれまで、人生の節目に「アフリカとのつながり」を求めて意思決定をしてきました。アフリカとのつながりを持った今、次なる目標は「日本とアフリカをつなげる」ということです。私が一番関心を向けているのは、「アフリカに興味がないマジョリティに向けて、いかに魅力を感じてもらうか」という課題です。
 南米大陸と同じくらいの距離にも関わらず、圧倒的に南米文化の方が親しみがあります。黒人差別や植民地支配の歴史が数多くあるアフリカ大陸に、世界が注目し、尊重し合えることが、世界平和の第一歩になると信じています。今後、世界の情勢や課題を勉強しつつ、日本におけるアフリカのブランドアップを念頭に置き、自分のキャリアを形成していきたいです。

後輩へのアドバイス

 私は最初、留学条件のフランス語検定3級に受からず、あきらめかけた時期がありました。しかし、「どうしても留学したい!」「やっぱりアフリカで過ごしてみたい!」という意思を曲げられず、二年生の夏に英語にシフトし、スコアを上げるために猛勉強しました。結果的にはフランス語検定の条件が繰り下がり、当時自分の持っていたフランス語検定4級で交換留学の条件をクリアすることになりました。一見遠回りのようにも、ラッキーのようにも見えるエピソードですが、留学を目指したおかげで英語もフランス語もしっかりと勉強する期間ができました。
 「留学したい!」という意思のもと、行動してきたことや努力してきたことは、“留学できたかどうか“という結果だけでなく、その間に身に付けた自分の価値観や目的観こそに報われると思います。留学前に辛かったことは、必ず留学中にも訪れます。今感じる不安や苦労は決して無駄ではありません。みなさんの今の努力が、どんな形であれ、必ず結び付いていくことを信じて、これからも突き進んでください。
 
(留学期間:2019年11月~2020年3月)
ページ公開日:2020年05月25日 09時00分



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