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2021年01月28日

心の不調を整える術

創大Lab編集部

木村 幸代 講師 看護学部 看護学科
(広報誌「SUN」2021年1月号:「学問探訪」の掲載記事より)

「こうでなければならない」という考えにがんじがらめになったら、 一呼吸置いて考える。すると、スッと心が軽くなる。

ー コロナ禍で心の不調を感じている人も多いのではないでしょうか。日常を取り戻すまでもうひと踏ん張りするために、今回は普段とは違う状況下でのストレスへの対処法を「精神看護学」を研究されている看護学部講師の木村幸代先生に教えていただきます。

「日本精神科看護協会では精神科看護を『精神的健康について援助を必要としている人々に対し、個人の尊厳と権利擁護を基本理念として、専門的知識と技術を用い、自律性の回復を通して、その人らしい生活ができるよう支援することである』と定義しています。つまり精神看護学とは、心の健康問題を抱えている人々がその人らしさを取り戻して、その人の望む人生を再び歩めるように支援する看護実践を研究する学問だと思います」
 心の健康に不安を抱く人が少なくないなか、コロナ禍においてはさまざまな心の健康問題が懸念されています。
「実際に私の講義を受講する学生からも、オンラインという状況になじめず、学習面だけでなく生活面での不安から心身に不調を感じているという話を聞きました。そうした学生には、『一呼吸置いて考える』ようにアドバイスをしています。コロナ禍でルーティンが崩れてしまい、身動きがとれなくなってしまったときは、『こうでなければならない』という考えにがんじがらめになっている場合が多いのです。だから、まずは身近な家族や仲間と話して、一呼吸を置くことです。話をすると自分の置かれている状況が俯瞰でき、『コロナ禍だから、それはできないよね』と考え整理できるようになります」
 話を聞いて人に寄り添うことは、“傾聴技術” という精神看護学の基本です。専門家でなくても、信頼できる人との会話で心は癒やされます。
「話を聞く方もアドバイスなど何かをしてあげなくちゃと考える必要はありませんので、周囲に悩んでいる方がいたら積極的に会話をするといいでしょう」
 精神科領域において心理社会的療法の一つに作業療法というものがあります。家庭でできる心のストレス解消法として、作業療法を応用することも効果的です。
「自粛期間中に『料理やものつくりにはまった』という人はいませんか? それは目の前の作業に集中することで悩みから解放されたり、できあがることで達成感を得られたりと、“動の休息” を自然にとっていたのです。ほかにも自粛期間中に散歩やキャンプなどで、豊かな自然に目を向けたり、漫画や映画やドラマに熱中したりといったことも同様です。“休み”というと何もしない “静の休息” を皆さん考えがちですが、積極的に動いて楽しいことをする“動の休息” で一呼吸を置くことが、ストレスを司る脳の休憩には効果的です」
 心の不調を抱えている人が周囲にいたら、「これ面白いから一緒にやってみない?」と声かけをしてあげるといいでしょう。
「皆さんに改めてお伝えしたいのは、コロナ禍で普段通りできないことが生まれるのは当然だということ。そんなときは、できない自分を責めるのではなく、受け入れて、ご自身のメンタルをしっかり守っていただきたいと思います」

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ページ公開日:2021年01月28日


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