創価大学ニュース「SUN」100号 2019 Winter

08 Soka Univ. News インタビュー 社会正義を守る 池本優子 弁護士 Yuko Ikemoto 実力をつけて 社会に出るために  私が弁護士を志したのは、ある二つの経 験から、実力をつけて社会に出たいと思った ことがきっかけでした。  元々私は官僚になろうと思い、国家公務員 試験を受けていました。ペーパー試験は通っ たものの、官庁訪問といういわゆる霞が関の 省庁での就職活動において、全く歯が立たな い挫折を経験したことがその一つです。何か 目に見える形で実力をつけたいと痛切に感じ ました。  もう一つは、通信教育詐欺にあった小学校 時代の友人から被害相談を受けた経験です。 犯人への請求権があっても、実際にはどうす れば騙されて奪われたお金を取り戻せるの か。勉強したことと、その現実化との間には大 きな隔たりがあると感じました。たくさん勉強 したにもかかわらず、目の前の人を救えない。 この隔たりを埋めるものが実力であり、それ は弁護士資格だと思うに至りました。 大学の歴史に刻んだ 新たな1ページ  私は、創価大学法科大学院(以下、法科大 学院)の第1期生で3年コースでした。2年 コースもあり、その人たちは1年先に司法試験 を受けることになります。その先輩達の背中 を見て、私も今ここで創価大学の新たな歴史 を開いていくんだとの思いを強くしました。  法科大学院の特徴としては、第1期生とい うこともあり自治的で、例えば寮の規則など も学生に自由に決めさせてくれました。逆に 何でも自分たちで決めなければいけないとこ ろもあって、大変なこともありましたが良い経 験になりました。教職員は、どんな学生もほ うっておかないという信念に溢れた方々でし た。私自身は修了後、チューターという立場で 法科大学院に教えに来るようになり、先生方 が学生一人ひとりの細かな状況を共有し、課 題の解決を図るなど、陰でこういう努力を尽く して私たちを支えてくださっていたのだと、後 になって初めて知りました。  法科大学院での3年間は、自分の頭で考 える訓練をひたすら続けたという印象です。 例えば民法の要件事実論の授業で「こん にゃく要件事実」との表現・例えを使う先生 がいました。条文自体は変わらなくとも、時 代が変われば解釈も変わり、それが紛争解 決への道にもつながると。在学中の学びが 活きていると感じられるのはそういうところ ですね。  現在の私の業務ですが、一般民事といっ て、基本的に何でもこなしています。交通事 故から債務整理、離婚、相続、中小企業関係 の契約問題など様々ですね。その中で今後 の目標として掲げているのは、普通の人たち が普通の社会に生きていて直面するような 問題を、一通りなんでも受け入れ、そして解決 を図れる、そういう力をつけていきたいと 思っています。 創価大学法科大学院の第1期生として弁護士になった池本 優子さん。その自負をもって、日々様々な紛争解決に当たって います。 Prole 2007年創価大学法科大学院修了。司法試験合格 2008年弁護士登録(東京弁護士会) 2008年東京センチュリー法律事務所入所 事務所合併等を経て、現佐藤新総合法律事務所勤務 日弁連交通事故相談センター本部 相談・示談あっせん担当弁護士 日本法社会学会会員 教わったのは 定型的な公式ではなく、 自分で柔軟に 考えられるように なること それが弁護士の 実務にも直結 For the Benefit of Society - Yuko Ikemoto ※一部敬称略

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