創価大学ニュース「SUN」107号 2020 Autumn

「すべての人に健康と福祉を」 【SDGs3】 【SDGs10】 「人や国の不平等をなくそう」  勤務先の病院は新型コロナウイルス感染症の患者さまをい ち早く受け入れ、私の所属する救急外来には感染が疑われる 患者さまがたびたび搬送されます。受け入れ当初は情報が錯綜 しており、治療に携わる際は常に恐怖と隣り合わせでした。今で は経験の蓄積とともに感染対策や治療のルールも定まり、患者 さまに安心していただける体制が整っています。 コロナ禍で改めて実感したのが、医療体制は社会全体がつ くっていくものだということです。感染拡大を防ぐには、手洗い やマスクの着用を徹底し、自分自身を守る一人ひとりの行動が 不可欠です。また、患者さまのなかには新型コロナウイルスに 感染したことを知られたら周囲に冷たい目で見られるから診察 09 正しい理解が、医療の不安を和らげる。  新型コロナウイルス感染症による危機的状況のなかで、どん な患者さまの人生背景も受け入れ、医療を必要とされている方 に全力を尽くすというのは、医療従事者としての根本になると 日々の学びのなかで感じています。私が今心がけているのは、コ ロナ報道の正しい受け止め方を伝えること。日々感染者数を気 看護学部3年 ひろい 田村 洋 さん にされている方が多くいらっしゃいます。しかし、検査数も日々 増減しており、何よりも感染者の内訳が若者が多いのか高齢者 が多いのか、感染経路不明者が多いのかなどが重要です。そう した正しい理解を促し感染症に対する過剰な不安を和らげる ことも、医療従事者を志す者として大切なことだと思います。 医療体制は、社会全体でつくっていくもの。 に来づらかったと話す方もいました。医療従事者としては、一 人ひとりの行動や社会の差別の目が、医療に影響を与えている と感じます。国際医療研究センター病院には、外国の方、ホー ムレスの方、セクシャルマイノリティーの方など、さまざまな背景 を持った方が来院します。新型コロナウイルス感染症に限らず、 そういった方々が差別による重圧から受診が遅れ、病気が悪 化してしまったというケースが本当にたくさんあります。SDGs のゴール3「すべての人に健康と福祉を」を実現するためにも、 先入観ではなく、正しい知識を持って一人ひとりの差異を認め 合い、みんなで温かい声をかけられる社会を目指していきたい と思います。 看護師 国立国際医療研究センター病院 勤務 高橋 友里奈 さん 看護学部 2017年卒業 43期生 療 Focus 創大 1 Action for  FUTURE

RkJQdWJsaXNoZXIy NDU4ODgz