創価大学ニュース「SUN」117号 2023 Spring

117 創価大学ニュース 2023 Spring “副専攻”で描く、 可能性のミライ 【 Focus創大 】 [ スペシャル対談 ] 山﨑 めぐみ 原田 曜平さん 准教授 情報過多社会で、学生一人ひとりの 未来の可能性を広げるための学びと支援とは。

01 社会の多様化のニーズをキャッチしながら、創価大学の教育制度は年々進化を遂げています。 一方で、学生自身の学びに対する意識は、どのように変化しているのでしょうか。 今回の対談では「Z世代」をはじめとする数々の新語を生み出してきた、 マーケティングアナリストの原田曜平さんをゲストに迎え、本学の学習支援制度の策定を担当してきた 山﨑めぐみ准教授と、若者を成長へと導くために大学教育が押さえるべきポイントを一緒に考えていきます。 情報過多社会で、 学生一人ひとりの未来の可能性を 広げるための学びと支援とは。

山﨑:社会が大きく変化するなかで、 若者たちの行動原理は変わってきてい ると思います。原田さんは、現代の若者 の学びに対する潜在ニーズにも変化は あるとお感じですか? 原田:就職活動を行ううえで企業のイ ンターンの重要度が増し、早い学生で は大学1年の終わりから参加していま す。そうした早期選考の影響で、学生の 「学ぶ」という意識も就職に役立つこと にばかりフォーカスし、純粋に学びを 求める雰囲気がとても少なくなっている 印象があります。 さらに言えば、デジタル世界では若者 に提供される情報は知らず知らずのうち にフィルタリングされています。TikTok を見ても、Web記事を読んでも、基本 的に「その人が見たい情報」が自動的 に提示される確率が高くなっています。 だから極端な話をすると、1日中好きな 情報だけに触れることになり、それは 「学びたい」という意欲をすごく削ぐ状 況だと感じています。 デジタル社会は多様な情報が得られ、 価値観が多様化すると思いきや、意外 と視野が狭くなっている学生が増えてい る印象があります。非常に近視眼的に なっていて、就活にわかりやすく直結し ているものを選ぶ傾向にある。例えば 文学部でいろいろな文献を通じて小説 家の哲学に触れたりすることが、人生に とても役に立つという考えには至らない のです。 情報過多なデジタル社会だからこそ、視野が狭くなっている学生も増えている。 02 INDEX Special Interview スペシャル対談 【 創価大学 教職大学院 】 【 マーケティングアナリスト 】 山﨑 めぐみ 原田 曜平さん はら だ よう へい やま さき 准教授 SUN117 2023 Spring 【表紙写真】 満開の桜に囲まれ、創大門から中央 教育棟へと向かう学生たち。コロナ禍 から3年、学生たちが桜の下で笑顔を 見せる姿には、苦難を乗り越えた誇ら しささえ感じる。 今号の取材・撮影は、感染防止対策を徹底した うえで行っています。 創価大学ニュース 2023 Spring No.117 [ スペシャル対談 ] [ Focus創大 ] P.01 P.07 情報過多社会で、学生一人ひとりの未来の可能性を 広げるための学びと支援とは。 ありがとう P.18 子から親へ、親から子へ 理工学部 共生創造理工学科 橋本 七香さん 理工学部 共生創造理工学科 小山 黎一さん キャンパスニュース P.19 卒業生の進路紹介 P.13 P.05 創価大学・創価女子短期大学 学長ヴィジョン Over the border 【イタリア】岡村 祐介さん P.15 学問探訪 【 子育て課題を解決する看護学 】 片岡 優華 講師 P.17 原田 曜平さん×山﨑 めぐみ准教授 “副専攻”で描く、可能性のミライ

03 もちろん、多様な情報を有効活用で きる学生も多いと思いますが、結局同じ ような情報を見ているリスクも増えてい ると捉えています。 山﨑:創価大学では、教員の方々の専 門を生かし、社会の変化をカリキュラム に反映しています。2023年度からス タートする副専攻「SDGs」もその一 例です。学生が興味を持つと思われる 分野かつ社会に求められている力が磨 ける分野を、「副専攻」という形にして います。「データサイエンス」も今注目を 集めている分野に関する学問群です。 副専攻のいいところは、学生が専攻 を学ぶなかで、専門としては深く学べな いけれど、「もっと知りたい」という意 欲に役立つ点だと感じています。 原田:これからは副業の時代と言われ、 リスクヘッジの意味でも多くの選択肢を 持つことは大切です。元来、物事を複眼 的に見ることは、人生を豊かにするため に必要な視点です。 今、私はマーケティングアナリストと 大学教員、さらにはテレビ番組でのコメ ンテーターというように、いろいろな仕 事をしています。複数の立場があること での相乗効果は、リスクヘッジ以上に大 きな意味があります。 例えばテレビの仕事をすることで、 話術に長けた芸人さんとお会いする機 会がありました。そのとき芸人さんなら ではの会話術、コミュニケーションのう まさにじかに触れ、そのエッセンスを学 ぶことで、自分の企業に対するプレゼ ンテーションが向上した経験がありま す。ずっと同じ場所にいたり、同じこと を考えたりしていると、どうしてもマン ネリ化してしまいます。そうしたとき、 複数のチャンネルがあるとリフレッシュ できたり、それこそ物事を複眼的に見る ことができたりするという意味では、貴 重な経験です。 山﨑:本当にそうだと思います。学生た ちには学部を横断して学べる副専攻制 度を活用し、物事を複眼的に見る力を 身につけ、将来の可能性を広げてほし いと思います。副専攻が主専攻分野だ けでは得られなかった学びに触れ、自 発的な学問への興味・関心をさらに高 め、自分の夢や目的を達成する機会に なるといいですね。また、学生は副専攻 がなくても、「こういうことを学びまし た」と説明することもできますが、その 分野を体系的に学んできた証明として、 副専攻制度は将来的に社会で評価され るようになるのではないでしょうか。 「就活重視で自分に必要な学びを決めるのではなく、 日々の情報行動から広い視野を持ち、 自分の頭で考え、選択してほしい」by 原田曜平さん

04 便利なツールを有効活用しながらも、 自分なりの視座を持ち、選択する習慣を。 山﨑:本学では学生が自身の力を発揮 できる大学生活を送るために、課外の学 習支援サービスを用意しています。レポー ト作成のサポートを担う日本語ライティ ングセンターと、学生生活全般の何でも 相談できるヘルプデスクです。ヘルプデ スクでは、自己管理・アカデミックスキ ルを含む個別相談や学習セミナー、数学 の個別チュータリングを行っています。 自己管理に関する相談では、学生の将来 の目的から逆算した履修科目の選択もサ ポートしています。 原田:大切な取り組みですね。実際に、 今若い人たち向けのサービスでも、理想 の自分に導いてくれる診断系のサービス が急激に増えています。例えばコスメで は、肌色から「イエローベース」か「ブ ルーベース」に分類し、「じゃあ、あな たには、このコスメが合う」と教えてく れる。骨格診断で「この洋服が似合う」 と提案してくれるサービスもあります。 これらは私たちのまわりにある情報が 膨大になっていることを意味しています。 感度の高い人は自力で自分に必要な情 報を抽出できますが、情報に溺れてし まっている人も少なくありません。そう いった人に対して、情報をカスタマイズ して示す。学習面でも個別ニーズに応え るサポートがあるなら、学生は安心して 勉強に取り組めるでしょうね。 一方で、情報過多な状況だからこそ、 自分の視座を持って情報を選択できるよ うに支援することも、学校教育において非 常に大切なポイントではないでしょうか。 山﨑:おっしゃる通りですね。答えを教 えるのではなく、基本はアドバイスベー スでありつつ、学生が自発的にできる部 分を伸ばすようにサポートすることが必 要だと考えています。 ヘルプデスクでは、先輩学生がピア サポートとして学生の悩みを聞くことも ありますが、ときには授業への取り組み 方や将来のビジョンに対して現実を問い かけることで、学生自身の自発性を支援 しています。 原田:先輩学生が本音で向き合ってい るのはいいことですね。今は「この企業、 就活セミナーでこんなことを言っている けど、実はこうだった」とSNSで実態 がすぐに明らかになってしまう時代で す。企業広報でも、これまではあり得な かった、本音を発信する手法が話題に なっています。美容院があえて「歓迎で きないお客さんの例」をSNSで発信 し、顧客に媚びない正直な姿勢が評価 されているという事例もあります。 山﨑 めぐみ/Megumi Yamasaki 原田 曜平/Youhei Harada 若者・メディア論の研究をしており、専門は日本や世界の若者の消費・メディア行動研究および マーケティング。2013年「さとり世代」、2014年「マイルドヤンキー」、2021年「Z世代」がユー キャン新語・流行語大賞にノミネート。「伊達マスク」という言葉の生みの親でもあり、さまざま な流行語をつくり出している。主な著書に『Z世代 若者はなぜインスタ・TikTokにハマるの か? 』(光文社新書)など。 玉川大学文学部初等教育学科卒業後、アメリカのミネソタ大学教育行政・ア ドミニストレーション学部比較国際・開発教育(博士号)を修了。高等教育、 学生能力育成を研究してきた知見を活かし、創価大学の総合学習支援セン ターの副センター長を務めた。現在は、障害学生支援室の室長として学生を 支援している。 SUN117 2023 Spring 私も調査において、相手とうわべで付 き合うのではなく、遠慮なく、聞きたい ことを質問します。性格上率直な物言い をするので、ひょっとしたら相手は最初 「えっ?」と戸惑うこともあるかもしれま せんが、本音でぶつかることで心を開い てくれ、本心を聞くことができると確信 しています。 山﨑:創価大学にはさまざまなピアサ ポートがあるのですが、サポートを受け た学生の多くが、自分の成長を実感で きたと口にします。厳しいけれど本音で アドバイスをくれた先輩に対し、人生の 恩師と言えるぐらいの感謝をしている人 もいます。 原田:厳しさの意味をしっかりと感じて もらえるのはいいですね。就活が早期化 したことから、リクルーティング重視で 近視眼的に自分に必要な学びを決める のでは、人間としての器も大きくなりま せん。大学時代は年齢的にもいろいろ な可能性があるのだという意味では、副 専攻はもちろん、日々の情報行動もなる べく視野を広く持って、自分の頭で考え て、そのなかで選択していってもらいた いですね。 山﨑:本当にそうですね。私たち大学も 学生たちの考えをしっかりと受け止め、 人間としての器を大きく育む学びへと導 いていけるよう、努力していきます。

「Soka University Grand Design 2021-2030」3年目の本 年は、さまざまな課題に対し、その解決を目指した新たな取り組 みを実行する段階に入る。創立50周年から100周年に向けた取 り組みにおける重要な年度の開始にあたり、2023年度の学長ヴィ ジョンを発表する。 2021年度に受審した大学基準協会による認証評価において、 本学は「適合」(期間は昨年4月から7年間)と認定された。しか も長所が6件にも上る高評価を得ることができた。これもひとえに 教職員、学生が一体となった努力のたまものと深く感謝したい。 昨年度は、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響が大き かったものの、学生、教職員の協力のもと、ほぼすべての授業を コロナ以前同様の対面授業に戻すことができ、多くの行事や課外 活動も実施することができた。また、留学生の派遣・受け入れお よび現地での海外研修が再開し、多くの留学生たちの姿が再び キャンパスで見られるようになった。 教育においては、初年次教育の充実が評価され、「文章力向上 プロジェクト」が初年次教育学会の教育実践賞優秀賞を受賞し た。データサイエンス教育においても、「データサイエンス入門」 を全学必修授業としたほか、文部科学省が推進する数理・データ サイエンス・AI教育プログラム認定制度・応用基礎レベルの第 1回認定校になるなど、全国の大学に先駆けた取り組みを展開し ている。 研究面では、エチオピアの大学との国際共同研究「SATREPSEARTHプロジェクト」が着実に成果を上げる一方、糖鎖生命シ ステム融合研究所が参画する「ヒューマングライコームプロジェク ト」が文部科学省の「大規模学術フロンティア促進事業」として 本格的にスタートした。同事業に私立大学が実施主体として参画 することは画期的である。 また、昨年10月22日に「第1回世界市民教育シンポジウム」 を開催し、世界25か国から170名の研究者が参加した。前日に は「創価教育機関交流会」が、日本、アメリカ、ブラジルをオンラ インで結んで開催され、有意義な情報交換が行われた。 国際的評価としては、QSアジア大学ランキングにおいて総合 401 ~ 450位(国内69位タイ)となり、特に外国籍教員比率、 交換留学生数など本学の国際性が高く評価された。 さらに、学生の活躍にも目覚ましいものがあった。令和4年司 法試験に12名が合格し、合格率は37.5%と大幅にアップ、10 名以上合格した私立大学のなかで合格率3位を記録した。また 「第14回大学コンソーシアム八王子学生発表会」の『八王子市 長へ直接提案部門』で最優秀賞を受賞するなど、数々のコンテス トでも優秀な成績を収めた。 クラブ活動では、駅伝部が学生三大駅伝のすべてに出場。第 34回出雲全日本大学選抜駅伝競走では6位、第54回全日本大 学駅伝対校選手権大会では5位、そして第99回東京箱根間往 復大学駅伝競走では見事総合8位となり、4年連続でシード権を 獲得するとともに、2年連続となる学生三大駅伝への出場が決定 した。硬式野球部からは2名(現役、卒業生)の選手が、プロ野 球ドラフト会議で指名を受けた。また、パイオニア吹奏楽団が東京 本年度は、開学40周年に向けて掲げた「短大中期計画」の3年 目に入る。さらなる飛躍の年として教職学一体で取り組んでいく。 この中期計画では「女性(あなた)が輝く未来を拓く」とのテーマ を掲げ、2年間の学びをとおして、一人ひとりが自分らしく輝く土台 をつくり、自身の未来を拓くことができる教育に取り組んできた。こ の2年間の成果をふまえ、いよいよ次の段階へと歩みを進める。 そして、さらに女性が輝く社会を拓く人材を輩出していきたい。 この2年間、「輝く女性育成」と「SDGs」の推進という二つの柱 を軸として取り組みを進めてきた。輝く女性育成推進では、「これか らの社会と女性の生き方や働き方」の企画セミナーの定着化をはじ め、「偉人に学ぶ女性の生き方」の勉強会を開催し、小冊子にまと めるなど充実をはかってきた。 SDGs推進では、各種のワークショップを中心に、身近なところか ら行動を起こし、地道に活動を進めてきた。特に「生理の貧困」に ついて、一昨年、初めて生理用品の無料ディスペンサー設置という 学生主体の挑戦の一歩に続き、昨年度は嬉しいことに東京都が実 施する「都民による事業提案制度(都民提案)」に挑戦。都民投票 で第2位に選定され、「働く女性のウェルネス向上事業」として予算 化され実現していることは素晴らしい成果といえる。 英語能力の向上を目指すE-Swans(英語特別プログラム)では 目標のTOEIC730を突破する学生も増加し、実績を残すことができ た。資格取得においてもビジネス特設クラスを中心に上級資格も数 多く取得し、検定協会よりビジネス文書検定で感謝状、個人で理事 鈴木 将史 1959年東京都生まれ。東京大学理学部数学科卒業、同大学 院博士課程単位取得満了退学。愛知教育大学数学教育講座 助手・助教授を歴任。2007年より創価大学教育学部児童教 育学科教授。国際協力機構(JICA)数学教育専門家としてカ ンボジアへ渡航多数。2022年4月、創価大学学長に就任。専 門:確率論、算数・数学教育、発展途上国の数学教育。 水元 昇 1956年熊本県生まれ。創価高校、創価大学の4期生。経済学部 を卒業後、創価大学大学院・博士後期課程を満期退学。経済学修 士。専門は経営学。短大開学より教鞭を執り、講師、准教授を経て 教授。入試部長、学生部長などを歴任し、現代ビジネス学科長、副 学長を経て、2019年より学長に就任。研究テーマは「人間主義と マネジメント」。業績として「多国籍企業と人間主義-社会貢献と 平和『」創価女子短期大学紀要(』中国語、英語で翻訳)など多数。 05 創価大学 学長 創価大学 学長ヴィジョン2023 創価女子短期大学 学長 創価女子短期大学 学長ヴィジョン2023

教育 1: 2: 3: 4: 5: 6: 世界市民教育の充実 SDGs副専攻のスタート データサイエンス教育の実質化 教育効果を上げる取り組み 新たな自己点検・評価サイクル による教育力向上 教員と学生双方の振り返り 1: 2: 全学SDGsプロジェクトの推進 “SDGs目標達成に貢献する 人材”の育成と、“SDGs学生・ 専門家・実務家ネットワーク” の構築と拡大 3: 4: 国連諸機関との連携強化 キャンパス運営におけるSDGs 主流化・エネルギー計画の策定 研究 1: 2: 3: 4: 文部科学省「大規模学術 フロンティア促進事業」について 重点研究の推進 国際競争力の強化 外部資金獲得の強化 5: 6: 7: 研究基盤の強化 適正な研究活動の推進 創立者の思想・実践および 創価教育に関する研究を推進 SDGs ダイバーシティ 1: 2: グローバル化の推進 スーパーグローバル大学 創成支援事業の最終年度 3:ダイバーシティ・インクルー ジョンなどの取り組み 学生支援 1: 2: 3: SLS(スチューデント・ライフ・サポート) セミナーの充実 寮生活支援 障害学生の支援体制の整備とサポート 入試・広報 進路・就職 教育・研究 1: 2: カリキュラム改革 海外語学研修と資格取得教育の充実 都代表として全国大会に出場し、最優秀賞である金賞を獲得、日 本一に輝いた。本年度も多彩な分野で学生の活躍を期待したい。 さて、本学は2030年に向け「価値創造を実践する『世界市民』 を育む大学」とのテーマのもと、教育・研究・SDGs・ダイバーシティ という四つの分野で多くの目標を掲げた「Soka University Grand Design 2021-2030」の取り組みを進めている。特に昨 年は、ロシアによるウクライナ侵攻をはじめとして、国家間・民族 間の分断の力を目の当たりにした。本学では昨年度、ウクライナ からも留学生を無償で受け入れた。 こうした世界にあって、青少年の可能性を開き平和な未来を実 現する教育としての「創価教育」が今こそ必要であり、現実に世 界各地で研究・実践が行われてきている。この「創価教育」を高 く掲げ、その実践に取り組んでいる本学こそ、人間教育の世界的 拠点としての役割を果たすとともに、世界市民としての夢を共有し 実現していく人材を数多く輩出してまいりたい。 昨年4月に学長に就任して以来、韓国、タイ、ケニア、インド、 台湾の5カ国・地域を訪れ、多くの大学を訪問させていただいた。 昨年11月にはケニアのナイロビ大学にて、創立者の名誉博士号 授与30周年と交流35周年を慶祝する記念シンポジウムに、また 12月にはインドのデリー大学セント・スティーブンス・カレッジ にて、交流30周年を記念する式典に参加した。これからも人間 教育の価値を共有する世界の大学と交流を進めていきたい。 本年度からほとんどの学部で新たなカリキュラムが始まり、また そのために全学および各学部等の3ポリシーの整備を含む万全の 準備を整えることができた。さらに、グランドデザインに呼応して 「副専攻:SDGs」も開設された。こうした新たな取り組みのもと、 新時代を担う人材群の輩出を期待したい。 ところで、昨年から本年にかけて行われた2023年度入試では、 残念ながら昨年度に引き続き大幅に志願者が減少し、歯止めを かけることができなかった。本学の持つ多くの素晴らしい価値や 学生第一の伝統の素晴らしさを、より多くの高校生に伝えられる よう一層の努力をしてまいりたい。文部科学省が推進する理系人 材育成、文理融合型教育などの動きにも留意しつつ、学生・教員・ 職員が団結し、人間教育をはじめとする本学の伝統的な特長およ び世界市民教育をリードすべき使命を明確にするとともに、本学 の確かな将来像を探る1年としてまいりたい。 長賞・優秀賞(全国2位、3位)を受賞するなど、確実に教育成果 を上げることができている。 また、学生の活躍という点でも、「大学コンソーシアム八王子主催 学生発表会」では、7チームが最優秀賞を含め各賞を受賞するなど 地域貢献で活躍。「八王子学生CMコンテスト」の周知ポスターデ ザインでは、最優秀賞に選ばれ八王子各所にポスターが掲示されて いる。 そのほか、各種コンテストへ挑戦し、「人生100年時代の社会人 基礎力育成グランプリ」でも高い評価を勝ち取り、本学の教育力の 高さに注目が集まっている。 コロナ禍を乗り越えて、逞しく挑戦する本学学生の成長の姿を強 く感じることができた。 新しくスタートした、確かな実力を身につけ社会で輝く女性を育 成するためのカリキュラムは、いよいよ完成年度を迎える。さらなる 充実をはかりたいと考えている。これまでの実績のうえに、本年度は さらなる飛躍を遂げるために、中期計画で掲げた「教育・研究」、「学 生支援」、「入試・広報」、「進路・就職」の四つの柱と、それらを 支える「経営基盤」の構築をもとに、取り組みを進めていきたい。 昨年度、入学定員の見直しとともに、同窓生(子女を含む)推薦 入試という新たな入試制度を導入した。また、教員と職員が一体と なって受験生増加のために取り組む体制を整えた。本年度は、より 一層、多様な受験生の増加に全力を挙げて取り組んでいきたい。 コロナ禍という未曽有の状況を乗り越えて、創立者池田大作先生 の示された建学の指針に適う「創価の女性教育の城」を目指して、ど こまでも学生第一で、教職員一同、力を合わせて取り組む決意である。 教育制度の改革 教員の研究力の向上 3: 4: Soka University President's Vision & Soka Women’s College President's Vision 06 SUN117 2023 Spring

07 「ガクチカ」という言葉を知っていますか? 就職活動時の面接やエントリーシートの 自己アピールに欠かせない「学生時代に力を入れたこと」の略語です。 創価大学には、そんな「ガクチカ」がカリキュラムを通じて手に入る制度があります。 それが副専攻制度。学部で学ぶ主専攻に対し、社会が求めるスキルや ほかの分野を体系的に学ぶことで、副専攻として認定される制度です。 2023年度からスタートする副専攻「SDGs」を中心に、この注目の制度を、 西浦昭雄副学長にナビゲートいただきながらご紹介します。 西浦昭雄 副学長 副専攻とは、学生の幅広い学びを保証するために、所属学部以外の学部の専 門科目を体系的に履修し、深い学びを得られるように設けられた制度です。海外 の大学では「マイナー」として一般的で、必須単位は少ないながら、学士の学位と ともに大学が認めた専攻となります。創価大学において副専攻制度が導入された のは、2009年度。当初は「経済学」「経営学」「法学」など大学内の文理6学部 を基本とした副専攻が整備されました。2018年度より、すべての授業を英語で 実施するプログラム「English Medium Program」、2019年度からはビッグデー タを自在に活用できる人材を育成する「データサイエンス」を追加。そして、 2023年度からは「SDGs」が副専攻としてスタートし、多様に変化する社会のニー ズを反映した専門知識やスキルを、学部横断的に学べる制度へと進化しています。 「他学部の専門科目を、広く学ぶ機会を提供する」制度から、 「社会が求める力を、学部横断的に学び、手に入れる」制度に進化。 経済学部教授。専門分野は開発経済学。 2016年から教務部長を務め、創価大学の カリキュラムや学生支援制度の整備に従事。 2022年からは副学長を兼任している。 Focus 創大 そもそも創価大学の「副専攻」とは? ガクチカとInstagramの連動企画 を教えてください! あなたの #ガクチカ

08 本学は「世界市民教育」に力を入れており、多様性を 理解し、尊重し、さまざまな環境を活かす力を育むこと を重要な柱の一つとしています。多様性を育むために、 まずは全学部生が学べる共通科目として、今の社会で 必要な力を育む講義を設けており、例えば「データサイ エンス」や「SDGs」についても1年次から全学生に基 礎を学んでもらいます。そのうえで、さらに専門性を深め 副専攻は、成績証明書および卒業証明書に記載。例えば「主専攻:経済学」「副専攻:SDGs」 といった形で明記されるので、就職活動でアピールすることもできます。 将来の選択肢を拡げる力として、学生に広く活用されることが期待されます。 自分の専門分野「主専攻」+社会に求められる力「副専攻」で、 多様化する社会に対応 SUN117 2023 Spring ▶ 英語 ▶ データサイエンス入門 ▶ 環境と開発 ▶ 副専攻「EMP」 ▶ 副専攻「データサイエンス」 ▶ 副専攻「SDGs」 副専攻(24単位) 共通科目(必修) 1 年次 2 年次 「共通科目」と「副専攻」で、段階的に社会で必要な力を育む もっと 学びたい! Focus 創大 SDGs EMP データサイエンス NGO/NPO 一般企業 公務員 医療機関 教育機関 起業 海外企業 国際機関 外資系企業 通訳・翻訳 教育分野 サービス業 サービス 業界 IT業界 流通業界 コンサル ティング業界 教育分野 公務員 たいという学生のために、他学部の専門科目として行 われている必要な講義を副専攻として履修できる環境 を提供しています。近い将来、副専攻が学生の就職活 動で大きな武器になる可能性は高く、この多様性の時 代に文理を問わずさまざまな専門分野を縦横に学ぶこ とは、学生の将来の選択肢を大きく拡げ続けていくで しょう。(西浦副学長)

09 2023年度からスタートする副専攻「SDGs」のベー スになっているのは、これまでも各学部で開講されてい た授業です。2022年度からはシラバスに「SDGsとの 関連性」の項目を設け、学生が授業科目とSDGs17項 目との結びつきを確認し、関心のある授業の履修が可能 になっています。 「私自身、アフリカの経済について研究しており、例えば 貧困や飢餓というSDGsに関わる問題は避けて通れない テーマです。同じように、創価大学では世界市民教育の なかで世界の持続的な成長に貢献するための研究、授 業やゼミ、さらには学生のクラブ活動が、SDGsが掲げ られる以前から活発に行われていました。つまり今回の 副専攻の底流には、困っている方を助けたい、何か社会 に貢献したいという学生の思いがあります。それに対し、 大学としても副専攻という形でSDGsに関連する講義を 体系化することで、より広く、より深く、学生の知的好奇 心に応えていきたいと考えています。 2022年度のシラバス※をご覧いただくとわかるように、 本学にはSDGsの学びが充実しております。そのなかか ら各学部の代表者が協議し、特性を活かした講義を選び 抜いたものが副専攻の指定科目リストです。すべての学 生が学ぶべき基本としてSDGs必修科目『環境と開発』 があり、そこをベースに学生自身が必要な学びを学部横 断的に選択できます。新設の講義もあり、SDGsへの関 心を、社会に貢献する力に変える学びがたくさんありま す」(西浦副学長) 創価大学に長く息づく「世界市民教育の伝統」を、副専攻「SDGs」として創大生の未来の力に SDGs副専攻科目一覧(各2単位)24単位を修得、通算GPA2.70以上で認定される。 〈 SDGs必修科目(2単位)〉 環境と開発 ※英語授業も開講予定 〈 SDGs選択科目(22単位)〉 平和学入門 創価教育論 ライフイベントとジェンダー 八王子学Ⅰ 日本国憲法 スマート・リーダーシップⅠ グローバル経済Ⅰ【経済】 グローバル経済Ⅱ【経済】 開発と貧困の経済学【経済】 アフリカ経済論【経済】 気候変動の経済学【経済】 人間主義経済学【経済】 国際開発協力論【経済】 国際人権法 【法】 社会保障法 【法】 地域コミュニティ論【法】 惑星政治学 【法】 人間の安全保障論【法】 アジア都市協力論【法】 多文化共生と平和創造【文】 社会福祉の原理と政策Ⅰ【文】 社会福祉の原理と政策Ⅱ【文】 多言語社会と言語政策【文】 倫理学概論 【文】 家族の社会学【文】 ジェンダーの社会学【文】 人間の安全保障【文】 人的資源管理論【経営】 多国籍企業論【経営】 地方創生とビジネス【経営】 地方創生ビジネス・ワークショップ【経営】 環境マネジメント【経営】 サステナビリティ経営会計【経営】 国際開発教育論【教育】 比較・国際教育学【教育】 国際理解教育論【教育】 生涯学習概論【教育】 環境教育論【教育】 植物生理生態学【理工】 環境科学 【理工】 土壌学 【理工】 酵素化学 【理工】 生態環境工学【理工】 Global Social Policy【国際教養】 Global Ethics【国際教養】 Development Economics【国際教養】 International Business【国際教養】 Development and Environment【経済】 Security Studies【法】 Stakeholder Dialogue【経営】 Business Ethics【経営】 Sustainable Business and Management【経営】 Introduction to Global Business Leadership【経営】 2023年春スタート ※シラバスは創価大学の HP よりご確認いただけます。(https://www.soka.ac.jp/department/syllabus/search) SDGs副専攻

創価大生 10 創価大学の学生は、SDGsへの関心が高く、個人・団体での取り組みも盛んです。さらに、就職活動でもSDGsを 意識している学生が多いのも特徴的です。SDGs副専攻ではこういった学生が社会へ出たときにSDGs達成に向け て力を発揮できるよう、深い知識と実践力を身につけることができます。 SUN117 2023 Spring 「環境と開発」 平和とは何か、我々は平和創造にどのように取り組んでいくべきなのかについて、持 続可能な開発および環境問題の側面から考えていきます。多様な課題への学際的 なアプローチを知るためにオムニバス講義方式で行い、学外からゲストスピーカー を招いて特別講演(平和講座)を開催することも本授業の特徴です。「ピース・ワー カー」として問題発見能力と情報へのアプローチ能力を高めていくことを目指します。 国際開発学および国際開発協力論をベースに、最 近の主な開発問題や、国際協力のあり方を学び、議 論していきます。特に、持続可能な開発とは何か、 そのためにはどのような国際協力が可能なのかを、 事例などを活用しつつ、その方向性を検証し、途上 国への協力を念頭にした案件形成のための基礎的 な考え方および手法を学びます。 【 Pick Up講義① 】 「国際開発協力論」 【 Pick Up講義② 】 Focus 創大 SDGs副専攻を活かせる場所 企業でSDGs活動を牽引! NGO / NPOで活躍! 起業/独立して実践! 自治体職員や公務員として! ▶SDGsについて、あなたはどの程度ご存じですか? ▶SDGsについて知っていますか? ▶将来、就職するとしたら、SDGsに積極的に 取り組んでいる組織(企業・団体等)で働きたいですか? ▶企業のSDGsに関する取り組みを、 就職活動において意識しますか? SDGsゴールと ターゲットを知っている SDGsゴールを 知っている 聞いたことがある 聞いたことがない 「あさがくナビ2024」が実施した「SDGs」を テーマにしたアンケート結果より 対象:2024年3月卒業(修了)予定の 大学生・大学院生 37.0% 37.4% 33.7% 41.9% 26.8% 15.5% 76.5% 18.0% 34.3% 30.2% 9.6% 7.9% 19.7% 3.8% 2.5% 1.2% 4.0% とてもそう思う ややそう思う どちらとも言えない あまり思わない まったく思わない 言葉も意味も 知っている 言葉は 知っている 知らない 意識する どちらかと 言えば 意識する どちらとも 言えない どちらかと 言えば 意識しない 意識しない SDGsへの関心も意識も高い創大生。副専攻で知識と実践力をさらに養う! ※昨年度は国際熱帯木材機関(ITTO)サックル事務局長や、 国連開発計画(UNDP)近藤哲生駐日代表を招き、講演会を開催しました。 【 創価大学「2021年度SDGsに関する学生アンケート」より 】 【 創価大学「2021年度SDGsに関する学生アンケート」より 】 97.5%の学生が SDGsを認知している! 79.3%の学生が SDGsに取り組んでいる 組織を希望している! 創価大生 参考データ

11 今春37名が修了 日進月歩で発展するデジタル技術を有効活用できる人材の 必要性は、ますます社会で高まっています。そうしたニーズに 応える形で2019年度からスタートしたのが、データサイエン ス副専攻です。 データサイエンスとは、あるデータから新しい価値や意味の ある示唆を取り出す技術。記憶に新しいところで言えば、新 型コロナウイルス感染症の感染者数予測グラフも、日々更新 される感染者数から未来を予測するデータサイエンスが活用 されています。 「本学では2022年度から『データサイエンス入門』を全学 共通の必修科目としました。基本的な知識とスキル、さらには モラルも学習し、これからの社会で欠かせないデータ活用の 基礎を、すべての創大生が獲得することになります。副専攻は、 そこからステップアップして、学生の将来のビジョンに適した 応用レベルのデータサイエンスを学ぶものです」(西浦副学長) 例えば、文学部で言語学を学んでいる学生が、理系分野で あるビッグデータ技術やAI理論を副専攻として学ぶことで、 高度な会話が可能なAIチャットの開発に携わるといった、 文理の壁を越えたキャリアの選択肢を生み出す可能性があ ります。データサイエンス副専攻の取り組みは、文部科学省 の数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度 「MDASH」のリテラシーレベルとして認定。文部科学省がこ うした制度を発足させ、推進していることからも、データサイ エンス教育の重要性はますます高まることが予測されます。 「段階的な授業構成」で、学生を目標レベルの到達へと導く。 ステップ0 ステップ1 ステップ2 ステップ3 全学必修科目「データサイエンス入門」 「データサイエンス基礎科目群」 「データサイエンス副専攻」 理系レベルの データサイエンス教育 私がデータサイエンス副専攻を履修した動機は、キャリアのために特別なス キルを身につけたいと思ったから。プログラムをつくる姿への憧れもありました。 そんな私ですが、副専攻の専門講義を「プログラミング論」「プログラミング演習」 「アドバンスドプログラミング演習」とステップアップして学ぶうちに、身近な機械 やWebサービスがどのようなプログラムで動いているのかイメージできるように なり、もっと便利にするためには、どんなプログラムが必要かといったことまで 考えられるようになりました。春からエンジニア職として働きます。卒業後も多様 な学びに挑戦し、未来の可能性をさらに大きくしていきたいです。 副専攻で得た「やりたいことはやってみる」精神で、 文系ながらエンジニアのキャリアを拓いた! 東 鮎美 2023年3月文学部卒業 データサイエンス副専攻

12 SUN117 2023 Spring Focus 創大 専門科目を英語で学べる 「EMP(English Medium Program)」は、英語で行わ れる授業のみを履修し、卒業に必要な単位が取得できるプ ログラムです。外国人留学生が日本語の壁を感じることなく 専門分野の学位を取得できる制度として誕生し、グローバ ル教育の高まりとともに、2018年度から日本人学生にも 開かれ、留学生とともに英語で学ぶ、世界を体感できるプ ログラムとなりました。さらに、EMPは副専攻としても履修 可能となり、他学部の科目を英語で学べるほか、異なる文 化を許容する多様性や、グローバルレベルのリーダーシッ プを育むことができるカリキュラムとなっています。 「世界市民教育に力を入れている本学の重要な柱の一つ が、多様性の理解、尊重です。EMP副専攻は、国や人種を 越えて一緒に学ぶことによって多様性を深く学ぶ貴重な機 会です。専門性とともに、グローバルな社会で求められる 異文化共生の機会としても、副専攻を活用してもらいたい と考えています」(西浦副学長) EMPで、高校時代から興味のあった「法学」の授業を履修しました。副専攻 の講義は、一般教養以上に専門性を持ったものなのですが、日々の授業はもち ろん、レポート作成や討論まですべてが英語です。そうした毎回の授業が積み 重なり、目標である英語圏の大学院へ進学を目指す、大きな自信となりました。 これからの社会では、融合的知識がますます求められます。実際にアメリカ の多くの大学院でも副専攻が重要視されています。将来、どんな道に進もうとも、 創価大学の副専攻で身につけた知識を武器に、広くグローバルに活躍できる人 材になりたいと思います。 英語で、高度な専門性を持った討論を体験。 英語圏の大学院に挑戦する自信に。 EMP(English Medium Program) 尹 聖元 2023年3月文学部卒業

看護学部 看護学科 小松 陽子 Yoko Komatsu 信州大学 医学部附属病院 文学部 人間学科 黒木 優 Yu Kurogi 株式会社 星野リゾート 国際教養学部 国際教養学科 原田 笑夏 Emika Harada パナソニック エナジー 株式会社 理工学研究科 情報システム工学専攻 鎌田 正行 Masayuki Kamata レノボ・ジャパン 合同会社 経済学部 経済学科 間宮 孝章 Takaaki Mamiya PwCあらた 有限責任 監査法人 大学の国家試験研究室のガイダンスで 公認会計士を知り、幅広い業界の経営層と 話ができるところに魅力を感じて資格取得 を目指しました。毎週日曜日、大学の国家試 験研究室で会計士の卒業生がボランティ アで講義してくれたおかげで難関試験を突 破。支えてくれた友人や先輩にも感謝してい ます。会計監査の知見を深め、今度は自分 が後輩に実態を伝える側になりたいです。 法学部 法律学科 大道 和恵 Kazue Omichi NECソリューション イノベータ株式会社 大学のゼミで「EV化と日本の自動車業 界の未来」というテーマで日本と海外の EVについて比較分析。寮では6人の留学 生と生活をしたことで多様な価値観を学 べました。グローバルな環境で働けるこ と、人に幸せを与えることができる自動 車にかかわりたくて就職先を選択。大学 の経験を活かして人と自動車が共存でき る社会づくりに貢献するのが目標です。 人の想いや考えをITの力で形にし、 社会貢献を目指す 人間の幸せと環境負担が 矛盾なく調和した車社会を目指して 大学では韓国留学を目標にしていまし たが、新型コロナウイルス感染症の影響 で2度にわたる中止を経験。しかし、この 経験を通じて、挑戦したいことがある人 に何か障壁がある場合、それを取り除く 手助けがしたいと考えるようになりまし た。今春からSEとなり、ICTを活用して アナログ体質が残る業界の業務負荷軽 減を目指して邁進していくつもりです。 ITの力で業務負荷を軽減し、 社会の役に立ちたい もともと内向的で意志が弱かった私 は、自分を変えたいとヴォーカルグループ に入部。先輩から行動する大切さを教わ り、励まされました。そのおかげで挑戦す る姿勢が身につき、タイの高校での日本 語教育のサポートにも挑戦。その経験を 通じて海外に日本の魅力を発信したいと 思うようになり、就活で誇りを持って話が できたことが今につながっています。 大学の実習で大腿骨頸部骨折をされ た患者さんを受け持ちました。リハビリ が進まない理由に耳を傾け、意欲が上が るように支援。この経験を通じて、地域 医療を支える病院への就職を決めまし た。寮生活で培った協調性を活かしつ つ、就職先の病院でさまざまな診療科を 経験したあとには、個別性のある看護を 実践できる訪問看護師になりたいです。 命や健康を守り、幸せな人生を 歩んでもらえるように尽くしたい 日本の魅力を発信しつつ、 世界中の人に感動と笑顔を 大学の書道部で中国と文化交流をす る機会があり、学生代表を務めました。 当時、苦手に感じていた英語で予想外に も意思疎通ができ、語学の魅力を実感し ました。これまで将来の夢が変わり続け ていましたが、大学生活を通じて就活の 軸を発見。春からはパソコンのソフト ウェア開発に従事。日本代表として世界 のITを支える人材に成長していきます。 会計監査への知見を深めて、 後輩を支援する側になりたい 135 2022年度 卒業生の進路紹介 Career Paths for Graduates

法学部 法律学科 加瀬 祐太 Yuta Kase 厚生労働省 経営学部 経営学科 佐藤 一博 Kazuhiro Sato 鹿島建設 株式会社 理工学部 情報システム工学科 井上 颯人 Hayato Inoue 九州大学大学院 システム情報科学府 情報理工学専攻 創価女子短期大学 国際ビジネス学科 榎本 結佳 Yuika Enomoto 大興電子通信 株式会社 経済学部 経済学科 福田 大希 Hiroki Fukuda 日本IBM 株式会社 私が教師を目指したのは、中学・高校 の先生方との出会いがきっかけでした。 創価大学のオープンキャンパスで教育学 部の体験授業を受けた際に特別支援教 育についての学びに深く感動し、入学後 に中学校英語、高等学校英語、特別支援 学校の三つの免許を取得しました。これ までの学びを活かして、生徒の可能性を 信じ続けられる教員になりたいです。 万人が簡単に扱えるコンピュータをつ くり、世の中を大きく変えたいと考え、卒 業後は九州大学大学院システム情報科 学府の情報理工学専攻に進学します。九 州大学を選んだのは、見学した際に創価 大学と同じ雰囲気を感じたから。春から は新しい環境で、創価大学で培った「最 後まで頑張り抜く力」を発揮し、研究に 邁進するつもりです。 SUCCEEDでの経験が 就職への原動力に 創価大学で培った力を 今後の研究でも発揮したい 家族が長期入院をした経験や、大学1 年次にキャリアイベントで公務員として 働く卒業生の方々からお話をうかがっ て、行政職の公務員に興味を持つよう に。公共政策ゼミで行った高齢者・介護 支援についての政策研究も、厚生労働省 を目指すきっかけとなりました。これから は人の健康や当たり前の生活を支える 制度設計に携わり、支えたいと思います。 「健康や当たり前の生活」を 行政職という形で支えたい 私は創大祭、卒業式の実行委員を5回 経験し、尊敬できるたくさんの先輩や同 期、後輩に出会いました。各委員で設営 部門や業務部門などを経験し、みんなと 協力して作業を完成させたときに感じた 喜びや達成感が、建設業界を志した一つ の理由です。インフラや災害時の復興を 担う業界で、人々の生活を根底から支え る、縁の下の力持ちになりたいです。 短大入学前の私は人と話すのが苦手で したが、受験生のために活動する受験部 に入部し、真心を持って人と向き合う自 分へと成長できました。就職先は短大卒 業生が過去在籍されており、進路につい ても相談しました。その出会いもあって、 進路を決定。来春からも小さなことでも 社会がよりよくなるよう価値創造を心が け、挑戦し続けたいと思います。 短大で成長した自分を信じて 春からも職場で価値創造したい 学内行事の実行委員の経験から 建設業界への就職を決意 「グローバル人材とは何か」の答えを求 め、英語で授業が行われるSUCCEED プログラムを2年次に受講しました。世 界中からの留学生に囲まれたオールイ ングリッシュの授業で、企業経営やビジ ネスについて学んだ経験が、3年次のマ ルタ留学や進路を選ぶ際の基礎になり ました。ITという領域で価値を発揮し、 日本の経済成長に寄与したいです。 オープンキャンパスの体験授業を通して、 子どもの幸福を考えられる教師に 教育学部 教育学科 岸野 由紀子 Yukiko Kishino 東京都 教員 14 SUN117 2023 Spring 本年3月に創価大学・創価女子短期大学から世界や地域へ羽ばたいた皆さん。 「大学で育んだチカラ」と「これからの目標」を語っていただきました。 2022年度 卒業生の進路紹介

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