創価大学ニュース「SUN」118号 2023 Summer

118 創価大学ニュース 2023 Summer “つながり” で限界 突 破! [ Focus創大 ] 創大生・短大生は

[ Focus創大 ] 親子の つながりで、 限界突破! 01 ▶ P.03へ 創大生・短大生は 創大・短大では、たくさんの学生が入学時に描いた成長曲線を高く超えて、 大きな夢をつかんでいます。原動力となっているのが、 学生の成長をより高い次元へと引き上げてくれる「人とのつながり」です。 その相手は、創大・短大への進学を後押ししてくれた家族・知人をはじめ、 先輩や同期の友人、そして教職員から大きな影響を受けたという学生もいます。 そこで、創大・短大の“人をつなぐ大学、人とつながるキャンパス” という 魅力を紹介します。今回の記事を読む、「あなたとのつながり」で、 人生の新しい可能性を拓く若者がいるかもしれません。 INDEX 創価大学ニュース 2023 Summer No.118 [ Focus創大 ] P.16 【 &SDGs 】 SDGsグッドプラクティス P.03 親子のつながりで、 限界突破! P.05 兄弟姉妹のつながりで、 限界突破! P.07 教員とのつながりで、 限界突破! P.09 先輩とのつながりで、 限界突破! P.11 同期とのつながりで、 限界突破! 春学期特待生 フォトコンテスト結果発表 事業および決算報告書 P.17 Over the border 【マレーシア】 P.13 学問探訪 【 創造的世界市民 たるための教養とは 】 伊藤 貴雄 教授 P.15 創大生・短大生は、 “つながり” で 限界突破! シム・ジアイさん シム・ジアハオさん シム・ジアフイさん シム・ジアホンさん

02 SUN118 2023 Summer ▶ P.07へ ▶ P.09へ ▶ P.11へ 先輩との つながりで、 限界突破! ▶ P.05へ 兄弟姉妹の つながりで、 限界突破! 同期とのつながりで、 限界突破! 教員との つながりで、 限界突破! 学生の “つながり” エピソード #つながりで限界突破 インスタグラム連動企画

03 「創立者のもとで、 子どもに学ぶ機会を 与えたい」母の夢と 期待が、誰かのために 学び・成長する強さに。 丸山清伸さん (経営学部4年 東京都出身) お母さま 子どもの人生において、親以上に影響を受ける存在は いません。経営学部の丸山清伸さんは、創価大学で学び たいというお母さまの夢を受け継ぎ、その思いが成長の 大きな原動力になっています。 「創立者の教育理念に感銘し、私自身も創価大学に進 学したい気持ちはありましたが、当時は経済的理由で諦 めざるを得ませんでした。その後、創立者が『みんな創価 大学へいらっしゃい。自分が行けなかったら子どもに。子 どもが行けなかったら孫に。孫が行けなかったら来世に 来なさい』というお話をしてくださり、子どもには創価大 学に進学してほしいという気持ちになりました」と、お母 さまは清伸さんに託した思いを語ります。 清伸さんも、そうした母の気持ちをしっかりと受け止め たと話します。 「高校生になり、進路について考えるようになったとき、 昔から母が『兄弟のうち、1人でもいいから、創価大学に 進学してほしい』と言っていたことを思い出し、興味を持 つようになりました。しかし私は6人兄弟の末っ子として 育ち、小学生のころに父が病気で他界したため、母が1 人でいくつもの仕事を掛け持ちして、子ども6人を育てて くれました。そんな母の姿を見ていた兄弟はみんな、高校 卒業後は専門学校への進学や就職を選び、少しでも早く 自立をして、母への負担を減らそうとしていました。その ため、私も就職を視野に入れていました」 進学について悩みを持っていた清伸さんを創価大学へ と導いてくれたのは、本学の卒業生たちでした。お母さま が振り返ります。 「私の知人である創大卒業生が、創価大学は他大学に 比べて給付型奨学金が充実していること、そして清伸が 夢見ていた留学も大学のサポートで実現できることを丁 寧に説明してくれたのです。そうした支援があり、子ども を創価大学に進学させる夢が叶いました」 創価大学に進学した清伸さんは、ひたすら勉強に打ち 込みました。 保護者 学生 期待が成長の エネルギーに ・入学前に創大の魅力を自分事に ・自分のためではなく、 誰かのために 学ぶことの大切さを実感 「つながりの力」解説 創価大学進学を願う保護者や周囲の期待が、学生の成長をうながすエネルギーに Let’s Grow! 親子のつながりで、 限界突破! ﹇ Fo cu s創 大 ﹈

04 SUN118 2023 Summer 母はいつも子どもたちに強い姿しか見せません。でも、本 当は母が大変な思いをしながら、私たちを育ててくれたことを 知っています。だからこそ、創価大学への進学が決まったとき、 母が飛び上がって喜んでくれたことを忘れず、勉学に打ち込 むことができました。 多くの先輩に導いていただき、創価大学を選んだことで、ベ トナムへ4カ月間留学することができました。これは大学の奨学 金制度がなければ実現できなかったことだと、感謝しています。 母の喜ぶ姿を思い出すたび、自分勝手な学びになったら意 味がないと自分を見つめ直します。中学のころ、途上国の子 どもがファストフード店の店前で教科書を広げ、店内からもれ た電灯の光で勉強をしている写真を見ました。そのとき、世 界の人々の幸せに貢献したいと思ったのです。 創価大学では留学や海外インターン、ゼミや日々の授業を 学生たちが夢に向かって歩みを進められるのは、周囲の方とのつながりがあってこ そ。そこで今回は、学生から保護者への感謝の気持ちを伝える本誌の連載記事「あ りがとう」企画を、Focus創大に移動させての掲載。頑張りをまわりで支えてくれる 方へ、日ごろなかなか伝えられない感謝の気持ちを学生から伝えてもらいます。 通して、語学を中心に会計、経営戦略、人間主義経営 などさまざまなことを学んできました。将来は自身の強 みである語学を生かしながら、グローバルで活躍し、社 会や人々の役に立てるような仕事に就きたいです。 創立者の「英知を磨くは何のため 君よ それを忘るるな」 との指針を机の横に貼り、世界には学びたくても学べない 人がいるとの思いで一生懸命勉強していました。創価大 学での学びで培った人間力を生かし、さらに創立者、教員 の方々、支えてくださっている皆さまに感謝の気持ちを忘 れずに、これからも大きな目標に向かって心身ともに健康 第一で頑張ってください。 From 母 創価大学への進学を、 飛び上がって喜んでくれた母の姿を忘れず、 世界の人々の幸せを創造できる人を目指す。 充実した“返還不要”の奨学金 学生の学ぶ機会をサポートするために、創価大 学では多彩な奨学金制度を用意しています。学 費だけでなく、留学資金を支援する制度も取り 揃えて、学生が思い描く理想 の未来を諦めずに前進できる よう支援します。 「まずは世界で活躍するために欠かせない語学力を高めたい と、毎日8時間、英語と向かい合いました。自分のためだけで なく、期待してくれた母や後押ししてくれた先輩方のことを思う と、長時間の勉強でさえ楽しいものになりました。その結果、 TOEICで満点という受験生全体でも0.3%しかいない結果を 勝ち取ることができ、母に伝えると自分のことのように喜んでく れました」 親は子の成長を願い、子はその思いを力に変えて期待以上 の成果で応えていく―。この丸山さん親子の姿は、「英知を 磨くは何のため 君よ それを忘るるな」という創立者の言葉を まさに体現するつながりです。 詳しくは、HPでご確認ください▶ 創価大学のサポート制度

兄弟姉妹のつながりで、 限界突破! ﹇ Fo cu s創 大 ﹈ 「姉が成長した創価大学で、私も成長したい!」 その期待が、あとに続く妹弟の成長のベースになった。 清川翼さん 法学部2年 大阪府出身 清川咲さん 文学部4年 大阪府出身 清川華さん 文学部 2022年3月卒業 大阪府出身 兄 姉 弟 妹 人を励ます行動ができるように成長した姉の姿が、創価大学への憧れに。 入学後、自らも創大の「励ましの文化」を体感。人を励ますことが人生の目標に。 清川家の3姉妹弟、華さん、咲さん、翼さんは揃って 創価大学に進学しました。その要因となったのは、長女 である華さんの成長です。 「創価大学に入ってから、姉の表情がすごく明るくなり、生 命力にあふれて見えたのです。完璧主義でまわりの人の弱 い部分をなかなか認めることができなかった姉が、人それ ぞれの違いを寛容できる懐の深い人間になったと感じまし た」と語る、咲さん。そんな姉妹の間には、華さんの成長を 象徴する出来事があります。高校時代の咲さんは、部活動 でバレーボールに熱中するスポーツ少女でした。しかし、 高校最後の大会直前にアキレス腱断裂という大怪我を負っ 05 てしまい、咲さんは絶望のどん底に。妹をどうにか励まそう と、華さんは当時所属していたクラブ「滝山太鼓」の仲間 に声をかけ、妹への応援メッセージを色紙にもらいました。 その色紙を受け取った咲さんは、「会ったこともない私 の気持ちに寄り添って、励ましてくれるメッセージばかり でした。私も先輩たちのように、人のために全力で行動で きる人になりたいと思いました」と、創価大学への進学を 目指すようになります。そして咲さんは自分も好きなス ポーツにかかわりながら誰かの力になりたいと、大学入 学後は駅伝部にマネージャーとして入部。箱根駅伝で優 勝を争うまでに躍進した部を支えています。 末弟の翼さんも2人の姉の成長を見て、創価大学での 学生生活に憧れるようになりました。 翼さん:創価大学は「優秀な人たちの集団」というイメー ジがあり、勉強の苦手な私には友だちができないのでは ないかと不安がありましたが、2人の姉が後押ししてく れました。実際に進学すると、困ったときにはすぐに助 けてくれる先輩方、課題や諸活動で助け合いながらも切 磋琢磨する同級生など、多くの方が支えてくれ、すぐに 不安はなくなりました。 咲さん:弟は芯が強く、高校まではまわりから誤解され ることもありました。相手のよさを受け入れる創価大学 は弟に合っていると感じていたので、まずは入学してくれ 大学での体験を 言葉で、姿で伝達 大学で 成長! 憧れ 兄姉の成長を通して、“創大の魅力”が入学前から妹弟にとっての“自分事”に 自分 たちも! UP さらにUP 「つながりの力」解説 期待を持って大学に進学することで、意欲的な4年間に

兄弟姉妹同時在籍者への給付奨学金 兄弟姉妹が創価大学・創価女子短期大学に在籍している 新入生に奨学金の給付があります。 06 SUN118 2023 Summer たことが嬉しかったです。今では、まわりの方の助けを得て、さ まざまなことに挑戦する弟の姿を見ると、兄弟のなかで一番成 長しているなと感じます。 そんな充実したキャンパスライフを送っていた清川姉弟を再 び悲劇が襲いました。咲さんがくも膜下出血に倒れたのです。 笑顔で自分を支えてくれる姉の急病の知らせに、翼さんは目の 前が真っ暗に。そんなとき支えてくれたのは、やはり創価大学 の仲間でした。 翼さん:姉の笑顔を見ることができなくなるかもと想像し、泣き崩 れてしまいました。そんな私を心配し、寮の仲間は夜遅い時間にも かかわらず食べ物や飲み物を持って来てくれました。先輩や大学の 職員の方も電話で激励をくださいました。姉の手術が無事に成功 したことを報告すると、皆さん自分事のように涙しながらともに喜ん でくださり、創価大学の励ましのネットワークの強さを感じました。 咲さんのもとにもゼミや大学の友人、駅伝部の人々からの励 ましの言葉が集まりました。そうした励ましのエネルギーが届 いたのか、咲さんは奇跡的に回復しました。 咲さん:病院に運ばれてから3日間は麻酔で眠っていたのです が、その間にゼミや大学の友人、駅伝部のスタッフ陣や仲間た ちなど本当にたくさんの方から「応援しているよ」「頑張れ」と いう言葉をいただきました。目が覚めてからは、多くの人が応 長女 華さん:咲がくも膜下出血で倒れたとき、本当にたくさんの方に励ましをいただきま した。創立者からもさまざまな激励をいただき、1人の学生をこれほどまでに大事に思ってく ださっていることに感激で胸がいっぱいでした。挫けそうなときも、ありのままの姿を受け入 れてくれて、また一緒に立ち上がってくれる仲間が創価大学にはたくさんいます。失敗しても 何度でも挑戦できる素晴らしい場所でした。これからも諦めない心・負けない心を燃やし、 恩返しの気持ちで、自他ともの幸せのために行動できる人へと成長していきたいです。 援してくださっているのに諦めたらダメだと自分に言い聞かせ、 1日でも早く退院できるようリハビリに打ち込みました。すると、 本当に奇跡かと思うスピードで回復し、発症から20日後には 退院してオンライン授業に参加できるようになりました。 さまざまな苦難を支えてくれた創価大学の人々への気持ち は、2人の未来への指針になっています。 咲さん:昔からの夢である小説家になることを、今、目指して います。大学生活を通じて、人のためになる仕事をしたいという 夢も持つことができました。まだ出会ったことのない方も励ませ るような作品をつくりたいと、視野が広がりました。 翼さん:将来の夢は、救急救命士として紛争地域や発展途上 国で医療活動に従事することでした。今は、多くの患者さんの 命を助けたいと思うとともに、その家族など周囲の不安な人た ちに自分がしていただいたような励ましの声をかけられるような 人に成長したいと心から思っています。 入学時は、学習面だけでなく、生活面でも、お金 がかかります。私と弟が奨学金をいただけたこと で、両親の負担を減らすことができました(咲さん) ▶兄弟姉妹の同時在籍が2人目の場合、新入生に対し入学後「入学金半額(10万円)」を給付 ▶兄弟姉妹の同時在籍が3人目以降の場合、新入生に対し入学後「入学金全額(20万円)」を給付 詳しくは、HPでご確認ください▶ 創価大学のサポート制度

学生の夢と正面から向き合う教員の一言は、 人生を大きく前進させるアドバイスに。 07 お笑いコンビ『ナイツ』の塙宣之さんと土屋伸之さん は、創価大学の落語研究会の先輩後輩というだけでな く、2人揃って本学の経済学部神立ゼミの卒業生でもあ ります。卒業後も学生と先生という垣根をこえ、交流が 続いていたという神立教授とナイツの関係性には、創大 生と教員の親密さの理由が垣間見られます。 塙:落語研究会(略称:落研)の先輩方がみんな、神 立ゼミ生でした。落研の活動に理解があって楽ができる のかなと思って入りました(笑)。 神立:落研を特別扱いする気持ちはなかったですよ(笑)。 ただ勉学でも部活動でも、学生たちが熱中して、充実し た学生生活を送る姿を見るのが嬉しかったのです。学生 たちも活動をこまめに報告してくれましたし、教員と学生 という関係性以上に “一緒に同じ時間を過ごした仲間” という感覚ですね。 土屋:神立先生は、親のように学生を気にかけてくれて。 神立孝一 創価大学副学長 経済学部教授 お笑いコンビ 「ナイツ」 塙宣之さん 経済学部 2000年卒業 お笑いコンビ 「ナイツ」 土屋伸之さん 経済学部 2001年卒業 学生 教員 「つながりの力」解説 学生が前進するために必要なサポート 努力 真剣に夢を追う学生の強い思いを、教員が共感・共有し、その実現を全力でサポート 真っ直ぐ 夢へ 本気の思いを受け入れてくれる安心・信頼 夢を共有しているから学生を成長に導く支援が生まれる! 教員とのつながりで、 限界突破! ﹇ Fo cu s創 大 ﹈

08 SUN118 2023 Summer 「塙くんとは仲よくやっているか」のように、卒業後も電話で励ま していただきました。 神立:卒業しても仲間という意識が強いので気にはなりますよ ね。ちなみに塙くんは、ゼミ旅行の際に自分の進みたい世界に ついて熱く語ってくれたことがあります。土屋くんも、卒業後にゼ ミの集まりで我が家に来たときにお笑い論を熱弁していたのを 今でも覚えています。 土屋:若手のころは、お笑い論を語りがちかもしれませんね(笑)。 塙:僕は神立先生から2回もお笑いについてのアドバイスをい ただいたのを覚えています。1回目は、学生時代に先生にネタを 見せたとき、「お前のはネタになっていない」と言われたこと。も う1回は、まだテレビにも出ていないときに、「本当に売れたい のだったら、もっと深く考えなきゃダメだ」と。 土屋:学生のことを深くわかってくださるので、先生のアドバイ スは核心をついている。「ネタについてもっと考えなきゃいけな い」「売れるためにもっと考えなきゃいけない」と自分たちも心の 底で思っていることを、改めて言ってくださるので、先生の言葉 で自分たちを見つめ直すことができました。そんな先生だからこ そ、学生も本音を出してしまうのかもしれません。 神立:ナイツの2人は、テレビに出るまで少し時間がかかりま した。それまでは、アルバイトでどうにか生活をしているという 話を聞いていました。将来を心配して、あるとき、お笑いを諦め て別の道を探した方がいいんじゃないかと言ってしまったことが ありました。すると、すぐに2人は「僕たちは創立者と約束をし たのです。笑いで人々を幸せにするのだと。その約束を必ず実現 するので、先生もうちょっと待っていてください」と返ってきまし た。その熱意に、創立者と約束したなら何も言わずに見守ろうと、 私も覚悟を決めました。 土屋:結果が出ていなかったので、正直、そのころは先生に会 うのは怖かったですね。結果が出ていないときに先生に会うと痛 いところを突かれるのではと。 神立:でもナイツは、その次の年のM-1グランプリをきっかけ に売れ、至るところで活躍を目にするようになりました。自分の ことのように嬉しかったです。 創大生は、基本真面目で、自分たちの未来に対して真剣なの です。その一方で偉いなと思うのは、自分のことだけじゃなく「笑 いで人を幸せにしたい」といろいろな人たちに幸せを与えること を、夢と語っていたところです。そういう生きざまや夢を真剣に 追い続ける姿に、教員として、また人間として、学生から多くを 教えてもらっています。 塙:実は、僕は高校時代によい人間関係が築けなくて……。 それが、大学に入ったら、まわりの人たちが全力で励ましてくれ る環境にガラリと変わりました。先生方、職員の方、先輩後輩、 自分にかかわるすべての人が真剣に向き合ってくれました。そう した創大での出会いや学びがなかったら、今の僕はなかったです。 土屋:「落研は皆が喜ぶ人のため」という指針を創立者にいた だいています。その思いが、今も原動力になっています。原点だ からこそ、今も八王子キャンパスに行くと、「元気エネルギー」を もらえます。 神立:これからも、多くの人を笑いで幸せにしてください。活躍 を楽しみにしています! 教員アドバイザー制度 ▲詳しくは、HPで ご確認ください 「ナイツ」から受験生への 応援メッセージ動画 充実した大学生活を過ごして卒業できるよう、学生一人ひとり を対象に、学部ごとに専任教員が担当アドバイザーとなり、親 身になって学業・修学指導を行う制度です。多くの学部では、 数名から十数名の学生を1人のアドバイザーが担当します。 アドバイザーは1~2年生を担当するアカデミック・アドバイ ザーと、3年生以上を担当するゼミの指導教員に分かれます。 創価大学のサポート制度

09 長利先輩には入寮当日からお世話になりました。 はじめて親元を離れて生活をする私は、ホームシッ クのため玄関先で涙ぐんでしまいました。長利先輩 はそんな私を心配して部屋まで背中を支えてくれ、 そのやさしさでとても安心したのを覚えています。 寮生活の1年間は、嬉しいときも、悲しいときも、 いつも先輩方が側にいてくれて、昼夜問わず話を聞 いてくれました。私が「日本語教師になりたい」とい う夢を伝えたら、「ワールドランゲージセンターを活 用して、ネイティブの英語を勉強するといいよ」と具 体的なアドバイスをいただきました。そんな先輩の 部屋の灯りが夜遅くまでついていると、「先輩も勉 強を頑張っているから、私もまだまだ努力するぞ!」 と勉強に気合いが入ります。 先輩とのかかわりすべてが、私の成長の糧になっ 長利美留さん(文学部3年 桜香寮A棟寮長 青森県出身) 佐々木瑞希さん(文学部2年 桜香寮A棟ひまわり委員 岩手県出身) 創価大学の「先輩が後輩を自分以上の人材に育てる」 という伝統は、寮生活においても息づいています。「レジ デント・アシスタント(RA)/ 残寮生/ ひまわり委員」 と呼ばれる先輩寮生が、新入生をサポートする制度です。 「寮は、人間性が成長する場だと感じています。日本各 地からバックグラウンドも考え方も違う学生が、一つ屋 根の下で暮らすということは寮ならではのこと。1年間の 寮生活を終えたとき『ここに来てよかった』とすべての後 輩に感じてほしいと思い、サポートしています」(長利さん) 寮内の後輩からの相談は、勉強のこと、生活のこと、 人生の悩みまで多岐にわたります。そのすべてに、長利 さんは自分が先輩からしてもらったように、慈愛の心を もって向き合います。 「相談をしてきた後輩はもちろん、何か悩みを抱えてい そうな学生がいたときには、すぐに声をかけ、答えを提示 するのではなく、相手の成長につながるアドバイスをする ように心がけています。最初はホー ムシックで泣いていた後輩が、寮で の経験を糧にたくましく成長していく 姿を見ると、自分が先輩から受けた 恩を後輩に返せたかなと、嬉しく思 います」(長利さん) 寮で暮らす仲間だからできるサポートで、 先輩が後輩の人間的成長を見守る。 寮生活 ていると実感しています。だから、次は私が寮に残っ て、支えてもらったぶんを後輩に還元していきたい と思い、ひまわり委員になりました。寮でしか得ら れない学びを、この1年間たっぷりと後輩に体感し てほしいと思います。 最初は「本当に辛いです」「家へ帰りたいです」と悩ん でいた瑞希と、今、寮長とひまわり委員という関係で、 後輩へのサポートについて相談できるのがとても嬉 しいです。瑞希は常に悩みながらも「どうやったら新 たな自分と出会えるか」を最大限に考え、挑戦してい ました。そうした彼女の成長を通して、人にかける励 ます言葉一つひとつがとても大切なのだと実感でき、 私にとっても一番の励ましになりました。ありがとう。 From 長利 入寮時、ホームシックで涙を流した私が、寮生活で成長。 「ひまわり委員」として後輩を支援できる人に。 ▲詳しくは、HPで ご確認ください 先輩とのつながりで、 限界突破! ﹇ Fo cu s創 大 ﹈

10 SUN118 2023 Summer 私は、「スゴい人」になりたいという漠然とした将来ビジョ ンしか持っていませんでした。でも那須野先輩との対話で自分 の考えが言語化されていくなかで、「どういう人間になりたい か」「何に挑戦すればいいのか」が明確になりました。 今の目標は、『できることすべてに挑戦して、全制覇したい』 ということ。キャリアデザインの授業では、たくさんの先輩とお 会いし、その経験談に刺激を受けるとともに、その立ち振る舞 いを観察するようにしていました。那須野先輩が私の考えを言 語化していただいたときの仕事の早さなど、「こうなりたい」と いう憧れが増えました。 私が考える「スゴい人」とは、先輩方のように “何でもない ように素晴らしい働きができる人” です。だから残りの大学生 活では、留学でも、インターンシップでも、できる限りの経験 那須野晴菜さん(経済学部2023年3月卒業 福岡県出身) 崎和大さん(理工学部2年 広島県出身) 先輩からの影響を後輩がもっとも感じるのが、キャリア支援面 でのサポートです。創価大学では、1年生の秋に全学共通カリ キュラム『キャリアデザイン基礎』が開講されます。授業では、 すでに進路を決めた4年生がキャリアサポートスタッフ(CSS) として自らの経験をもって後輩を導きます。特に力を入れている のは、「4年間計画」の立案です。 「私が心がけたのは、『こういうふうになりたい』という気づきを 一緒に見つけるために、問いかけを繰り返し、 崎君の考えを 一つひとつ言語化していくことでした。1年生にとっては少し 難しいキャリアについての話だったかもしれませんが、真剣に 向き合いました。それも後輩の成長を応援 したいという強い思いがあるから。先輩 がしてくれたように、今度は私が後輩を全 力でサポートしたいと思っています。この 恩返しの連鎖が、創大生の文化だと思い ます」(那須野さん) 「後輩の夢の実現を本気でサポートしたい!」 先輩の真剣でカッコいい姿勢が、後輩たちの目標に。 キャリア支援 をしたいと思います。そして、失敗を繰り返してでも最終 的には勝利し、「私はこう大変だったけど、こう成功した よ」という体験を積み上げ、それをありのままに後輩に伝 えられる人になりたいと思います。 ボランティアやインターンシップなど、授業外の経験をいろ いろとアドバイスをしたのですが、 崎君はそのすべてに刺 激を受け、挑戦したいと言ってくれました。特に嬉しかったの が学内のビジネスコンテストに実際に出場するという行動 をとってくれたことです。自分の経験が未来のヒントになり、 後輩たちの挑戦を後押しできたと思うと、とても幸せです。 From 那須野 先輩との出会いを通して、できることすべてに挑戦すると決意! 今度は自分が、ありのままの体験談を後輩たちに伝えたい。 ▲詳しくは、HPで ご確認ください 経験談で成功に導く こうなりたい 「モデルケース」に! 先輩 後輩 先輩の成功体験が、 後輩の道しるべに。 恩返しのループが、 創大生の実力を底上げ! 「つ な が り の 力 」解 説

異なる個性が創価大学の “人を認める文化” の なかで融合。協業し合い 刺激し合いながら、1人では たどり着けない高みへ。 短大では友人と支え合うことで乗り越えられる挑戦がたくさんあります。 「私は高校まで利己的で、友人を大切にできませんでした。でも、目の前の1人に丁寧に接して 活気を与えてくれる短大の同期と出会い、同じように友を心から大切にしようと決意。帰省した 際に自分から地元の友人に会ったことを報告すると、同期は自分事のように喜んでくれ、私も嬉 しくなりました」(仁藤さん) 「不登校を経験してから、友人の幸せを心から願えない自分がいました。そんな思いを短大の同 期に打ち明けると、友人も悩みを打ち明けてくれ、はじめて本音で語り合うことができ、最後には 感謝とともに『一緒に支え合っていこう』と毎日励ましてくれました。友人の思いに自身の成長で 恩返しがしたい一心で、卒業委員会の委員長という大役を務めることができました」(橋本さん) 11 目の前の1人を大切にする短大の文化で、人とかかわるのが苦手な自分を克服 創価大学では学生主体の伝統を大切にしており、入学式、卒業式、創大祭といった 三つの行事の運営を、学生有志が集まった実行委員会が中心に行っています。 「入学時は自分に自信がありませんでしたが、今では100人を超える学生をまとめる実 行委員長を務めるまでに成長しました。それは、ときに厳しく、ときに温かく私を励まし てくれた同期がいたから。同期のようになろうと友人の成功や成長を応援し、『人のため』 の行動を心がけたことで、仲間とともに卒業式を成功させることができました」(西田さん) 「『創価大学は自分が引っ張っていく』と本気で行動する志高い同期の頑張る姿に、自 分も挑戦をしようと刺激を受けました。困難を前に挫けそうになる私を、励まし、『最後 までやり遂げる』喜びを教えてくれたのが西田たち同期なのです」(岡谷さん) 高い志を共有する同期の頑張る姿が、挑戦へのモチベーションに 書道部で切磋琢磨する2人は、お互いの書のスタイルとともに、その人間としての魅力 も認め合っています。 「華乃子は書に絵を添えるのですが、書だけでなくその絵もとても素敵で、多才です。そ して副部長として部全体のスケジュール管理や運営をする手腕も尊敬しています。私は人 前に立つことが苦手で、団体の運営は書道部執行役員がはじめてでした。華乃子と一緒 だったから、執行役員としての役割を果たせたのだと思います」(浅沼さん) 「あさこ(浅沼さん)は勢いのある芸術的な書を描きます。私とは違う感覚の持ち主だか ら、迷ったら何でも相談していました。昨年の創価芸術展で一緒に副実行委員を務めたと きには、文化部全体の意見をまとめるプレッシャーに慌ててしまうこともありました。そん なときも、私の力を信じて励ましてくれる彼女の存在が支えでした。高校から書道部で一 緒に活動して7年。あさこと二人三脚だから大変なことも乗り越えられました」(髙橋さん) 信頼できる同期との二人三脚だから、乗り越えることができた壁がある 髙橋華乃子さん (文学部4年 東京都出身) 浅沼華子さん(教育学部4年 神奈川県出身) 仁藤美和さん(創価女子短大卒業/現:経営学部3年 北海道出身) 橋本美紀さん(創価女子短大卒業/現:法学部3年 岡山県出身) 岡谷蓮さん(法学部3年 愛知県出身) 西田貴志さん(教育学部3年 兵庫県出身) 実行 委員会 クラブ 活動 短大 「つながりの力」解説 お互いに理解 弱い部分/悩み 魅力/強み 励まし合いながら一緒に克服! 自分も同期のようになりたい! 同期とのつながりで、 限界突破! ﹇ Fo cu s創 大 ﹈

短大の青野ゼミでは、ゼミ生全員がアイデアコンペティションに参加。限界を超えた挑戦のなかで絆が生ま れています。 「短大生はさまざまな挑戦をしており、忙しくて関係がすれ違うことも。そこで、ゼミのみんなで意見をぶつけ 合い、みんなで『なぜ青野ゼミに入ったのか』という初心に帰りました。チームの活動の際も、自分の原点や 意見を共有したことで、女性の働きやすさ向上を目指す私たちの事業案が、都の施策に採用されました」(中 野さん) 「コンペティションへの挑戦で誰もがプレッシャーを抱えていました。そんなとき、『1度、腹を割って話そう』 と悩みをさらけ出し、『みんな頑張っている』ことを確認し合い、全員で乗り越えることができました。『人との つながりが力になる』と教えてくれた短大の同期には感謝の気持ちしかありません」(井関さん) 12 SUN118 2023 Summer お互いの弱みも悩みも知り尽くした友との絆が、挑戦する勇気の源に 2人が所属する安田ゼミでは学生6名のチームでグループワークを積み重ね、学外のビジネス コンテストに挑戦しました。 「チームメンバー間のやりとりに問題を感じ、美咲と相談して『本音ミーティング』を開催しました。 私は意見を強く出すタイプでしたが、丁寧に思いを伝える美咲と解決策を考えて提案したことで、 プロジェクトがスムーズに進むように。ゼミで後輩を指導するときも、美咲から学んだ姿勢を大切 にしています」(米満さん) 「短大から編入し、最初は積極的に発言する男子学生の勢いに戸惑っていた私は、萌英の発信力 に強い刺激を受けました。そして、同期の個性を尊重し合って取り組んだ結果、チームとして限界 突破し、学外のビジネスコンテストでも優れた結果を得ることができました」(兒島さん) 同期の個性を認め、それぞれのよさを活かすことでチームの力を最大限に 100名以上の学生が暮らす男子寮で後輩を支援する複数人の寮長たち。ここにも好影響を 与え合うつながりがあります。 「私は頭で整理した考えをもとに『運営』をするタイプの寮長でしたが、岡田は寮生の懐に入り、 学年の垣根を越えて"アニキ"として導くリーダー。その姿に感銘を受け、物事を柔軟にとらえ る価値観を持てるようになりました」(古島さん) 「創大生が目指す人間力が、もっとも身につき、磨かれる場が寮だと思います。価値観の異な る人、悩んでいる友にどう接するのか。寮生活は、まさしく人間力を磨く場です。 お互いに寮長として出会った古島は、私がゼミや部活動と寮運営の両立を諦めそうになった とき、厳しく背中を押してくれ、真の友情を築きました。すべてが、人生の宝です」(岡田さん) 同じ悩みと目標を持つから、同期のよさを自分の力として吸収できる 中野菜摘さん(創価女子短大卒業/現:文学部3年 東京都出身) 井関春香さん(創価女子短大卒業/現:法学部3年 大阪府出身) 米満萌英さん(経営学部4年 大阪府出身) 兒島美咲さん(経営学部4年 鹿児島県出身) 古島冬馬さん(理工学部4年 兵庫県出身) 岡田祐太郎さん(経済学部4年 福岡県出身) 【創価大学・創価女子短期大学】 今年もイベントが盛りだくさん! 【 2023年 】 8月5日(土) 8月27日(日) 7月15日(土) 10月29日(日) 7月中旬公開 卒業生や関係者の皆さまも ぜひご視聴ください 9月24日(日) 12月10日(日) 体験授業、バスツアー、相談コーナー等で 大学進学をイメージしよう! 施設見学を中心としたイベント! 大学進学をイメージしよう! オンデマンドだからいつでも見られる 創大・短大の魅力を紹介 イベントの 詳細はこちらから 短大 ゼミ ゼミ 寮 3月20日(水・祝) 【 2024年 】 オープンキャンパス キャンパス見学会 8月6日(日) 保護者(関係者)向けガイダンス

13 シム・ジアイさん[ 教育学部4年 ] シム・ジアハオさん[ 理工学部3年 ] シム・ジアフイさん[ 経営学部1年 ] シム・ジアホンさん[ 日本語別科在籍 ] マレーシア創価幼稚園で幼少期を過ごしたシ ムさん4兄弟姉妹にとって、創価教育の理念は 身近なものだった。長女ジアイさん(写真左から 2人目)が創価大学への入学を意識したのは、 高校卒業を目前にし、将来を考えたとき。 「自由に学生の可能性を伸ばしてくれる教育が 受けたいと思い、最初は欧米の大学への進学を 意識していました。そんなとき、創立者の著書 『新・人間革命』の「創価大学の章」を読んで、 そこに描かれている学生の成長と青春のストー リーに、理想の大学を見つけた思いがして、創 価大学への進学を決めました」 翌年、姉を追うかのように、長男ジアハオさん (写真右から2人目)も創価大学に進学した。 「創立者の哲学と精神を肌で感じたいと考えま した」 創価教育を自ら体現しようと来日した2人は、 勉学だけでなく、学内の活動にも積極的に参加 し、それぞれ男女の寮で後輩の生活を支援する 学生スタッフを務めた。 「日本に来て不安だったとき、先輩たちが励まし、 支えてくれました。その恩を後輩に返したいと、 できる限りのことをしています」(ジアハオさん) 「大学で信頼できる友人たちと出会い、弱さを 創価教育の理念を肌で感じ成長するために、 遠く祖国を離れ、創大キャンパスでの挑戦の日々を選択。 人に見せることができるようになったぶん、前よ りも人に寄り添うことができるようになりまし た」と語るジアイさんたちの成長は、家族のか かわりにも影響を与えた。家族間の対話が増え、 人生についての相談など深い話をする機会が増 えたという。 兄姉のそうした変化に頼もしさを覚えた次女 ジアフイさん(写真左)、次男ジアホンさん(写 真右)も自然と創価大学の門を叩いた。 「大学の友人から、兄のサポートに助けられて いると感謝されました。そんなふうに兄姉の成 長を実感できると、私も多くの体験をして成長し たいという意欲がわきます」(ジアフイさん) 「日本への留学は、私にとってとても勇気がいる ことでしたが、兄姉が創大の仲間とともにいきい きと過ごしていると知っていたので、安心して進 学できました。今は、これからどんな挑戦が待っ ているかとワクワクしています」(ジアホンさん) 「創価大学で学んだ励ましの文化を、世界に広 げたい。マレーシアでも、日本でも、場所はど こでもいいんです」とは、ジアイさんの将来の 夢だ。シムさん4兄弟姉妹の未来は、故郷から 遠く離れた八王子の地で、大きく、たくましく育 まれている。 Over the bor

近年、経済成長が著しい東南アジア諸国で躍進を遂げ る、マレーシア。その首都であるクアラルンプールは、高層 ビルが立ち並ぶ大通りと、昔ながらの屋台が並ぶ路地裏 が共存する魅力的な街だ。さまざまな民族も共存し、イス ラム教、仏教、ヒンドゥー教といった宗教が隣りあわせで 信仰されており、世界でも稀な多様性に満ちた都市である。 人間性の成長と励ましの文化を求めて、 マレーシアから創価大学へ。 rder 14 [クアラルンプール] マレーシア SUN118 2023 Summer

学問 探訪 伊藤 貴雄 教授 【 文学部 】 難解な古典に時間をかけて向き合うことで、 現代を価値創造的に生き抜くための力を育む 創価大学は「価値創造を実践する世界市 民」を輩出するという教育理念を掲げていま す。本学には先輩たちの成功を共有し、そ の経験を自分事として糧にしていく成長文 化がありますが、これには「創造的世界市 民」という共通した目標像が大きな役割を 担っているのではないでしょうか。 そこで、今回は文学部で哲学を研究する 伊藤貴雄教授に「創造的世界市民」の起源 について改めてうかがい、その目標に近づく ために学ぶべきことは何かについて語って いただきました。 「『世界市民』という理念は、古代ギリシャ の哲学者ソクラテスも使ったとされる長い 歴史のある概念です。また『創価』の語源で ある『価値創造』という語は、大正デモクラ シー期の知識人たちのキーワードでした。 何が正しく何が間違っているのか、何が心 地よく何が心地よくないのかという価値観 は、ひと握りの権力者が決めるものではな く、一人ひとりの市民が自ら考え発信してい くものであり、そのための教育が必要だとい う民主主義の理念が本学教育理念のルー ツにあります。 こうした歴史を持つ『創造的世界市民』と いう理想は、人類が何世代にもわたって先 人の英知の遺産を引き継ぎつつ、後人も自 らの経験と思索をもって磨き上げてきたも のなのです」 理念が悠久の人類思想史に起源を持つ ものだからこそ「、創造的世界市民」を目指 す学生たちには、複眼的かつ立体的な価 値観を養ってほしい―そう語る伊藤教 授は、担当する共通基礎演習科目「創立者 の若き日の読書に学ぶ~『池田文庫』開設 25周年記念~」の授業を、考える力の素地 を身につけ教養人としての一歩を踏み出す ための場にしてほしいとエールを送ります。 「創立者が18歳のときに記した読書ノー トには、多様な著作について、心に残った 一節や感想が書き留められています。石川 啄木や有島武郎などの文芸作品もあれば、 プラトンやモンテーニュ、ルソーやエマソン、 福沢諭吉や内村鑑三といった哲学・思想 の古典も含まれています。 授業では、その読書ノートの記述をもと に、学生たちと創立者寄贈図書『池田文庫』 を読みます。そして、例えば同じルソーの哲 学書でも、“人によって読み解き方は異な る”ということを学びます。それは『ルソーか ら何を学ぶべきか『』創立者がルソーをどう 評価したか』という正解を求めるのではな く、教員や友人たちの考えに触れて自分の 考え方との違いを感じることで、“人の数だ け異なる読み方=価値観が生まれていると いうこと”を経験してもらうのです」 File 35 創大の 昨今の社会において価値観の多様化が 語られる半面、ノウハウやスキルといった簡 単に手に入る知識や画一化した正解がもて はやされる風潮が見られます。そんな時代 にこそ、あえて難解な古典に挑み、今を生き 抜くための知的耐久力を鍛えることが大切 だと、伊藤教授は強調します。 「近い将来、AIが何にでも答えを示してくれ る時代になるかもしれません。しかし最終 的に答えを決めるのは自分です。自ら苦労 せず答えを他者から与えられることに慣れ てしまうと、提示された答えが本当に正しい のか見分けるセンスが弱まってしまいます。 それはとても恐ろしいことです。 対して、難解な古典を読解するには忍耐 が必要です。その忍耐こそ正しい答えを見 分けるセンスを鍛えてくれます。とはいえ、 独学では挫折してしまうことや、他者の価 値観との出会いがないこともあるかもしれ ません。しかし大学は、人類の英知を他の 学生や私たち教員と一緒に考え学び合える 場です。自他の視点を踏まえたうえで自分 の答えを導く経験は、現実社会での『未知 の問題を解決する能力』を育むことにつな がると思います。こうした知の格闘から得ら れる『教養』こそ、次の時代を世界市民とし て価値創造的に生き抜くために必要な学び であると、私は考えています」 [ テーマ ] 創造的世界市民 たるための教養とは Takao Ito 15

16 SUN118 2023 Summer 大学内に芽吹くSDGs活動を支援する「SDGsグッドプラクティス」制度がスタート 地球に優しいアイテムの販売を通して海洋ゴミ削減を目指す タイプA 最優秀賞 タイプB 最優秀賞 大束良明さん(経営学部4年)、荻野拓未さん(経営学部4年)、桑原翔太さん(国際教養学部4年)、 井戸秀将さん(教育学部4年)、兼岡杏至さん(国際教養学部4年) 創価大学と創価女子短期大学の「○○&SDGs」をテーマに、 「Soka University Grand Design 2021-2030」の 一つの柱でもあるSDGsの取り組みをピックアップ! 今号では「SDGsグッドプラクティス」制度を紹介します。 創価大学「SDGsグッドプラクティス」は、「Soka University Grand Design 2021-2030」に掲げる国連で定めら れた持続可能な開発目標SDGsの達成を目指し、本学の学部生および大学 院生のグループの取り組みを称えて助成する、新しい制度です。本年3月14 日、第1回目の表彰式が行われました。今回は【タイプA:貢献度の高い取 り組み】【タイプB:実現可能性の高いアイデア】それぞれのカテゴリーの 最優秀賞に輝いたグループの取り組みをご紹介します。 海洋ゴミの削減に貢献するアイテムの開発・販売を行う会社「Ranchu Japan」 を設立。Z世代を中心としたボランティア有志とともにビーチクリーンアップ活動を 実施し、そこで回収したプラスチックなどの海洋ゴミを素材としたネックレスを制作・ 販売しました。また、その販売収益は海洋ゴミの回収資金として活用しています。 そのほかにも、海洋ゴミの削減に貢献するさまざまな挑戦を行っています。 49回目を迎える夏季大学講座。本講座は、創立者池田大作先生のご提案で 「市民に開かれた大学」を目指し、開学3年目の1973年より始まりました。 本年も創価大学キャンパスにて対面講座を実施します。ご都合により対面で ご参加いただけない皆さまのために、一部の講座を後日オンデマンド配信いた します。充実した多彩な講座をご用意し、皆さまのご参加をお待ちしています! 創価大学におけるファーストジェネレーション支援 本年も創価大学キャンパスにて開催! 一部の講座は、後日 オンデマンド配信も行います。7月10日(月)より申し込み受付スタート! 村瀬侑水さん(国際教養学部2年)、鈴木未来さん(看護学部2年)、 三木綾華さん(国際教養学部2年)、岩間夏美さん(法学部2年) ファーストジェネレーションとは、家族のなかではじめて大学に進学する学生を意味します。彼らは「大学生活の過ごし方」 のようなコツをまったく知らないため、大学への適応に困難を抱えやすいと言われています。そこで村瀬さんたちグループでは、 創価大学内におけるファーストジェネレーションへの情報発信を実施。さらには、ファーストジェネレーションを互いにつなげる 共同体の形成もスタートさせました。最終的には、大学内に持続可能なサポートシステムを構築することを目指しています。 申込方法や講座の詳細は、右記のQRコードから 本学HPへアクセスし、ご確認ください▶ 日 程 受 講 料 :9月2日(土)・9月3日(日)創価大学にて :1講座3,000円(税込) 【 対面講座 】 【 オンライン配信講座 】 配信期間 受 講 料 :9月19日(火)10:00~10月9日(月・祝)23:59 :8講座セット(見放題)で 3,000円(税込) 夏季大学講座のお知らせ ※1講座3時間(90分×2コマ) 第49回

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