創価大学ニュース「SUN」108号 2021 Winter
学 問 探 訪 木村 幸代講師 【 看護学部 】 「こうでなければならない」という考えにがんじがらめになったら、 一呼吸置いて考える。すると、スッと心が軽くなる。 コロナ禍で心の不調を感じている人も 多いのではないでしょうか。日常を取り 戻すまでもうひと踏ん張りするために、 今回は普段とは違う状況下でのストレス への対処法を「精神看護学」を研究され ている看護学部講師の木村幸代先生に 教えていただきます。 「日本精神科看護協会では精神科看護 を『精神的健康について援助を必要とし ている人々に対し、個人の尊厳と権利擁 護を基本理念として、専門的知識と技術 を用い、自律性の回復を通して、その人 らしい生活ができるよう支援することで ある』と定義しています。つまり精神看 護学とは、心の健康問題を抱えている 人々がその人らしさを取り戻して、その人 の望む人生を再び歩めるように支援する 看護実践を研究する学問だと思います」 心の健康に不安を抱く人が少なくない なか、コロナ禍においてはさまざまな心 の健康問題が懸念されています。 「実際に私の講義を受講する学生から も、オンラインという状況になじめず、 学習面だけでなく生活面での不安から心 身に不調を感じているという話を聞きま した。そうした学生には、『一呼吸置い て考える』ようにアドバイスをしていま す。コロナ禍でルーティンが崩れてしま い、身動きがとれなくなってしまったと きは、『こうでなければならない』とい う考えにがんじがらめになっている場合 が多いのです。だから、まずは身近な 家族や仲間と話して、一呼吸を置くこと です。話をすると自分の置かれている 状況が俯瞰でき、『コロナ禍だから、そ れはできないよね』と考えを整理できる ようになります」 話を聞いて人に寄り添うことは、“傾 聴技術” という精神看護学の基本です。 専門家でなくても、信頼できる人との会 話で心は癒やされます。 「話を聞く方もアドバイスなど何かをし てあげなくちゃと考える必要はありませ んので、周囲に悩んでいる方がいたら 積極的に会話をするといいでしょう」 精神科領域において心理社会的療法 の一つに作業療法というものがありま す。家庭でできる心のストレス解消法と File 25 創大の して、作業療法を応用することも効果的 です。 「自粛期間中に『料理やものつくりには まった』という人はいませんか? それは目 の前の作業に集中することで悩みから解 放されたり、できあがることで達成感を 得られたりと、“動の休息” を自然にとって いたのです。ほかにも自粛期間中に散歩 やキャンプなどで、豊かな自然に目を向け たり、漫画や映画やドラマに熱中したりと いったことも同様です。“休み”というと何 もしない “静の休息” を皆さん考えがちで すが、積極的に動いて楽しいことをする“動 の休息” で一呼吸を置くことが、ストレス を司る脳の休憩には効果的です」 心の不調を抱えている人が周囲にいた ら、「これ面白いから一緒にやってみない?」 と声かけをしてあげるといいでしょう。 「皆さんに改めてお伝えしたいのは、コ ロナ禍で普段通りできないことが生まれ るのは当然だということ。そんなときは、 できない自分を責めるのではなく、受け 入れて、ご自身のメンタルをしっかり守っ ていただきたいと思います」 17 [ テーマ ] 心の不調を整える術 Sachiyo Kimura
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