人生には、自分を変える「スイッチ」があります。そのスイッチが入る瞬間とは、 一歩を踏み出す勇気を得たときかもしれない。誰かを信じ、つながる力を感じたとき かもしれない。あるいは、自分の使命に気づき、未来を見据えた瞬間かもしれません。 どんな些細な気づきも、どんな挑戦も、すべては成長の始まりです。 弱い自分を克服し、磨きあげた英語力を武器に世界へ挑む。 最先端のロボット研究を通じて、人類の未来に貢献する。 不登校から立ち直り、多くの後輩を支える道を歩む。 創価大学の学生たち、そして卒業生たちは、大学生活を通じて それぞれ「スイッチ」が入り、自らの可能性を切り拓いてきました。 一人ひとりの成長物語を通して、大学でのさまざまな経験や出会いによって、 自分自身のなかにある「スイッチが入る」瞬間をご覧ください。エピソードのなかに、 あなた自身の「スイッチ」が見つかるかもしれません。 09 創価大学は未来を動かす スイッチが入る場所 Focus 創大
「逃げない自分」への スイッチが入った 仲間との出会いが変えた、 挑戦する勇気の物語 経営学部4年 鈴木 彰太さん ※GCPは、学生がグローバ ルな視点を育み、国際社会で 活躍するための基礎力を養う プログラム。6学部から集まっ た学生たちが、グループワー クや議論を通じて多角的な視 野を磨く 詳しくは▶ 10 SUN124 2025 Winter 「最後まで逃げ出さない。そう決意したときが、私のスイッチが入った瞬間でした」。鈴木さんは、 消極的だった自分が困難に立ち向かう自分へと変わっていった転換点をはっきりと覚えている。 大学1年次、苦悩のなかで見つけたスイッチ 入学直後はコロナ禍だったが、徐々に対面授業が再開され、片道2時間の通学とGlobal Citizenship Program(GCP)※での活動の両立に悩んでいた。 「もともと自己肯定感が低く、それでいて完璧主義な性格。何かに行き詰まるとすぐに逃げ出 したくなり、課題も最後まで頑張りきれない。そんな自分でした」 そんなとき、周囲の支えが彼のスイッチを入れた。 「家族、友人、先輩、教員など多くの方々が支えてくれた。特に先生方からは『逃げないこと、 諦めないこと』を繰り返し教わり、友人たちからは励ましをもらいました」 スイッチが入って訪れた、二つの大きな変化 励ましは、鈴木さんに二つの重要な変化をもたらした。一つは、物事への姿勢の変化だ。 「困難や課題をプレッシャーではなく、成長の機会としてとらえられるように。今では課題に立 ち向かうことを楽しんでいます」 もう一つは、周囲との関係性の変化である。 「人を頼ることができるようになりました。創価大学には悩んでいるときに正しい方向に導いて くれる方々が大勢います。GCPの教員や先輩からの的確なアドバイスが、今の自分をつくってく れました」 スイッチが入ったあとの成長は目覚ましく、TOEICスコアはわずか1年で590点から820点へ。 さらに、留学前までには905点へと大幅に向上した。 「目標スコアを超えたとき『自分にもこんなことができるんだ』と。逃げ出さないと決意してから より大きな挑戦ができるようになりました」 その努力が特待生選出やベトナム留学という新たな挑戦につながった。中村みゆき教授の ゼミでは、約10カ月におよぶ「日経STOCKリーグ」コンテストのグループワークもやり切った。 現在は金融機関への就職が決まり、将来は東南アジアの金融サービス発展への貢献を目指す。 「創立者池田先生の『労苦と使命の中にのみ人生の価値(たから)は生まれる』という言葉を 胸に、これからも挑戦を続けていきたい」と語る鈴木さんの瞳には、もう迷いの影は見えない。 GCPの集大成である成 果報告会では「、大量生 産・大量消費社会にお ける環境問題の解決を 目指して」とのテーマで プレゼンを行った コロナ禍で入学から半 年間は完全オンライン授 業。その環境下でもとも に支え合い切磋琢磨し あったGCPの仲間たち
11 「技術と人をつなぐ」 スイッチが入った 最先端のロボット研究に 見いだした使命 大学院理工学研究科2年 大熊 裕樹さん 「なぜ学ぶのか」。その問いに明確な答えを得たとき、研究への情熱に火がついたという。大 学院で最先端のロボット研究に取り組む大熊さんは、技術と人との懸け橋になることを目指し ている 。 彼が所属する研究室では、「生活支援ロボットの実現」という、人とロボットが共存する新し い関係性を模索している。ロボカップと呼ばれる競技大会では、完全オリジナルのロボットを製 作するオープンプラットフォームリーグで4年連続日本一に輝いた。一昨年はフランス、昨年は マレーシアでの世界大会にも出場を果たした。 “出会い” から見つけた夢中になれる自分の道 「最初からロボット研究を志していたわけではない」と大熊さんは語る。当初は別の研究室を 希望していたが、先輩のすすめもあり、現在の道を選んだ。この選択が人生の転機となった。 スイッチが入った瞬間は、オープンキャンパスでのデモンストレーション。 「開発したロボットが人の指示通りに物を運び、来場者の歓声と拍手を受けたとき、目の前の 学びが人の役に立つ実感を得ました」 それが、研究への姿勢を大きく変える契機となった。男子寮での3年間も、彼の成長を大きく 後押しした。 「創立者池田先生の『実力をつけることで、たくさんの人を守っていける』との言葉を胸に挑 戦するなか、『何のために学ぶのか』という問いへの答えを見つけた」 この気づきが、学びへの姿勢を一変させた。 「それまで消極的だった研究に、積極的に取り組むようになりました。生活の大部分を研究に 費やすようになったのも、このときからです」 AIとロボットが描く未来へ 現在、大熊さんが取り組むのは、ロボット同士が場所の名前を共有する研究だ。 「例えば、子どもが『ワンワンのおうち』と呼ぶ場所を母親が理解できるように、ロボットもそ うした柔軟な理解を持てるようにしたい」 この技術が実現すれば、ロボットがより自然な形で人々の生活を支援できる未来が開ける。 「自分から一歩踏み出せば、必ず道は開かれると信じています」 就職ではロボット分野を離れるが、これまでの学びを土台に、新たな分野でも挑戦を続ける決意だ。 1年生の秋、創大祭実 行委員会に挑戦。広報 宣伝部門として活動 中学から大学までラグ ビー部に所属。寮・ラグ ビー部・勉強の三立に 挑戦 自身の原点となった滝山 寮での生活。寝食をとも にするなかで一生涯の 友情を築くことができた
12 「信じる力」の スイッチが入った 不登校を乗り越え、 人を信じる喜びを知った 法学部4年 橋本 美紀さん 「まわりの人のために生きていける自分に、ここまで変われるとは思っていませんでした」 中学時代に不登校を経験し、人を信じることができなかった。でも今は後輩から相談を受け るなど、周囲から信頼される存在となった。その変化には、創価女子短期大学、そして創価大 学での出会いがある。 人を信じる勇気が芽生えた 中学3年生の春、教室に入る勇気を持てず、別室で授業を受ける日々を送っていた。 「みんなと同じようにできない自分が苦しくて。支援してくれる人たちも、私を見ているのではな く、ただ型にはめようとしているように感じた」 そんなとき、創価女子短期大学の存在を知り、パンフレットに描かれた温かな雰囲気に心が 動かされた。「ここなら変われるかもしれない」と希望を見いだし、入学を決意した。 創価女子短大の姉妹の絆が育んだ成長 短大生活は想像以上の変化をもたらした。特に寮生活での先輩との出会いが、大きな転機となった。 「利害関係なく、1人の人を信じ続ける姿に『どうして他人のことをこんなにも考えられるんだろ う』と衝撃を受けました。私も変わりたいと思いました」 先輩から受けた励ましを、自分が後輩に返していく。その連鎖が人を信じる力を育んだ。 短大での2年間で大きく成長し、さらに学びを深めたいと創価大学法学部への編入を決意。 一度は経済的な不安から就職を考えたが、恩師が『本当はもっと学びたい気持ちがあるはずだ』 とその本心を見抜き、『絶対に大丈夫だから』と励ましの言葉をかけてくれた。その言葉が、新 たな一歩を踏み出す原動力となった。 不信から信頼へ、そして未来へ 創大編入後は学生自治会や全学代議員会で活動し、人間不信から抜け出した経験を活かし、 悩める学生たちの支えとなっている。 「『橋本さんだけには話せます』と言ってくれる後輩もいます。昔の私は、自分と家族だけが幸 せならそれでよかった。でも今は、まわりの人の幸せも一緒に願える自分に変われた。たとえ自 分を傷つける人がいても、信じ続ければ一番の親友にだってなれるんです」 その言葉には、人を信じる喜びを知る者だけが持つ、深い包容力と温かな想いがあふれている。 成人式での写真。 いつも全力で支えてくれ る大好きなお父さん、お 母さんと 恩師と短大の友人で短 大周辺を散歩。「父娘の 絆」の石盤で原点に立 ち返る 大好きな短大姉妹とマ リー・キュリー像の前で。 卒業しても毎日連絡を 取り、励まし合っている SUN124 2025 Winter
卒業生の“今”につながるスイッチ 「自分にはできないかもしれない」。そう思うことにこそ挑戦する。それが 創価大学で得た最大の財産だと鈴木さんは語る。 入学時、TOEICスコアは600点台だったが、Global Citizenship Program(GCP)の仲間から刺激を受け、朝から晩まで勉学に打ち込んだ。 「教職員が私以上に可能性を信じてくれたことが支えになった」と振り返 る。その結果、1年次の終わりにTOEIC900点台を達成。これが「自分も やればできる」と信じるきっかけとなり、さらなる挑戦の原動力となった。 2年次の夏には、ハーバード大学主催の国際学生会議Harvard Project for Asian and International Relation(s HPAIR)に参加。当初は応募に躊 躇していたが、教員の後押しを受けて挑戦を決意。英語力不足を痛感して 悔しい思いをしたが「、その悔しさが次の成長を引き出してくれた」と語る。 その後、アメリカの大学院進学にも挑み、合格を勝ち取った。 現在は製薬企業の事業開発部に所属し、他社との提携に向けた評価 検討業務を担当する。世界中のバイオテクノロジー企業や専門家と議論 を重ねながら、開発品の科学的評価を行い、新たな治療薬を待ち望む患 者さんに届けるために貢献することを目指している。 「入社8カ月目には部署を代表してアメリカでのイベントに参加しました。 不安もありましたが、挑戦こそ成長するチャンスです」 挑戦を続けた先に広がる未来は自分次第でどこまでも大きくなる。鈴木 さんはその道を、たしかな足取りで歩み続けている。 製薬企業で世界を舞台に挑戦する今へ 「できない」が「できる」に変わった大学時代 創価大学工学部2017年卒 鈴木 伸子さん (製薬企業 事業開発部) HPAIRに参加していた GCPの仲間と。HPAIR はさまざまな国の学生と 交流する貴重な機会と なった 1年次の終わりに研修 で訪れたフィリピンにて GCPの仲 間と。約2週 間フィールドワークなど を経験 「英語が話せない自分に自信が持てませんでした。でも、アカデ ミックアドバイザーの『毎日通い続ければ変わる』という言葉を信じ て、World Language Cente(r WLC)に通い始めました」 堀さんは入学後、英語スピーキング向上のためにWLCのプログ ラムに毎日取り組み、半年でTOEFL iBTスコアを25点伸ばしまし た。 「今では留学生と気軽に会話を楽しめるようになりました。続ける ことで結果が出ることを実感しました」 創価大学の充実した学習環境が、堀さんの成長を支えています。 「毎日の積み重ねが 自信になりました」 堀 姫菜詩さん(国際教養学部2年) 創大生たちの Switch on! エピソード それぞれの「小さな一歩」は、一見ささやかかもしれません。 でも、一歩を踏み出す勇気がたしかな成長に つながっています。創価大学には、あなたの「一歩」を 後押しする環境があります。 13
箱根駅伝出場を目指 して予選会を突破する ための厳しい練習を 重ねるなかでスイッチ が入ったという 14 卒業生たちはそれぞれの道で、大学時代に見つけた「スイッチ」を活かしながら 新たな挑戦を続けています。2名の卒業生の今から、成長の鍵となった瞬間を紐解きます。 「受験生との出会いが 私を変えました」 木村 詩歌さん(看護学部3年) 「寮生活に不安ばかりでしたが、仲間の温 かさに支えられました」 村上さんは、寮での生活を通じて、人を 深く知ることの大切さを学びました。 「寮生みんなの日々の努力を近くで見て、 いつも鼓舞されここまで頑張ることができま した」 新年度からは残寮生として後輩を支え、 自らの力で成長の場をつくり出していきます。 「先輩の姿を見て、自分も妥協せず全力で取 り組もうと思えるようになりました」 坂本さんは2年次に始めたアルバイトで、 学業も活動も全力で取り組む先輩と出会い、 その姿勢に大きな影響を受けました。 「『これをやるからあれができない』という言い 訳をやめて、すべてを全力で楽しむ意識が身に つきました」と、先輩の教えを胸に、坂本さんは 多くの仲間とともに挑戦を続けています。 「受験生に自分の経験を話し、励ます活動を通じて、私自 身も励まされました」 木村さんは「創大受験未来サポーターズ」として、受験生 に寄り添いながらサポートを続けてきました。 「かつて相談に乗った受験生が創価大学に入学し、今度 は次世代を支える存在になっている姿を見たとき、励まし の輪の大切さを感じました」 受験生との交流を通じて「、人のために行動する」ことの意義 を深く学んだ経験は、彼女自身の成長にもつながっています。 「先輩との出会いで 視野が広がりました」 坂本 和志さん(経済学部3年) 「寮生活で見つけた 私の居場所」 村上 葉月さん(文学部1年) 創価大学初の箱根駅伝出場。その快挙に向け、後沢さんは自らの行動 でチーム全体の意識を変えることに尽力した。 「残って自主的にトレーニングを重ね、食事管理も含めた生活態度を改善 していった。後輩たちが自分の行動を真似てくれたときは、本当にうれし かった」 さらなる転機となったのは2年次に新ヘッドコーチ就任とともに練習方法 が一新され、記録が飛躍的に向上したこと。それまで雲の上の存在だった エース選手と、互いを高め合えるライバルへと関係が変化していった。 「自分一人の力では決して箱根に出場できなかった。先輩、同期、後輩、 すべてのメンバーが同じ目標に向かって一丸となれたからこそ、夢を実現 できた」 この経験は、現在の仕事にも活きている。5~6人のチームで複数の上場 企業の監査を担当するなかで、期限と精度が求められる業務を成し遂げる には、専門家同士の協力が不可欠だという。 「チームでの仕事は、駅伝と同じ。メンバー全員の知見を共有し、クライア ントの業務改善につながる提案ができたときは大きなやりがいを感じます」 大学卒業後、働きながら3年間かけて公認会計士試験に挑戦。昨年見事 合格を果たし、現在は社内外から専門家として意見を求められる立場に。 「箱根を目指したときと同じように、どんな困難も仲間と乗り越えていきたい」 次の目標は、グローバルな舞台での活躍だ。 チームの力を信じ、大きな成果をつかむ 箱根駅伝への道が教えてくれたこと 創価大学経営学部2016年卒 後沢 広大さん (PwCJapan有限責任監査法人 公認会計士試験合格者) SUN124 2025 Winter
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