2018年12月28日 13時00分

"肥満を解消するお皿"で世界大会へ!FILAから生まれた6人の発明家

「地上最後の楽園」とも呼ばれるインドネシア・バリ島。9月のバリ島はとても過ごしやすく、多くの観光客が訪れている。
そんな中、スーツを身にまとった学生たちが、何やら変わった形をしたお皿を手に、流暢な英語で説明している。

“This dish can control your obesity”(このお皿で肥満を解消することができます)

 誰もが、そんな夢のようなお皿があればいいと思うだろう。

 この“肥満を解消するプレート(お皿)”を考案し、マレーシアの社会問題となっている肥満問題を解決するツールの一つとして提案したのが、国際教養学部3年の中野賢一さん、西田望さん、小畠良美さん、松下由紀さん、石原華美さん、栗原秀美さんら6名。
 彼らは、2018年9月インドネシア・バリ島で開催された若手発明家育成を目的とした世界大会;International Young Inventors Awards 2018に初の日本人チームとしてエントリーした。
 そして、彼らの考案したアイデアは、多くの参加者の注目を集め、アジア地域を中心に、世界から約5,000人・317団体が参加するこの大会で、金賞、ベストプレゼンター賞、国際優秀発明賞を同時受賞するという快挙を成し遂げた。
 今回、チームリーダーを務めた中野さんに詳しく話を伺った。
●素晴らしい結果、おめでとうございます!本大会の概要とそれに挑戦した経緯を教えてください。
国際教養学部3年・中野賢一さん

 ありがとうございます。私たちが参加したInternational Young Inventors Awards 2018 は世界15か国から5,000人・317チームの学生が集い、それぞれの発明を披露する大会です。
今回の大会に参加したきっかけは、2年次春休みに参加した国際教養学部主催のインターナショナル・フィールドワークです。
 この研修では、主にマレーシアで現地大学(マレーシア公開大学・マラヤ大学)の教授から様々な講義を受けながら、マレーシアの社会・経済・文化について学ぶのですが、それと並行して、チームでマレーシアに関するプロジェクト課題を設定し、分析・調査、最終的には現地大学の教授陣に発表をすることによって、多くの学習経験を積むことができます。
 このプロジェクトを通し、私たちのチームは、マレーシアで社会問題となっている「肥満問題」を解消できるプレート(お皿)をデザイン・考案することにしました。フィールドワークを通じて、完成したアイデアに自信を持った私たちは、このプロジェクトをフィールドワークで終わらせるのはもったいないという思いから、研修終了後も自主的に研究を続けてきました。そして偶然、本大会がインドネシアで開催されることを知り、挑戦することにしました。

●具体的にどのようなプレゼンテーション内容だったのでしょうか?

 発表会では、まずアイデアの背景として、マレーシアの社会問題ともなっている肥満問題の深刻さについて着目したことを指摘しました。
マレーシアは成人の肥満人口が約15%とASEAN諸国の中で圧倒的に肥満率が高い国です。マレーシアでの実地調査の結果から、課題としてカロリーの過剰摂取が挙げられると考えました。そこで、今回のプロジェクトでは、食生活を改善するうえで重要な時期として大学生をターゲットとしました。
 次に、私たちは、大学生の摂取カロリーを矯正するための方法について説明しました。こちらも実地調査の結果より、マレーシアの大学生がナシチャンプルという郷土料理をよく食べるということが分かりました。さらに、その料理に盛り付けられるお米の量が適正カロリー量より多いことを確認しました。このことから、ナシチャンプルのお米の量を減量することで摂取カロリー量を改善できないかと考えました。
 しかし、それと同時に、食事を摂る側の満足度が、米の減量によって減少しないような工夫も必要でした。そこで、今回発明したのが、ナシチャンプルをよそった時に、食事の満足度を下げずに、自然にお米の量を減らすことができるプレートです。
 このプレートの機能は、意図的に仕切りを作ることで、自然にお米を特定のエリアに誘導し、結果的に摂取量を減量させます。実験をした結果、毎食事ごとに100キロカロリーを減量することができました。
 さらには、このプレートの費用対効果は非常に高く、比較的低コストで効果を発揮できることもアピールしました。

●まさに痩せるお皿ですね。具体的にどのように仕切りを作ったのでしょうか?
3Dプリンターで試作した"肥満を解消するプレート"。目の錯覚を利用し、視覚では満足しながら、自然とお米の摂取量を減らすことができる。
 こちらの写真のように、お皿の区切りを独特な配置にすることで、お米を置く場所の大きさを錯覚で実際よりも大きく見せることができました。これは、視覚からの印象が食の満足度に大きな影響を与えるというデータを応用しています。
 実際に錯覚を体感して貰うために、3Dプリンターで試作したプレートをブースに訪れた方々に披露しました。多くの方が、実際に錯覚を体感し、納得していただくことができました。
●本大会に臨むにあたって、大変だったことはありましたか?
 一番大変だなと思ったことは、何もかもが初めてだったことです。自主的にこのような大会に参加することが初めてだった上に、初めて日本から参加した唯一のチームだったので、不安も大きかったですし、実際に準備不足を感じることも多々ありました。特に、思っていた以上に全体的にテクノロジー系の発明が多かったことや、ブースの宣伝のためのツールを十分に作成できていなかったことなど、大会の雰囲気やブースに注目してもらうテクニックなどの面では勝手がわからず、ジャッジの評価を得るには準備不足であったように感じました。
 しかし、唯一の日本チームということや、発明したプレートの名前にマレー語が入っていたことで、結果的に注目を集めることができました。この大会を通して、パイオニアとしての道を拓くということを、僅かですが経験することができたと思っています。
3種類の賞を同時に受賞したのは、317チームの中で、中野さん達だけでした
●国際教養学部での勉強が活きたと思った場面はありますか?
チームメンバーとアイデアを出し合う中野さん

 全ては国際教養学部での日々の学習の成果だと感じています。特に、日々の授業課題を通して培ったリサーチ能力と、英文エッセーの書き直しで培った論理的思考力と妥当性の確認スキルなどがアウトプットできたと思います。
 また、アメリカでの海外留学経験から、日々英語をツールとして使って何かをするということにも慣れていたので、国際大会にもためらいなく挑戦していくことができたと思います。プレゼンテーションの発表を担当したメンバーは、授業で鍛えられたプレゼンテーション能力を発揮し、結果としてベストプレゼンター賞をいただけたことに誇りを感じていました。
 そして何より、インターナショナル・フィールドワークを通じてご指導下さった杉本教授、マレーシア現地でアイデアを磨いて下さったマレーシア公開大学・マラヤ大学の教授陣、学生の皆様の協力のお陰で得ることができた成果だと確信しています。この場を借りて、厚く御礼を申し上げます。

●今後の目標を教えてください。

このプロジェクトを今後どう発展させていくかは未定ですが、今はそれぞれが各自の進路に向けて挑戦をしています。まずは眼前の課題に思いっきり力を注いで、残りの大学生活でさらに成長していきたいと考えています!

中野 賢一 Nakano Kenichi

  • ●入学年度:2016年度
    ●留学先:南カリフォルニア大学
    ●主な専攻分野: Global business
    ●指導教授(ゼミ): George Wang准教授

ページ公開日:2018年12月28日 13時00分