創価大学法曹会
座談会2010

法曹として私たちが進むべき道

創価大学法曹会は、創価大学および創価大学法科大学院出身の法律家(法曹および司法修習生)によって構成される会です。創価大学は、1971年の開学以来、法曹の養成に意欲的に取り組み、1973年の初合格以来、現在に至るまで170名を越える司法試験合格者を輩出してきました。このうち41名が創価大学法科大学院からの合格者(2006年度8名、2007年度20名、2008年度13名)です。
この結果は、戦後新設された私立の高等教育機関としてはトップの実績であり、現在法曹界において、裁判官、検察官、弁護士として、また立法を担う国会議員としても活躍しています。
メンバーは30余年にわたって、ほかに類を見ない情熱と献身的な努力で後進の指導育成に力を注いできました。その伝統は、創価大学法科大学院の開設後も受け継がれています。それはエクスターンシップへの積極的な協力にとどまらず、新司法試験合格後の進路・就職相談までおよびます。
また、創価大学法曹会出身の若手弁護士の多くがチューターとして法科大学院生の学習指導・生活相談などにもあたっています。特に法律の勉強に戸惑っている未修者1年生に対しては、授業をしっかり理解できるように、自らの体験をもとに法律学習のあり方などをアドバイスするなどしています。

法曹として私達が進むべき道

田村 本日はお忙しいところ、法曹会の座談会ということでお集まりいただきまして、本当にありがとうございます。澤田先生は、先ほどまで法科大学院の模擬裁判の指導担当されていたところを駆けつけてくださったと伺いましたが。

澤田 ええ、3年生の民事訴訟の実務基礎の模擬裁判で原告本人役をさせていただきましたが、つい先ほど、見事に和解が成立して、事件が終了したところです。

一同 それはすごい!!

澤田 裁判官役の学生を指導していたのですが、このような事案で一方当事者を敗訴させるのはあまりに無慈悲すぎると話したところ、裁判官役の学生が一生懸命に原告・被告訴訟代理人を説得したのです。

田村 模擬裁判にまで人間主義が行き渡っているわけですね。文字通り駆けつけていただき、ありがとうございます。本日お集まりのみなさんは、創価大学あるいは創価大学法科大学院を卒業して、現在法曹としてご活躍されていらっしゃるわけですが、ご自身の受験時代を振り返っていただきながら、後輩のみなさんへの思いなどを大いに語っていただければと思います。早速ですが、まず現在法曹として仕事をしていく上で、創価大学を卒業して良かったと思われることはありますか?

人間主義の哲学が法曹としての根本に

澤田 何でも相談できる親友や先輩に出会えたこと、それから、何といっても、法律家としてまた人間としてのあるべき生き方・根本的哲学を学べたことです。私の心に残る創立者のご指導にこうあります。「悩める人々に向かって『私がいるから心配いりません!』『正義のために断じて勝って見せます!』と言い切れる力ある人材が不可欠である。そのためには百戦錬磨とならねばならない。ぶつかってぶつかって、戦って戦って、戦い抜いてこそ、一流になれる。創価教育の目的の一つは、民衆に尽くすリーダーを育てる『指導者革命』である。」と。

阿部 全く同感です。良き法曹、良き市民としての生き方を常に確立し、維持していくためには、人間として生まれたからには自分のためだけではなく、いかに他者のために生きていくべきかという根源的なモチベーションが必要です。これが創価の人間主義の哲学です。これが法曹としての仕事の結果にも反映されていくと思います。

島田 悩みがあるときや、責任ある決断をしなければならないときには、いつも民衆のためにという原点に戻ることができる。これが最大の強みだと思います。

佐々木 仕事で悩んだときには、先輩方は面倒見がよく、色々と相談に乗ってくださいます。仕事面だけでなく、精神面でも励ましてくださり、創大生としての誇りや、自身の大学時代の原点に立ち返ることができ、実務についてからのこの1年間を乗り越えてきました。

芳賀 やはり創価大学法曹会のつながりは強いですね。法曹になった後も、他者の幸せのためにという同じ志を持った先輩や同期、後輩と触れある機会が頻繁にありますし、メンバーの活躍も聞くことができ、触発を受けることができます。

島田 私は縁あって創価大学の教員となり、後進の育成のお手伝いをさせていただける場をいただいたことに、感謝しています。

田村 私もまったく同じです。自分が先輩方から励ましてもらったり勉強の面倒を見てもらったりして育てていただいたように、それを今度は自分が後輩たちにしてあげることが、先輩方への恩返しだと思います。後輩のみなさんに接する際に、心がけていることなどございましたら教えてください。

後輩を自分以上の人材に

澤田 やはり、創立者から学んだ根本的哲学を一人でも多くの後輩に伝えていきたいと心がけています。創価大学では、「実務法学」「模擬裁判」を、法科大学院では冒頭の「模擬裁判」や「法律家論」のお手伝いをさせていただいていますが、法律知識はもちろんのこと、人間性を磨くことも重要です。

阿部 法曹として有能であることももちろん重要ですが、人格を磨き、信頼を勝ち取り、そのために努力し続けることが、あらゆる意味で最も重要ですね。これは社会に出ていろんなことに翻弄されたり揉まれたりしてみないと実感できないかもしれません。自分自身を規律する生涯変わらない「核」あるいは「芯」のようなものを合格前に獲得してもらいたいと願いながら、私は日常の指導にあたっています。

田村 芳賀さん、佐々木さんは、実際に在学生や卒業生に接する機会が多いと思いますが、いかがでしょうか?

芳賀 自分の受験時代と共通の悩みを持った後輩には、自分の経験を踏まえてアドバイスする。自分とは違う悩みを持った後輩には、その後輩と同じ悩みを経験したことのある合格者につなげるようにしています。

佐々木 まずは後輩の話をよく聞くことが大切だと感じます。勉強や生活の相談には親身になってアドバイスするよう心がけています。週末には大学に行って後輩に会うようにしています。

田村 新司法試験の合格者に何でも相談できる環境というのは良いですね。

島田 創大法曹会のみなさんに共通するのは、とにかく後に続く人たちを自分以上の人材に育てていこうとする熱い思いですね。その熱い思いが法科大学院生へのさまざまなサポートの源泉となっていると思います。是非とも将来の社会を支えていける人材になってほしいし、できれば創価大学の教員にもなっていただきたいですね。

これから挑戦する方へのエール

田村 最後にこれから創価大学法科大学院に入学し法曹をめざすみなさんへメッセージをお願いします。

佐々木 創価大学法科大学院は、学生一人ひとりが真剣に合格をめざしているだけでなく、教職員、卒業生も、現役生の合格のため、一致団結して真剣に努力しています。それは、「自分が若き創立者」との心で大学を創っていこうという創大の校風、伝統によるものだと思います。創価大学法科大学院をめざすみなさんには、ぜひ「若き創立者」として、自分が先頭に立ち創価大学の歴史を創っていこう、周りも巻き込むくらいの勢いで真剣に勉強しようとの決意を持って入学してきてほしいと思います。

芳賀 新司法試験の受験はもとより法科大学院での勉強も想像以上に大変な道のりかもしれませんが、常に何のために法曹を志したのかという原点を確認しながら前進し、そして、勝利の結果をもぎ取ってください!

阿部 本学入学後、勉学を通して、自分の本当の姿に出会うとともに、新たな自分を確立すべく3年間真剣に戦うことになるでしょう。決して楽ではありませんが、多くの良き戦友と手を携えて自己の限界に挑み、限界線を破っていく実のある戦いです。3年後に新たな自分に出会うことを楽しみにがんばってください。

島田 法曹は、主に裁判という場で「庶民を守る」という使命深き重大な仕事ですが、現実の社会生活においては裁判に限らずさまざまな分野での活躍ができる仕事です。その点でも1人でも多くの方に挑戦していただきたいと思います。

澤田 試験制度が改革されたとしても依然として司法試験自体は、決して生半可な気持ちでは受からない試験ですので、やるからには全力を出し切ることです。そして疲れたときには、創立者の精神を学んだり、同輩や先輩のアドバイスをどんどん求めていくことです。強い「求道の心」が人間としての成長をもたらし、それにより、また試験に全力で戦う生命力を沸々と湧き出してくれます。「英知を磨くは何のため 君よそれを忘るるな」です。

田村 やはり学部時代に本気で勉強をして読解力・思考力・文章力などの基礎学力をつけることが大切です。また自律した人間としての精神的なタフさが重要といえるでしょう。本日は有意義な座談会を開催できました。大変にありがとうございました。
田村伸子の顔写真
田村伸子

創価大学20期
司法修習50期
弁護士
創価大学法科大学院講師
島田新一郎 の顔写真
島田新一郎

創価大学7期
司法修習44期
創価大学法科大学院教授
八王子栄光法律事務所・弁護士
創価大学法曹会幹事
弁護士登録後に上智大学大学院法学研究科博士前期課程を経て本学教授
佐々木さやか の顔写真
佐々木さやか

創価大学29期
創価大学法科大学院1期既修
司法修習新60期
希望法律事務所勤務・弁護士
創価大学法科大学院チューター
阿部英雄 の顔写真
阿部英雄

創価大学11期
司法修習46期
約12年間にわたり検事として活躍
現在は阿部綜合法律事務所所長・弁護士
創価大学法科大学院非常勤講師
芳賀こず江 の顔写真
芳賀こず江

創価大学23期
司法修習59期
光伸法律事務所勤務・弁護士
創価大学法科大学院チューター
澤田直宏 の顔写真
澤田直宏

創価大学6期
司法修習43期
希望法律事務所所長・弁護士
創価大学法曹会幹事
航空自衛隊の操縦士としての経歴を有する