学修支援座談会
2012

合格をめざして学生を全力でサポートするチューター制度

細やかな学修のフォローアップをはじめ、時には学生たちを精神的にもサポートするチューター制度。
本学の法科大学院で学ぶ学生とともに、合格という栄光を勝ち取るために全力を尽くすチューターの方に語っていただきました。

基本書だけでは学べないことを習得する

──今日は、法曹の第一線として活躍する一方で、チューターとして学修支援されているお2人と、現役の学生のお2人にお話を伺いたいと思います。みなさんはチューター制度をどのように活用されているのでしょう?
佐川 現在、チューターとして毎週土曜日に、前期は民事訴訟法のゼミ、後期に刑事訴訟法の講義を行っています。学生の頃は、新司法試験に合格された先輩方の試験に対する姿勢を学べたことが何よりもためになりました。単に法律的な知識を得るだけではなく、それをどう応用していくか。法律の基本書だけでは学べないところを丁寧に教えてもらい、そこが一番有益でしたね。

森本 私はチューターとして1年生の土曜補習ゼミを担当しています。学生の時はチューターの方に、勉強の仕方から一日の生活の仕方までアドバイスを受けて心強かったですね。試験に受かるかどうか本当に不安になり、相談したこともありましたが、「不安じゃない人なんていないんだよ」と。試験直前には励ましの電話をいただいたり、支えてくださった方々のためにもがんばらなきゃと強く思ったものです。

福盛 入学してからは合格するために一日10時間は勉強をしなさいといわれましたが、その時間を確保するために自分がどうすればいいのかわからなかったんです。生活の根本から変えないといけないし、勉強する上での気持ちの持ち方もアドバイスしていただきました。大事なことは絶対に合格するという強い気持ちに尽きると思いますが、「必ずこうしなさい」ではなく、無理しては続かないことをご自身の体験を通してアドバイスしてもらいました。厳しいことを言われることもありますが、本当に私のことを理解して指導してくださる、有り難い存在です。

渡邉 毎週土曜日に授業の補習を行っていただいてますが、書いた起案を添削していただけるのが一番嬉しいです。自分が起案を書いているだけでは、それがどう評価されるのかはわかりません。当然、書き手の主観とそれを読む側の客観とではズレがあるものなので、自分の気づかなかった点を具体的に指摘していただけるので助かります。勉強の計画を立てる際も目標を達成するためにアドバイスをいただいています。

チューターの思いは、いつの時代も同じ

──チューターのみなさんはお仕事の傍ら、いつも、どのような思いで学生の方々と向きあっているのでしょう?
森本 支援する基本は、私が学生の頃に支えていただいたチューターのみなさんと同じだと思っています。それにプラスして、自分がロースクール生活を通して学んだ経験をもとに、自分の言葉でアドバイスするようにしています。学生時代の私は適度な息抜きが学習効率のアップに結びついたので、がんばり過ぎているなと思った学生には、「息抜きは何?」と聞いて、休むことで勉強のメリハリをもたせることも話していますね。先輩たちが、後輩である学生たちの合格のためにわざわざ学校まで来て教えてくださり、個人的な面談もたっぷりと時間をかけてくださる、というのをずっと見てきたので、私も同様に後輩たちのために動いていきたいと思っています。

佐川 私も同感ですね。チューターの基本的な精神はいつの時代も同じだと思います。自分が学生の時、チューターの方は自分の時間を削って学生たちのために全力を尽くしていただいたので、今度は自分がその番にまわっただけ。学生はそれぞれ個性があるので接し方もいろいろですが、ロースクールで学ぶ全員が合格できるように支援することを大前提に、でもそれだけに留まらず、幸せな人生を送れるだけの努力と経験とを、ここで積んで欲しいなと思って指導しています。人生で一番努力できる3年間なり、2年間なり、最後の1年にしよう、それが必ず自分の人生にとっていいものになるし、それこそが合格に一番近い道だと。私たちチューターの全員がそういう気持ちで臨んでいます。

遠慮せずに何でも相談できる存在ヘ

──チューター制度を利用して得たもの、あるいは良かったと思う点をそれぞれの経験や現在の視点からお話しいただけますか?
渡邉 週に一度、チューターの方に会えることは物凄いメリットです。授業が難しくて腑に落ちない部分をチューターの方に質問すると、なるほどそういうことだったかと、納得のいく説明をしてくださったりします。起案の添削については、法律の知識はもちろん、文章として伝えるための要点の整理などで自分に欠けているところを的確に指摘してくださるので心強いですね。チューターにはとことん聞けるので本当に頼りがいがあります。

佐川 ロースクールで勉強していると不安になることがしばしばあります。どこまで勉強すればいいのだろうとか、やることが無限にあるのではないだろうとか、その不安を取り除き、必要な知識の「限度」みたいなものを自分の経験から伝えています。ロースクールの期間は精神的にも不安定な時ですので、一人では立ち向かっていけない部分もあります。同期のみんながそうだから相談もしにくい。その点、チューターだと経験者だし、教授と同期だけの関係よりも、いろいろ相談できる間柄という感じでしょうか。

福盛 1年の時は「勉強しなさい」といわれても、具体的にどうしていいのかわからないという悩みが大きかったんです。新司法試験というもの自体が何もわからないし、どこまで自分が法律的知識を身につければいいのか、皆目見当がつかなかった。やってもやっても駄目なんじゃないだろうか、と勉強をしていても不安になり、悩んでは相談の繰り返し。けれども新司法試験を実際に受験して合格されたチューターの方にいろいろな話を聞いてからは、すべてが良い方に向かい始めました。2年生になると、新司法試験に向かっていくしかないと腹が決まったので、あとはがんばるだけ、という事実に気持ちがすとんと落ちるようになりました。勉強面では起案の構成なども教えてもらえるのが何より嬉しいです。法律的な知識も、足りない部分を的確に指摘していただけるし、そのための方策も具体的なんですね。実際、チューターの方のゼミの中で気づかされることって本当に多いんです。

森本 精神面が安定しないと勉強が手につかないですし、先ほども触れましたが、試験に対する不安を取り除くことが大事です。私自身がそうであったように、試験に合格した人に勉強の仕方を具体的にアドバイスしてもらえるのは、学生にとっては有り難いことですね。

佐川 学生はチューターに遠慮する必要はないと思います。自分も学生の時は遠慮しなかったし、遠慮して欲しくもない。毎回、ゼミの後に面談希望者と会いますが、どんどん来て、疑問に思うこと、悩んでいることなど、何でもいいので相談して欲しいですね。

森本 私も学生の時は遠慮しませんでしたね。自分が弁護士になって思ったのは、チューターの方々は仕事もあり、本当に大変な中で来てくださっていたんだなということ。学生の頃にはそんなことに思いはいかず(笑)、せっかくチューターの人が来ているんだから何でも聞かなきゃ、と。疑問があったら放っておかなかったし、聞きたいことは何でも聞くという姿勢でした。ゼミが終わった後もチューターをつかまえてわからないところを納得がいくまで聞きましたが、そうした関係でいいと思います。

チューター制度に期待すること

──チューター制度は学修支援において大きな役割を果たしていますが、これから期待すること、あるいは自身の抱負などをお聞かせください。
福盛 ゼミの回数を増やせれば嬉しいですが、そうもいかないと思いますので(笑)、これまでどおり、起案に対するアドバイスなどをいただければ嬉しいです。チューターの方々をはじめロースクールのたくさんの方々に私たちは支えていただいています。勉強は一人ひとりの戦いですけど、チューターの方のご指導、周りの方々のご支援を自分の力に変えて合格を勝ち取りたいと思います。

渡邉 現状に満足していますし、このままの距離感で支援していただけたらと思います。チューターの方は試験に合格されたので、勉強の絶対量というのをよくわかっていらっしゃる。自分個人としてもご指導を受けながら、まずはそこまで到達することが目標。これからも学生目線のアドバイスをいただけるようお願いします。

森本 チューター同士で何が今の学年に必要なのかをよく話しあっています。学生からもどんどん要望を言ってもらい、一緒に合格をめざす者として最高のサポートができればと思っています。

佐川 学生には常々、必要な範囲で必要なだけ利用してくれればいい、と言っています。とにかく自分の勉強だけに集中して、チューターを利用して欲しい。僕の夢は今、かかわっている2年生の合格者数を日本―にすること。人生で一番勉強したことを誇れるような時期にして欲しいし、必ず合格して欲しいと思います。そのためのサポートを私たちは惜しみません!
佐川達之の顔写真
佐川達之

創価大学法科大学院3期既修
司法修習新62期
段貞行法律事務所勤務
森本光子の顔写真
森本光子

創価大学法科大学院2期未修
司法修習新62期
東京新生法律事務所勤務
福盛章子の顔写真
福盛章子

創価大学法学部卒
2年・未修者コース
渡邉仁人の顔写真
渡邉仁人

大東文化大学法学部卒
1年・未修者コース