2018年05月23日 12時30分

留学日記(インド・セントスティーブンスカレッジ 2018年5月23日)

<留学を終えて>

ついに最終試験をもって2セメスターの留学を終えました。
この1年間は私の人生において何ものにも代えがたい経験をさせていただきました。
1年間を通して出会った人々への感謝は言葉では言い尽くせません。

4月にはクラスやソサエティーのフェアウェル(お別れ会)が多く開催されました。
別れを惜しんで涙を流す後輩たちの姿や、互いに感謝の思いを語りあう姿を見て、人と人の繋がりが強いのだとあらためて実感しました。

1週間ほどのテスト休みを終えて、最終期末テストが5月に始まりました。
留学生はテストの形式がほかの学生とは異なり、個別に教授にクエスチョンペーパーを作成してもらい、問題に解答します。
私の場合は教授の都合でレポート形式の試験でした。最後のレポートを書きあげてもなお、まだまだ力が足りないなと感じました。1年間、一生懸命頑張りましたが、これからもさらなる努力が必要だと思いました。正直に言えば、勉強面では、この1年間で何かが劇的に変わったということはないと思います。もちろん質の高い授業、テキスト、レベルの高い友人に囲まれて、有意義に勉強をさせて頂きました。しかし、学問というのはどこまでいっても自らが向上しない限り、成長はないのだと感じます。勉学の面において、少し後悔している部分は、日本へ帰国したら成長のバネとして、さらなる努力を重ねる決意です。

勉強面以外で、私がインドで学んだことは沢山あります。
むしろ、インドへ来る前は「勉強しよう!」というだけの決意で来たのですが、来てみるとそれ以外にも私が見るべきほかの世界が多くあったという感じです。

インドは物質的には日本より貧しいと言えるかもしれません。寮生活では冬は暖房無し、夏の灼熱の夜にもエアコンはありませんでした。シャワーもたまに断水しました。洗濯は手洗い。いつでもおいしいご飯が食べられるわけではない毎日。
最初は抵抗がありましたが、その不便さに負けることなく笑い飛ばす友人たちがいました。砂嵐で寮の電気が完全にストップしたときには笑い声が響きました。室内の扇風機が止まったため、窓を全開にし、風通りを良くして一夜を明かしました。しかし朝起きると部屋の中は砂埃だらけ…(笑)
決して便利とは言えない寮生活を通して、その「辛さ」を共有しながら、笑い飛ばすたくましさを学びました。

カレッジの友人たちから多くを学びました。インドの国民性なのか、みんなとてもフレンドリーで開放的な人が多いような印象を受けました。
特に心に残っている思い出は、たった一度二度しか会って話したことのない友人でさえ、心の距離がぐっと近づいたことです。
インド社会は男尊女卑の思想が色濃く、その思想によって引き起こされる犯罪も数多くあります。そのような家庭に育った友人もカレッジに少なくはありませんでした。しかしカレッジの中では、多くの学生が真摯に学び、従来の思想や価値観を変えようと積極的に活動していたことが印象的でした。学生によるがんじがらめになった社会への抵抗を感じました。その意気軒高な姿勢は、今の日本にはないものだと思いました。私の友人の多くも、結婚や出産、働くことに対して女性は十分な権利を得るべきだと堂々と主張していました。私自身、インドでそのような友人に目を覚まされる思いでした。
インドの社会を見れば、男女平等、女性の尊厳は尊重されていないことが多いです。しかし学生はそれに気づき、まさに変革しようとしています。

あるとき友人が髪の毛を切ろうか迷っていると相談を持ちかけてきました。
私は会話の中で何気なく、こう言いました。「○○君(彼女のボーイフレンド)にロングかショートどっちが好きか聞いてみたら?」
するとある友人が、言いました。
「どうして髪を切るか伸ばすか、ボーイフレンドに確認する必要があるの?彼の評価によってあなたは自分の選択を決めるのか」と。

何気ない会話でしたが、私は今でもそのときのことをよく覚えています。私は本当に無意識にそう発言しました。その発言は私にとってはごく普通で、その価値観の中で育ったと言っても過言ではないくらい、普通に頭から出てきた考えだったのです。

その友人に言われて以来、私の考えは大きく変わりました。座学でする勉強とは違い、友人からじかに学んだものでした。

友情についても考えさせられました。会う回数や時間よりも、その人と過ごした密度で、きっと仲良くなれるのかもしれないこと。たとえ国籍が違っても、一目で、不思議な縁を直感して惹かれあう人と出会うこと。国も文化も言葉も違うのに、笑いあったり、あつく議論したり、ともに涙を流したりできること。むしろ言葉や文化が違うからこそ、お互いの心や本音がよく見えるのかもしれないこと…。

10か月を共にした友人たちと別れるときに、わき目もふらずに号泣してしまいました。それは別れを悲しむ涙だけではなく、彼らと出会えた自分はなんて幸福者なんだという喜びの涙も流れました。彼らを思いだすと、自分も鼓舞される、また自分の成長で彼らを励ましたい、そんな思いが沸々とわいてきます。

最後に、インドデリー大学に留学のチャンスを与えて下さった、文学部教授のムケッシュウィリアムス先生、国際課、文学部事務室の皆さん、そしてデリー大学セントスティーブンスカレッジでお世話になった全ての方に感謝の思いを伝えたいと思います。
本当にありがとうございました。


K.O
ページ公開日:2018年05月23日 12時30分