事業実施

学内実施体制

 本学には既に、研究戦略・研究支援を担当する、学長主導の「研究推進センター」が設置されている。「研究推進センター」は、副学長をセンター長とする理事会直属の組織であり、学部や研究科と同等の位置づけである。「研究推進センター」には、研究環境の整備や研究プロジェクトのモニタリング・進捗管理・評価を実施する「プロジェクト運営支援部会」、共同研究・産学連携・知的財産を管理する「国際連携・知的財産戦略部会」、研究・教育成果をもとに大学の広報活動を行う「広報部会」がある。また、本事業の理系学部・研究科の活動拠点として、「プランクトン工学研究開発センター」を新設し、文系学部・研究科の活動拠点としては、授業や教育の改善に関する調査・広報活動を行う「教育・学習支援センター(CETL)」が担当する。学外交流・国際連携を推進する「グローバル・コア・センター」で、留学生の受け入れ・学生の海外派遣を支援する。このように、本事業では「研究推進センター」を中心として、全学的に事業を実施する体制が整備されている(図3)。なお、全学的な研究支援体制の整備や本事業への応募については、理事会の決定をもって全学部教授会において周知され、大学として第一義的に設定されている。

自己点検・評価体制および外部評価体制

 本事業では、①研究活動②ブランディング戦略③事業全体でPDCAサイクルを整備している。
①研究活動のPDCAサイクル
  「研究推進センター」の「プロジェクト運営支援部会」で事業計画を立案し(Plan)、研究活動は理系学部・研究科では「プランクトン工学研究開発センター」が、文系学部・研究科では「教育・学習支援センター(CETL)」が支援し、各学部・研究科で実施する(Do)。この2つの機関を中心に、各学部・研究科が連携する(図4)。「プロジェクト運営支援部会」は年1回研究活動の進捗管理および評価を実施し(Check)、それをもとに実施計画の修正を行う(Act)。また、「プランクトン工学研究開発センター」と「CETL」が合同で「技術委員会」を設置し、年に1回、各研究テーマの進捗状況の把握、研究テーマ間の相互調整などを行う。本事業では、各研究テーマが深く関連し合っているため、事業目標の達成には「技術委員会」が極めて重要な役割を果たすと考えている。また、理系・文系の研究組織間の情報伝達を円滑に行うために、本事業により収集・解析されたデータは、学内共有データベースで管理する。
②ブランディング戦略のPDCAサイクル
 研究活動と同様に、「研究推進センター」の「プロジェクト運営支援部会」が本事業における各ステークホルダーに向けたブランディング戦略を立案し(Plan)、実際の広報活動は同センター内の「広報部会」が行う(Do)。ブランディング戦略の進捗状況は定期的に「プロジェクト運営支援部会」が管理・評価し(Check)、ステークホルダー毎にブランディング戦略の修正を行う(Act)
③事業全体のPDCAサイクル
 本事業では、ラボスケール実験、現地調査・分析、外部機関との連携態勢の整備を行うフェーズ1(1-3年目)と、途上国におけるベンチスケール実験、国際的なバリューチェーンの構築やBOPビジネスの提案、国連や現地NGOとの共催によるワークショップの開催を行うフェーズ2(4-5年目)の2つのフェーズを設け、各フェーズでPDCAサイクルを回す。つまり、フェーズ1においては、「研究推進センター」の「プロジェクト運営支援部会」が立案した事業計画(Plan)をもとに各組織(プランクトン工学研究開発センター、CETL、広報部会、国際連携・知的財産戦略部会、グローバルコアセンター)が実施した活動状況(Do)を、外部評価委員会(詳細は下記に記載)が管理・評価し(Check)、事業全体が円滑に進むための修正案を提示する(Act)。各組織は外部組織から提示された修正案を事業活動に反映させる。フェーズ2後に本事業総括を実施する際にも、PDCAサイクルを取り入れ、事業終了後も継続して大学のブランディング活動を推進する。なお、各フェーズの終了時には報告書(フェーズ1:中間報告書、フェーズ2:最終報告書)を作成する。

外部組織体制

 技術開発の進捗、途上国への経済的・社会的貢献、国際社会への影響などを総合的に評価するため、国立環境研究所、滋賀県立大学環境科学部、東京工業大学工学部国際開発工学専攻、国際協力機構(JICA)研究所などの有識者からなる「外部評価委員会」を設置する。「外部評価委員会」は、年1回開催し、5段階評価(A-E)で第三者による客観的評価を受ける。第三者評価におけるコメントを各年度ならびに事業終了後の活動に反映させる。

学外連携体制

 本学は、「国連アカデミック・インパクト」への参画(2014年)、「ソーシャルビジネスデザインコンテスト」の共催(2014年)、「難民高等教育プログラム」協定の締結(2016年)などを通して、長年にわたり国連の活動を支援し、強固な信頼関係を構築してきた。本事業では、「研究推進センター」の意思決定を受けた「グローバルコアセンター」が主体として、国連、現地NGO、現地留学生・若手研究者・起業家等の学外ステークホルダーとの連携を行い、現地ワークショップの共催や留学生の受け入れ・各種研修の実施を円滑に進める。
 本事業を実施する途上国のモデルケースとしてエチオピアを想定しているが、同国・ジンマ大学と本学は既に学術交流協定(MOU)を締結している。同大学副学長の本学への来学や本学理工学部の研究者の派遣を通して長年にわたり共同研究を実施し、2016年からは本学理工学部の国際共同研究事業として現地で実証実験を行っている。
 本学は、55か国地域・185大学(2017年3月現在)と学術交流協定を締結し、2014年には文部科学省「スーパーグローバル大学創成支援(タイプB,グローバル化牽引型)」に採択されている。本学は、インド・デリー大学やガーナ・ガーナ大学などのサンベルト地帯に位置し、共通した環境を有する諸大学と積極的に学術交流を実施している。そのため、本事業終了後にエチオピアのモデルケースをそれらの大学へ水平展開すると共に、サンベルト地域のその他の大学との連携にも積極的に取り組む。