SDGsの取り組み事例紹介

ここでは創価大学・創価女子短期大学の教育・研究の取り組みから、授業やゼミ、クラブ活動等の中でSDGsとリンクするものを紹介します。
地球規模の課題から、地域や社会活動に関わる目標にも、様々な視点から「持続可能な世界実現」に向けて取り組んでいます。
研究室紹介
安全な水とトイレを世界中に

水資源の持続可能な利用と保全に関する法理論の研究

法学部 宮﨑 淳 教授

―「水を使って守る」ルールを考える―
「水を使って守る」ルールを研究しています。生態系を破壊することなく人間が世代を超えて文化的な生活を維持するためには、どのような水のシステムが必要でしょうか? この観点からSDGsをみると、17の目標が水というキーワードでつながっていることが分かります。例えば、水道インフラが整備されていないアフリカでは、飲用水を確保するために子どもや女性が平均5時間かけて水汲みをしています。安全な井戸水に容易にアクセスできれば、この時間を教育にあてられます。SDGsの目標6「安全な水」は、目標4「質の高い教育」と目標5「ジェンダーの平等」に関連しているのです。SDGsの共通項の発見は、問題解決の糸口を与えてくれます。皆さんも身近な水問題を見つけて、解決策を考えてみてはいかがでしょうか?それが世界の問題につながっていることを実感できると思います。

 
気候変動に具体的な対策を

ベトナムにおけるグリーン経済および気候変動対策の研究

経済学部 掛川 三千代 准教授

SDGsを達成するには、政府や企業のみならず、すべての人たちの努力と行動が必要です。私が教える「世界経済」の授業では、「持続可能な経済を目指して」との副題のもと、持続可能な開発とは何かを考え、特に気候変動については、その原因や状況について科学的な知識を得ると同時に、政府の政策がどうあるべきか、どのような経済社会システムへの転換が必要なのかを皆で議論しています。さらに、私たちが日々、取れる行動は何かを考え、個人の行動を促す工夫をしています。また、私自身の研究では、現在、ベトナムにおけるグリーン経済の進展度を検証しつつ、気候変動による影響にどのように適応していくべきかの調査を進めています。気候変動の影響は、どの国でもすでに起きていますが、特に途上国にとっては、その影響をいかに最小限にし、または適応しつつ、持続可能な形で開発できるかが、今後の大きな課題になってきており、そのアプローチについて研究を続けています。


 
海の豊かさを守ろう

沿岸域の海洋生態系の実態を調査

教育学部 桑原 ビクター 伸一 教授

主に沿岸域の海洋における海中の植物プランクトン濃度など、海洋の実態を調べる研究をしています。SDGsの目標14「海の豊かさを守ろう」では海洋汚染の予防や、海洋資源の持続可能な利用などを掲げていますが、未来のためにどのような対策をとるべきか。これを知るうえでは、現在がどのような状態であるのかを理解することが重要であると考えています。その基準を調べるために、JAXAと共同で、気候変動観測衛星「しきさい」(GCOM-C)による海洋の観測なども行っています。地球の表面積の約7割は海洋が占めているといわれていますが、広い海洋をくまなく現地調査をすることは、とても時間がかかります。しかし、衛星を使うことにより、広範囲をまとめて観測することができます。この結果をもとに、海の豊かさを守るための取り組みに貢献していきたいと思います。


 
陸の豊かさも守ろう

生物多様性と自然環境保全のために

理工学部 久米川 宣一 講師

日頃、桑植物の育種を通して新たな品種の開発や、農業用ヘテロコア型光ファイバセンサを用いた環境測定に取り組んでいます。2017年12月に八王子市学園都市センターで行われた「第9回大学コンソーシアム八王子学生発表会」では、研究室の学生が「桑の実野生酵母を用いた桑ワインの醸造」の演題で優秀賞、「水耕栽培による低カリウム野菜の開発」が準優秀賞を受賞しました。大学での学びを企業・行政と協働し具体的なアクションにつなげたいと思います。また、自然環境保全の取り組みとして、本学の緑豊かなキャンパスに生息する植物や生態系を紹介する「キャンパスエコツアー」を開催しています。大学内の約400の植物に名前とその特徴が分かる二次元コード付きのパネルも設置しました。まずは、身近な自然を知ることから、自然を守ろう、大切にしようという心が育まれると考えます。


 
広報スタッフが取材
貧困をなくそう

貧困をなくそう

経済学部 高木 功 教授

高木教授は、開発経済学を専門とされており、貧困地域の実態を明らかにし、そこでの人々の暮らしをどのようにすれば良くしていけるかを研究されています。1997年に起きたアジア通貨危機を目の当たりにし、貧困地域に生きる人々の生活をいかに良くしていけるか、また、Human wellbeingの研究に力を入れてきました。学部の「開発と貧困の経済学」という授業の中で、貧困地域の問題を解決するための方途を学生と一緒に考え、取り組まれています。
飢餓をゼロに

飢餓をゼロに

学生団体 TFT-SOKA

TFT-SOKAはTFTプログラムを通じて開発途上国の子どもに学校給食を届け、創大生の健康増進のために活動し、今年で10年目を迎えます。TFTプログラムとは、メニュー1食につきアフリカの給食1食分に相当する20円がTABLE FOR TWOという団体を通して開発途上国に寄付金として届くものです。この仕組みをニューロワール1階に採り入れ、毎週木、金曜日に自分たちで考案した旬な食材を活用したヘルシーでおいしいメニューを提供しています。昨年は3,117食分(アフリカの給食で換算した場合)を届けました。
すべての人に健康と福祉を

すべての人に健康と福祉を

看護学部 鈴木 智子 助教

鈴木助教の専門は老年看護学で、認知症看護の認定看護師として認知症対応力向上研修の講師も務めています。本学赴任前には埼玉県内の病院で、認知症患者やその家族の相談、地域で認知症セミナーを開催していました。認知症の初期段階は、本人や家族も対応の仕方が分かりにくいため、症状やその対応について積極的に情報発信し、地域や病院の連携を推進してこられました。現場で体験し、学んだことを授業を通じて学生に伝えています。
質の高い教育をみんなに

質の高い教育をみんなに

通信教育部 オンラインコンテンツの充実

経済学部・法学部・教育学部の通信教育課程では、2019年度に1年次で入学した方より、卒業に必要なスクーリングの単位をインターネット上で学ぶ「メディア授業(オンデマンド)」で修得できるようになります。2019年度より「メディア授業(オンデマンド)」の開講科目を毎年増設し、教室で直接学べるスクーリングと併せて、より多くの方に学びの機会を提供できるように学修環境を充実させていきます。「メディア授業(オンデマンド)」では、講義や教員への質問、試験まですべてインターネット上で実施することができ、メディア授業単位として認定されます。さらに、2018年4月に新たに設置された文学部の通信教育課程では、本年9月18日から10月23日まで、JMOOC(日本オープンオンライン教育推進協議会)の公認プラットフォーム「OpenLearning,Japan」にて、「世界文学への招待」と題した講座を開講しております。この講座は無料で、インターネットを通じて誰でも受講することができます。
ジェンダー平等を実現しよう

ジェンダー平等を実現しよう

学校法人創価大学 つばさ保育所

2014年4月に、本学の「創価大学男女共同参画推進センター」が開設されました。女性教員・女性研究者の支援や育成を行うことを目的としており、具体的には出産や子育てなどのライフイベントと教育・研究活動を両立していくことのできる環境整備に取り組んでいます。その取り組みの一環として、八王子市内の高等教育機関としては初めてとなる事業所内保育所「つばさ保育所」を、2016年9月にキャンパス内に開所しました。毎年子育て中の教職員が積極的に利用しており、ワーク・ライフ・バランスの実現に貢献しています。
エネルギーをみんなにそしてクリーンに

再生可能エネルギーの活用、削減

創価大学キャンパス

中央教育棟の東棟と西棟の屋上に、2014年2月、本学で最大規模の発電設備となる太陽光発電システムを設置しました。 電気の最大出力は「99kW」で、同建物の空調や照明の電力として使用しています。東棟・西棟にそれぞれ208枚ずつ計416枚の結晶シリコン製のパネルを設置し、年間約30トンのCO2削減効果が見込まれます。同建物の地下1階の学生ラウンジ「プラット」の壁面には、太陽光発電の特徴やその日の発電量CO2排出量などが分かるモニターを設置。2010年1月に大教室棟で「30kW」、2013年2月に看護学部棟で「37kW」の太陽光発電設備を設置しました。また、近接階への階段の積極利用を促す「2UP3DOWN」の合言葉掲示、照明のLED化・間引き対応、トイレの便座を利用しない時はフタを閉めるように呼びかけるなど、エネルギー削減に向けて地道な取り組みを積み重ねています。
住み続けられるまちづくりを

住み続けられるまちづくりを

法学部 中山 賢司 准教授

中山准教授は、衆議院事務局で法案策定に関わってきた実務家であると同時に、東アジア地域主義に関する分野で博士号を取得された研究者です。現場や地域の人びとの視点を重視され、おもにフィールドワークを通じた研究に力を入れてきました。担当する法学部の授業「まちづくり八王子」も、地域の課題解決に向けて取り組むフィールドワーク科目です。本学は、2015年に八王子市と「包括連携に関する協定」を締結しました。八王子市と本学との連携科目の一つとして、子育て支援、高齢者の社会参加、環境問題などの政策課題を学生と一緒に考えています。
平和と公正をすべての人に

平和と公正をすべての人に

教職大学院 長島 明純 教授

長島教授は、小学校での23年間の教職経験やスクールカウンセラーとしての経験を生かし、子どもたちの諸課題を克服するための方途を、心理治療的な側面から実践的に研究しています。「信頼関係がつくりにくい被虐待児へのかかわり」について、現場経験や研究内容を授業やゼミ活動を通して、未来の教育者である学生に還元しています。
授業・ゼミ活動等を紹介
働きがいも経済成長も

授業紹介:経営学部「人間主義経営演習」

経営学部 志村 裕久 准教授

平均寿命の伸長やAI技術の進歩などに伴い、私たちの働き方は大きく変化しています。働き方や働きがいを大切にする企業がより求められるようになりました。「人間主義経営演習」では、創価大学が目指す人間主義に基づく経営について思索し、実践するリーダーの輩出を目指して、受講生それぞれの判断基準を養います。具体的に本学卒業生や教員がオムニバス形式で講義し、それをふまえ学生がグループごとにビジネスの課題を取り上げ、人間主義の観点からどう解決すべきかについてリサーチを行うなどしています。授業を担当する志村准教授は「外部講師による講義、また、創立者が掲げる人間主義経営とSDGsの取り組みについて学生自らが考え、グループワーク形式のプレゼンを行うことで、人間力形成に役立つ授業として設計しています」と語ります。
国際教養学部 オズターク研究室
組織における最適な意思決定の手法を研究する国際教養学部のオズターク教授の研究室では、実際に海外の企業にも訪問。学んだ理論が実際の企業活動においてどのように作用するか、経営者等から講義を受け、学びを深めています。
産業と技術革新の基盤をつくろう

授業紹介:工学研究科 「環境材料科学」

工学研究科 井田 旬一 教授

この授業では、環境問題解決に寄与できる、いわゆる「環境調和材料」と呼ばれるものについて、その仕組みや応用例などを学びます。具体的には、環境触媒、太陽電池、燃料電池といった大気・水汚染の軽減に直接貢献する材料や、低環境負荷な材料合成プロセスについて、講義やディスカッションを通して学び、最後は受講生自身が、最近開発された新しい材料やホットな材料を探してきてプレゼンします。様々な分野の学生が授業を受講するので、学生同士の質疑応答が白熱し、時には新しい材料開発のアイデアが生まれることも。授業担当の井田教授は「SDGsの目標9の達成には、環境材料と呼ばれる環境負荷低減に貢献する材料の開発が不可欠です。青色LED開発が良い例ですが、革新的材料の開発は社会を変革するイノベーションとなります」と説明します。
チームSOBITS
本年5月、岐阜県大垣市で開催された「ロボカップジャパンオープン2018おおがき」に、理工学部・崔龍雲研究室のメンバーを中心に構成された「チームSOBITS」が出場。2つのリーグで優勝に輝きました。
人や国の不平等をなくそう

授業紹介:国際教養学部「Transnational Migration」

国際教養学部 ジョハンナ ズルエタ 准教授

グローバル化の進展に伴い、国境を越えた人口移動が活発になる今日、移民の存在はより重要になっています。国際教養学部の「Transnational Migration」ではアジア、欧州、アメリカ、アフリカ等における移民の状況について社会学や人類学など複数の学術的観点から分析を行います。
受講生はディスカッションやリサーチなどを通して、国境を越えて発生する移民問題に関する複合的な視野を養うことができます。授業を担当しているズルエタ准教授は「受講生同士のディスカッションやフィールド・トリップ、外部講師による講義を受講することで、『人が移動すること』とSDGsの取り組みの意義をより深く洞察でき、移民という社会現象への理解と他者への理解を深める授業を行っています」と話しています。
学生有志グループ 留トモ
「留トモ」とは、来日間もない留学生をサポートする本学学生の有志のグループです。留学生が創価大学での生活をスムーズに始められるよう、市役所での手続きの補助や駅前ツアーの企画などを行っています。
つくる責任つかう責任

授業紹介:法学部「環境法」

法学部 朝賀 広伸 教授

法学部の「環境法」では、公害・環境問題をはじめ、廃棄物・リサイクルに関する法政策、地球温暖化と環境規制等を取り上げ、循環型社会における持続可能な社会の構築を目指し、人間社会と環境のあるべき関係性を学びます。身近な地域と企業、自治体や国家等の相互関連を考慮しつつ、地域および地球レベルにおける環境問題の解決に向けて、環境法規および環境マネジメント手法の知識等を修得します。授業を担当する朝賀教授は「循環型社会の創出には、限りある天然資源の消費を抑制し、できる限り環境への負荷を低減しなければなりません。持続可能な社会を構築するために、国、地方公共団体、事業者および国民のいずれも責任をもって、主体的に行動することが求められています」と説明しています。
創価女子短大ボランティア部
創価女子短大ボランティア部ではNPO団体と連携して、短大校舎にて回収したペットボトルキャップから世界で使用されるワクチンの製造費を捻出しています。本年は146kgのペットボトルキャップを提供し、73名分のワクチンを寄付しました。