関 篤志 教授

光ファイバやナノ粒子を使って 微小な究極のセンサの研究・開発に挑む!

光ファイバを修飾してセンサに利用する!

 私の研究室では、光ファイバやナノ粒子などを用いた化学センサやバイオセンサの研究と開発を行っています。光通信に用いられる光ファイバですが、その表面を修飾し、伝送されてくる光の性質の変化を測定すれば、目的の計測ができるようなセンサとして働きます。
 たとえば、金属の薄膜や金属ナノ粒子を固定化した光ファイバの表面を吸水性のポリマーなどで修飾すると、湿度センサとして使うことができます。光ファイバの直径は0.1mm程度ですから、非常に小さなセンサとして利用することができます。また、これを研磨してさらに細くすると、より小さな世界を測定することもできるようになります。

細胞1つ、分子1つでも検知できるセンサの開発をめざす

さらに、タンパク質を使ったセンサの開発にも挑戦しています。タンパク質は種類がたくさんあり、特定の物質と結びつくものもあります。こうしたタンパク質を金属ナノ粒子の上にくっつけて、そこにほかの物質が結合したときの変化を計測すれば、バイオセンサとして機能します。さまざまなタンパク質をナノ粒子の上に結合させることができれば、センサとしての可能性が広がります。 
 光ファイバは、計測点の近くで電気を使う必要がありませんから、水素のような可燃性の気体の計測にも安全に用いることができます。遠隔地での測定もでき、軽量化も可能です。
また、光ファイバ自体がとても細いため、例えば血液1滴といった、ごく微量の試料の測定も可能になります。このような特長を利用し、果実や食品の糖度測定や環境計測、酸素や水素といった気体の検出など、種々のセンサを開発しようとしています。将来的には細胞1つとか、分子1つでも検知できるようなセンサを開発したいと考えています。

昆虫少年だった小学生時代、 ファーブルにも影響を受ける

小学生のころは、夏の暑い日にプールに行かずに網とカゴを持って野山で昆虫を追いかけていました。また、捕まえた昆虫をなるべく自然に近い状態で飼育してみようとしていました。
『シートン動物記』や『ファーブル昆虫記』も好きで、よく読んでいました。特に、羽化したオオクジャクサンというガのメスの周りにオスが集まってきたところを見たファーブルが「オスはどのようにしてメスの居場所を知ったのか?」と疑問を抱き、その疑問を解決するために実験を試みる、という話は心に残りました。この話を読んだ当時も、昆虫はどのようにして非常に高感度に物質を検知しているのだろうか、と不思議に思ったものです。
 高校生のときには、化学の実験が面白いと思いました。特に瞬時に物質の色が変わったりする化学反応などにひかれましたね。また、フェロモンなど昆虫の化学にも興味がありました。

タンパク質の扱い方を身につけた、大学〜大学院生時代

大学の卒業研究では、固体基板の上にタンパク質を固定化する、つまり並べてくっつける、という実験をし、タンパク質の扱い方の基礎を身につけました。「タンパク質を並べる」といっても、ただ並べるわけではありません。タンパク質のもとの性質は保ったまま、向きを揃えて並ばせることで、同じ性質のものができるように工夫しました。
 大学卒業後は大学院に進み、博士課程では、固体の上に並んだ分子の働きを電気学的に検出する研究をしている研究室で研究を行いました。先ほども登場した、タンパク質を使ったバイオセンサです。例えば、糖尿病の患者さんの血糖値を測るためには、血液中のグルコースの濃度を見ますね。グルコースを選択的に反応させる酵素を用いれば、血中のグルコースを検出するセンサができます。これは典型的なバイオセンサです。博士課程でこれらの技術を身につけ、創価大学に来てからも研究を続けています。
 予想通りの結果が得られたときは嬉しくはありますが、予想外の結果が出たときでも、なぜなんだろう、と理由を考えて解決に結び付けていくことは面白くもあり、研究の醍醐味でもあります。

好奇心をもって、幅広い勉強を!

学生の皆さんには、とにかく好奇心旺盛であってほしいと思います。創価大学理工学部は基礎から応用まで幅広い範囲にわたる領域を扱っている学部で、そこが面白いところだと思いますし、おすすめです。
私の研究室では、学生はセンサの材料になる、ナノ粒子の合成から始めます。市販されているものもありますが、実験で使うものは自前で揃えています。有用なセンサを開発したい、新しい検出原理を見付けたい、そういった学生の方が来てくれれば嬉しいです。

先生にとって研究とは? 漢字一文字で表すと?

「漠」

新しいことに取り組むということは、果てのない大地や海から宝物を探し出すようなものです。予想通りの結果が得られないことはたくさんあります。些細なこともおろそかにせずに、マイクロメートルの細さの光ファイバと、ナノメートルの直径の微粒子を用いて、ピコレベルの感度を持つセンサを開発したいと思っています。

▼プロフィール
共生創造理工学科 関 篤志 教授
1984年 九州大学農学部卒業
1990年 東京工業大学総合理工学研究科博士課程修了 工学博士
1990年 創価大学生命科学研究所助手
1995年 創価大学工学部講師
1999年 創価大学工学部助教授
2010年 創価大学工学部生命情報工学科教授
2017年 創価大学理工学部共生創造理工学科教授

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