丹木の歳時記2010文月 その五

唐突ではありますが、「ルリボシカミキリ」という昆虫をご存知でしょうか? その名の通り、鮮やかな瑠璃色が特徴の日本固有種。倒木や伐採木を好みますが、環境の変化により、近年、その数は減少傾向にあるようです。 その昆虫の美しさに魅せられた分子生物学者の福岡伸一氏は、近著でこのように綴っています。 「ビロードのような輝きをたたえた深い青。それは塗られた青ではなく、金属のように内部から放たれる青。こんな青はフェルメールだって作り出すことはできない。その青の上に、くっきりとした漆黒の斑紋が散っている」(文藝春秋刊『ルリボシカミキリの青』)と。