丹木の歳時記2012　皐月　その三

立夏をすぎ、新緑がまぶしい季節になりました。今回は、キャンパスの片隅であまり知られることもなく咲いている花たちを取り上げます。

可憐な筆竜胆（フデリンドウ）。花は日が差している時にだけ開きます。

「文学の池」の周辺では、著莪（シャガ）が咲いています。実はならず、地下茎で増えていきます。

八重の山吹も実がなりません。後拾遺和歌集（ごしゅういわかしゅう）には、兼明親王（かねあきらしんのう）の和歌「七重八重花は咲けども山吹のみの一つだになきぞかなしき」がありますが、「みの一つだになき」とは、実がならないということと、簑がないということを掛けています。

山吹にそっくりの山吹草です。山吹はバラ科で山吹草はケシ科。一重の山吹の花びらは５枚ですが、山吹草は４枚なので見分けがつきます。

卯月（四）で紹介した紫華鬘（ムラサキケマン）とそっくりの次郎坊延胡索。ジロボウエンゴサクと読みます。紫華鬘も次郎坊延胡索も、山吹草と同じケシ科の植物です。

次郎坊（ジロボウ）があれば太郎坊（タロボウ）もあります。太郎坊とは、伊勢地方の方言。スミレを差します。

稚児百合（チゴユリ）は目立たない花をつけます。花の小ささからついた名前なのでしょう。

稚児百合と同じチゴユリ属の宝鐸草（ホウチャクソウ）には毒があります。

強壮・強精薬になる碇草（イカリソウ）は、色も形も様々です。

強壮・強精薬になる碇草（イカリソウ）は、色も形も様々です。

次々に花が咲くので更新が追いつかず、紹介したときには咲き終わっているということもあります。本欄を頼りにキャンパスを歩いてみたけれど、どこにもなかったという場合は、ご容赦あれ。