丹木の歳時記2012　皐月　その五

キャンパスを歩いていると、雑木林の中から美しい囀りが聞こえてきました。森の歌姫と呼ばれるキビタキです。キビタキは東南アジアから飛来する夏鳥。とても美しい鳥ですが新緑に隠れて姿は見えず、写真を撮れなかったのが残念です。

気を取り直して歩いていると、黄色い海老根（エビネ）が咲いていました。

金蘭（キンラン）はレッドデータブックの絶滅危惧II類(VU)に指定されている貴重な植物です。樹木と共生する菌根から栄養を得ているため、人工栽培は難しいことが分かっています。

金蘭は黄色、銀蘭（ギンラン）は白い花を咲かせます。

鎌倉初期の武士である熊谷直実（くまがいなおざね）にちなんだ熊谷草（クマガイソウ）も、絶滅危惧II類(VU)に指定されています。

熊谷草、海老根、金蘭、銀蘭はラン科ですが、蘭という名前でも鈴蘭（スズラン）はユリ科。コンバラトキシンという毒があります。同じユリ科のよく似た植物・行者にんにくと間違えて食べると大変です。

サトイモ科の浦島草（ウラシマソウ）も有毒植物。上に向かって伸びている花穂を浦島太郎の釣り糸に見立ててついた名前です。

蝮草（マムシグサ）も有毒。浦島草や水芭蕉と同じサトイモ科です。

「文学の池」では、塩辛蜻蛉（シオカラトンボ）が飛び始めました。

見た目も涼しげな糸蜻蛉（イトトンボ）。自然の生み出す造形美にしばし見とれてしまいました。

見た目も涼しげな糸蜻蛉（イトトンボ）。自然の生み出す造形美にしばし見とれてしまいました。

念のための確認ですが、キャンパス内の山野草はすべて採取厳禁です。珍しいからと言って、持ち帰らぬよう呉々もご注意を。