丹木の歳時記2013　皐月　その四

立夏を過ぎ、夏のような暑さになる日も増えてきました。晴れた日にキャンパスを歩くと、小鳥の囀りがシャワーのように降り注いできます。

「文学の池」では、涼やかな黄菖蒲（キショウブ）が咲き始めています。

黄菖蒲はアヤメ科ですが、庭石菖（ニワゼキショウ）もアヤメ科に属します。

池の近くで、白詰草（シロツメクサ）が咲いています。こちらはマメ科の多年草です。

写真を撮っていると、塩辛蜻蛉（シオカラトンボ）が近づいてきました。最近、「文学の池」で羽化した個体なのでしょう。雄は成熟するにつれて身体全体が水色になっていきます。雌（黄色）の塩辛はムギワラトンボと呼ばれます。

白萩寮の前では、スイカズラ科の谷空木（タニウツギ）が咲いています。

ガマズミや大手毬もスイカズラ科に属しますが、こちらが本家本元の忍冬（スイカズラ）です。花には良い香りがあり、白から黄色に変化していきます。

香りの良い花と言えば、朴（ホオ）の木の花にも強い香りがあります。本学では、大木の上の方で咲くので、気づく人は少ないかも知れません。

二人静（フタリシズカ）は通常、二本の花穂を出すことからついた名前です。本学では見かけませんが、花穂が一本の一人静（ヒトリシズカ）も同属の植物です。

雑木林の中でひっそりと咲くのは、鳴子百合（ナルコユリ）です。

神宮つつじは、三重県にある伊勢順宮の近くで見つかったのでついた名前。一般的なツツジより遅れて咲き始めます。

苦菜（ニガナ）というからには、さぞ苦いのでしょうが、まだ食べてみたことはありません。

中央図書館の前では、メタセコイアが葉を茂らせています。

この時期は、ガビチョウやウグイスに混じって、キビタキの声も聞こえてきます。新緑の中で聞く美しい囀りは格別です。