丹木の歳時記2014　師走　その二

二十四節気の大雪を迎えました。冬将軍の到来と共に「文学の池」にも氷が張りました。今年の紅葉もそろそろ見納めを迎えています。ところで最近嬉しい知らせが届きました。

昨年、本欄にメールを寄せてくれた高校生がいました（2013年弥生その一）。そこには本学を目指し、勉強や部活、アルバイトに頑張っている様子が綴られていました。

その後どうしているか気になっていましたが、先日本人から公募推薦で本学に合格したとのメールが届きました。

メールにはこれまで本欄の写真や文章を励みに苦難を乗り越え、晴れの栄冠を勝ち取った様子が綴られていました。

どうも最近涙腺が緩くなったのかメールの文字が滲んで見えます。作者冥利に尽きるとはこういうことをいうのでしょうか。

かつてとある地方の高校生だった筆者は経済的な事情で本学の受験を断念したことがあります。

それは夢と希望の全てが失われるように思えた出来事でした。

赤貧を洗うが如き生活の中で本学へと送り出してもらえたのは、母や周囲の方々の励ましのお陰です。

入学後、初めてお会いした折に創立者から頂いた豚汁定食の食券は勿体なさと感激のあまり使うことができず、郷里の母に送りました。

あの時の食券は今、筆者の手元で大切な宝物になっています。

高校生からの嬉しいメールに、つい思い出が蘇ってしまいました。

創立者をはじめ、これまで陰に陽に筆者を励まして下さった方々へのささやかな恩返し－－それは自分が今度は誰かを励ますことだと思っています。

人知れず涙を流し、歯を食いしばって頑張ってきた彼も来春からは創大生として多くの友に励ましの光を贈ってくれることでしょう。

キャンパスでは山茶花（サザンカ）が見頃を迎えています。メールをくれたS君、本当におめでとう。君に励まされたのはむしろ筆者の方です。

ともあれ受験はこれからが本番。受験生の皆さんは風邪を引かないよう体調管理に気をつけて、それぞれの勝利の栄冠を勝ち取って下さい。