創価大学ニュース「SUN」96号 2018 Winter

15 大阪府出身。1976年大阪教育大学大学院教育学研究科 修士課程修了。追手門学院小学校教諭、追手門学院大学 教育研究所員を経て、1987年創価大学通信教育部講師、 1989年同助教授、1992年創価大学教育学部助教授。現 在は創価大学教育学部教授、創価大学大学院文学研究科 教授。教職キャリアセンター長。専門は心理学。著書は『人づ きあいが楽しくなる心理学』(第三文明社)、『子どもと大人の ための臨床心理学』(北大路書房)など多数。 鈎 治雄 Profile Haruo Magari 子どもの問題を扱う「教育心理学」と、人々が元気に生きるための「ポジティブ心理学」が研究の二大テーマ 「心理学は人々を問題解決に導き、元気づける学問。それを学生たちに伝えたい」 “Psychology is an academic discipline that aims to console people and help solve their problems. That’s what I want to teach my students.” いじめや不登校などの問題を、 心理学的に分析し解決法を探る  鈎教授の専門は心理学。学部や通信教育部で心 理学、教育心理学の授業を担当しています。  「子どもたちの様々な問題に対して、心理学からア プローチするのが教育心理学です。例えば、いじめや 不登校などの問題が生じたとき、子どもたちにどのよ うな教育をするのか、あるいはそうした問題が起きな いようにするためにどのような予防的教育をするの かを研究する学問です。教育心理学を学ぶことで、子 どもの心理や親子関係、教師と生徒の関係などに対 する理解を深めてほしいと考えています」 心理学の新潮流であるポジティブ心理学。 「楽観主義」に注目して研究中  鈎教授には、もう一つの研究テーマがあります。 それが「ポジティブ心理学」。  「1990年代後半から出てきた新しい心理学の分 野です。それまでの心理学はネガティブな感情につ いての研究に重きがおかれていたのですが、逆に ポジティブな感情を研究しようというものです。ポ ジティブな感情が人々の行動とどのような関連が あるのか。それを研究し、人々の生き方や幸福と いった問題にも心理学が貢献しようという考え方か ら出発しています」  ポジティブ心理学で取り上げる感情の一つが「楽 観主義」です。鈎教授は、質問紙調査やインタビューと いった手法を用いて、その人の楽観主義的な傾向が 幸福感や感謝感情、自尊感情などとどのように関連す るのかを調べています。  「楽観主義というと、物事を深く考えない人をイ メージするかもしれませんが、ポジティブ心理学の 楽観主義は現実の厳しさや困難さを客観的に認識 したうえでの楽観主義です。人間には弱さがありま すが、困難に立ち向かえる強さもあります。その部 分に目を向けて、人々を元気づけるため の研究です」 教育を取り巻く複雑な現場。 卒業生が相談に訪れることも  鈎ゼミは3年生8人、4年生8人。「日本の 学校教育と新学習指導要領の特色」「いじ めの対応と防止プログラム」「発達障がい の現状と対応」「フィンランドの教育事情」 など、現在の教育的課題や諸外国の教育 事情などについて、各自がテーマを選びま す。テーマに沿って調べ、論点をまとめて 発表し、皆で討議するという形で行われています。これに より、子どもを取り巻く諸問題や教育事情についての全 般的な知識を深めていきます。  ゼミ生の進路は、小学校や中学校の教員、幼 稚園教諭、特別支援学校教諭などの教職の他 に、少年鑑別所(法務教官)、地方公務員、児童 相談所、一般企業、国際機関など多岐にわたり ます。職場の人間関係に悩んだり、壁にぶつかっ たりした卒業生たちが相談に訪れることもよくあ るそうです。「教育の現場は、卒業してからが本 番。職場の人間同士で支え合うことで乗り越えら れる相談も多いのですが、現実の職場にはその 余裕が無いように感じます。私のところに相談に来ること で、少しでも気持ちが前向きで楽になれば。まさに彼らこ そ、楽観主義を実践してもらいたいと思っています」 [ ] FILE 15 教育学部 教育学科 鈎治雄 教授 ポジティブ心理学や楽観主義の 研究成果に基づいた、一般向け の本も多数執筆している ゼミはいつも和気あいあいで、 ゼミ生は皆ポジティブ

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