創価大学ニュース「SUN」99号 2018 Autumn
18 Soka Univ. News 持続可能な社会をつくる研究に、創価大学の持つ総合性が活きる 海と生き物と環境の相互の影響や変化を研究 東京大学時代から続けているテーマを本学でも 古谷教授は、2017年3月まで東京大学で農学生命 科学研究科教授として、また、同大の理事・副学長とし て活躍されていました。そして、同年4月からは、創価大 学の大学院工学研究科で環境共生工学専攻の教授に 就任しています。 東京大学在籍時から「生物海洋学」という分野を専 門にしています。この学問分野は、生物にかかわる海 洋学的な現象全般を対象としています。 「海の生態系は、地球の環境が変わるとどうなるの か、という大きな研究課題があります。ここには、漁業資 源の持続的な利用というような私たちの日常的な関心 事も含まれていますが、食料生産だけではなく、海では 様々な物質が循環しており、その物質循環がどのような 影響を受けるのかが大きな問題となっています。仏教 でいうところの輪廻になぞらえる研究者もいます。物質 循環がどこかで滞ると、食物連鎖の上位の生物が餌不 足になるなど、その影響は生態系全体におよびます」。 創価大学プランクトン工学研究開発センター長に就任 学長のイニシアチブで全学的な取り組みに位置づけ 創価大学は今年の5月、学長の主導のもとに「創価 大学プランクトン工学研究開発センター」を立ち上げ ました。主な目的は、持続可能な社会の構築に向けて、 プランクトンが持っている機能を上手に社会の中に組 み込むための研究・開発をすることです。古谷教授は、 立ち上げと同時にセンター長に就任しています。 「創価大学が持つ総合大学としての強みを、ここで 活かすことができます。環境問題も食料問題も、理工系 の分野だけではなく、社会科学系、人文科学系も含め た異分野の研究者たちが連携することで、解決に向か うと考えています。これは、私がかつてある大型の研究 プロジェクトでリーダーを務めた経験から学びました。 創価大学は、まさにそうした条件が整っています。もと もと、工学研究科長の戸田龍樹教授の専門 分野でもありますし、学長のイニシアチブに よって、全学的な取り組みに位置づけられ ていることは、心強いです」。 日本学術会議のメンバーとしても議論を重ね 21世紀の新しい科学の在り方を考える 現在、古谷教授は、内閣府が所管する日本の科学 者を代表する学術団体である日本学術会議のメン バーでもあります。ここで食料科学委員会水産学分 科会の委員長として、提言をまとめています。 日本学術会議でも、創価大学でも、今SDGsが大き く取り上げられていますが、古谷教授の研究テーマ は、まさにこの国連の主導による「持続可能な開発 目標」にぴったりです。 一方で、大学院の教員として、若い世代にも期待 をしています。 「今、修士課程が始まったばかりの女性2人をみ ています。2人とも、海の植物プランクトンに関する 研究をしていますが、とても熱心に取り組んでいま す。教員という立場ですが、研究者としては大学院 生の諸君と私とは対等だと考えています。彼女たち の研究が進むにつれて、自分たちの研究テーマばか りでなく、関連する分野など外の世界への好奇心が 向いていくだろうと期待しています」。 [ ] FILE 17 大学院工学研究科 環境共生工学専攻 古谷研 教授 1975年東京大学理学部生物学科卒業、1981年東京大学大学院農学 系研究科水産学専門課程博士課程修了、1981年農学博士、1999年~ 2017年東京大学大学院農学生命科学研究科教授、2013年~2015年 東京大学大学院農学生命科学研究科・農学部研究科長・学部長、2015 年4月~2017年3月東京大学理事・副学長、2017年4月~創価大学大 学院工学研究科教授、2018年5月~創価大学プランクトン工学研究開 発センター長。日本学術会議会員・同食料科学委員会24期水産学分科 会委員長。2014年4月日本海洋学会「日本海洋学会賞」、2018年8月 「第11回海洋立国推進功労者表彰(内閣総理大臣賞)」受賞。 古谷 研 Prole Ken Furuya 海洋観測風景。海面下 の環境を測定するセン サーと採水器(円筒状の もの)を組み合わせた測 器の調整をしているとこ ろ。海洋観測では研究者 がこのように協力し合う のが、日常である 「海洋保全生態学」 講談社刊(2012) 「環境問題はいろいろな分野の専門家が連携しなければ解決に向かいません」 “Environmental problems cannot be solved without close collaboration of specialists from diverse fields ” 第11回(2018年) 海洋立国 推進功労者表彰 内閣総理大臣賞 受賞
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