• Tag:
  • 創価女子短期大学×SDGs~「時の蘇生・柿の木プロジェクト」に参加して〜

2022/10/24

創価女子短期大学×SDGs~「時の蘇生・柿の木プロジェクト」に参加して〜

本年(2022年)より、本学では短大生が主体となってSDGsワークショップを立ち上げました。SDGsが掲げる様々な社会課題に対して学びを深める中で、学生が主体的に、生理の貧困、環境問題、ジェンダー、街づくりなどの各プロジェクトに挑戦しています。今回は、その中でも、本年5月に東京富士美術館で開催された「SDGs×時の蘇生・柿の木プロジェクト」に参加した模様をお伝えします。

「柿の木プロジェクト」の参加に至るまでの経緯を教えてください。

東京富士美術館のSDGs委員会の方と勉強会も行いながら、平和について研鑚して、当日を迎えました。

 本学は、2021年4月より開学40周年に向けた取り組みとして、『女性(あなた)が輝く未来を拓く』をテーマに掲げ、「輝く女性の育成」と「SDGs」の推進に取り組んでいます。2021年11月には、短大生が「生理の貧困をなくし、生理のことをオープンに語れる世界」をビジョンに掲げ、学生が独自に研究調査した結果、関東の女子大・女子短大で初めてとなる生理用品の無料ディスペンサー(OiTr)の設置をすることができました(創価女子短期大学×SDGs 「生理の貧困をなくそう!」)。実は、この取り組みには続きがあります。この学生主体の取り組みを通じて、東京富士美術館のSDGs委員会の方々と交流することが増え、何度もこれからのSDGsについて議論を重ねました。その結果、短大生の活動が東京富士美術館にも波及し、全国の美術館で初めてOiTrを設置することになったのです。さらに、東京富士美術館のSDGs委員会の方々との意見交換を重ねる中、「時の蘇生・柿の木プロジェクト」に関わる機会をいただきました。

 本学では、2021年度より、短大入学1年次春学期に全短大生が受講する「基礎ゼミナール」においてSDGsの様々な分野を学習しています(創価女子短期大学×SDGs ~短大での取り組み・基礎ゼミナール~)。さらに、2022年度より、教養科目の中で「SDGsと経済社会」や「発展途上国の政治と経済」などのSDGsについて学べる新たなカリキュラムをスタートさせました。こうして、短大においてもSDGsを「他人事」ではなく「自分事」と捉える機会を整えています。今回、SDGsワークショップのメンバーが中心となって、SDGsの目標16「平和と公正をすべての人に」の意義を深く考えることができる良い機会として、柿の木プロジェクトに参加することになりました。

「時の蘇生・柿の木プロジェクト」とはどのような取り組みなのでしょうか?

 1945年8月、長崎に原子爆弾が落とされました。この時、被爆しながらも奇跡的に一本の柿の木が生き残っていたのです。1994年、長崎の樹木医の海老沼正幸氏は、この柿の木を治療し、「被爆柿の木2世」の苗木を生み出しました。これを平和の象徴として、長崎を訪れる子どもたちに配っていったことが本プロジェクトの源流にあります。その後、現代美術家の宮島達男氏が、柿の木をテーマにしたアート表現をしながら、世界中の子供たちに苗木を手渡しする活動へと発展し、今日までに25年に渡って、のべ3万人の子供たちに平和の種を蒔いています。

 東京富士美術館では、2020年11月にSDGs委員会が発足しました。関係者からの紹介で柿の木プロジェクトを知り、東京富士美術館でも開催したいとの思いが募り、SDGs委員会が中心となって本プロジェクトに繋がったようです。そして、2022年5月14日、被爆して生き残った柿の木の苗木を植樹する「SDGs×時の蘇生・柿の木プロジェクト」が東京富士美術館で開催され、当日は短大生も役員として参加をしました。東京富士美術館での取り組みは、被爆しても生き続けた柿の木の苗木を世界中の子どもたちに育ててもらうことで、どんなことがあっても負けない命の強さ、平和の大切さを知ってもらうアートプロジェクトです。当日は植樹式も行われ、地元八王子の子供たちをはじめ大勢の人たちが参加しました。イベントの楽しい思い出を通じて、子どもたちに柿の木のことを覚えていてほしいとの願いが込められています。

当日はどのようなイベントが行われたのでしょうか?

 当日参加した子どもたちに向けて、短大生は心を込めて紙芝居『かきのきおやこ』(脚本・絵:木谷安憲)を朗読しました。このお話は、長崎で被爆した柿の木を蘇生させた本プロジェクトがどのようにして始まったかをお伝えする物語です。紙芝居を朗読した短大生からは、次のような感想が寄せられました。

 「呼び込みから、読み聞かせまで、私たちで試行錯誤しながら取り組みました。子どもたちはみんな真剣に楽しく聞いてくれました。紙芝居に登場する人物を通して、柿の木プロジェクトのはじまりの背景を知ることができました。そして、この事実を知るだけではなくて、感情を込めて読んだことで、自分の心の中に平和の意義について考えるきっかけとなりました。参加した子どもたちも真剣に話を聞いている姿を通して、平和の種を心の中に残していくことがいかに大切なことかを学ぶことができました。」
 その他にも、タイムカプセルの制作、平和へのメッセージや記念バッジの作成、メインイベントの植樹式やクロストーク(登壇者:海老沼正幸氏(樹木医)、宮島達男氏(現代美術家)、日比野克彦氏(東京藝術大学学長))などが行われました。クロストークに参加した短大生からは次のようなコメントが寄せられました。

 「クロストークの『戦争の反対はアート』という言葉が印象的で、確かにアートは人と交流するきっかけとなり、平和につながる素晴らしいものだと感じました。必ずまた、東京富士美術館を訪れたいと思います。」

短大生から東京富士美術館へインタビューをしました(東京富士美術館SDGs委員会から創価女子短期大学へメッセージをお願いします)。

 「東京富士美術館から創価女子短期大学の皆さんに伝えたいことは2つあります。1つ目は、学問の探究をし続けてほしいということです。SDGsは短大生のみなさんが就職した後も必要不可欠な分野なので、常に自分ごととして捉えていくことが重要です。そして、探求し続けていくことは、新たな価値創造に繋がります。短大生の皆さんは、各々が、専門性を身につけている最中かと思うので、その「学問」と「知りたい」という心を大切にしてほしいと思います。

2点目は、次の時代を担う短大生に是非、東京富士美術館で教養を身につけていただきたいということです。文化芸術を知っている女性と、知らない女性とでは、教養の深さに違いが表れると思います。短大の近くに東京富士美術館があるという意義に想いを馳せながら、文化芸術に親しんでください。

短大には、マリーキュリー像がありますよね。私たちは、女性偉人に通じることとして「1人立つ精神」を挙げることができると考えています。そこには情熱と貪欲な姿勢があります。私たちも共々に女性が輝く時代を目指し、さらなるパートナーシップを築いて参りましょう!」

参加した短大生より、今後の決意を聞きました。

 今回は、創価女子短期大学と東京富士美術館のパートナーシップの取り組みを通して、SDGs推進の様子を取り上げました。「柿の木プロジェクト」の参加を通して、私たち短大生が「平和」について学びを深める最高の機会となりました。これからもSDGsが掲げる様々な社会課題への学びを深め、未来に向かって挑戦していきたいと決意することができました。そして、東京富士美術館SDGs委員会をはじめ、民間企業や各種団体とも連携をし、創価女子短期大学ならではのSDGs推進に取り組み続けます!

ページ公開日:2022/10/24