今年度の採用試験を振り返って ~教職体験を踏まえて~
教職キャリアセンター指導講師 橋本 和男
2022年度の教員採用試験に挑まれた通教生及び卒業生の皆様、本当にお疲れ様でした。教職キャリアセンターでは、8月10日までは、ハイブリッドで対策講座や個別相談を行ってきましたが、その日以降は、コロナウイルスの感染予防を図り2次試験を受ける受験生の不利益を回避するため、すべてオンラインとして実施しました。今、この原稿の執筆をしているのは、2次試験をほぼ終わった8月末です。これまでの取り組みを振り返り、私が今、感じていることを皆様に実感ある言葉としてお伝えしたく、あえて教職キャリアセンター相談室の机上で思いを綴っています。
私は、2018年度から創価大学の教職課程の「生活科」の担当講師として任をいただいています。学部生及び通教の皆様と「生活科の授業をするということ」とテーマをおき、共に研鑽に励んできました。5年前に感じたことは、創大で学ぶ学生の皆様の本当に真面目で実直な心で勉学に向かっている姿の素晴らしさでした。中でも大変驚いたことは、地方スクーリングでの出来事です。2日間で10コマの講義でした。コマとコマの休憩時間、昼休み、そして講義終了後に、次々と講義内容の質問や相談を受けました。生活科の実践は、高い教育理念に根差した教科観に因ります。現実の現場での課題が大きく、講義内容に照らし合わせて、「どうしたら解決ができ、人間教育を体現できるか?」という問いでした。通教の皆様の多くは、学校現場で働かれており、その質問には切実感を深く感じました。その要望に切に応えなくてはと決意を新たにしました。
今年度の4月、教職キャリアセンターの指導講師の任をいただきました。相談業務の中で、通教生の皆様と接することが多くなりました。お一人おひとりの相談には常に必死さが伝わってきました。様々な社会のご経験の上に立ち、現実社会の変革への決意と、未来に向かって可能性を秘めた子どもたちを育てる仕事に就きたいとの強き願いがあふれていました。
私は、学校や教育員会での経験はあるものの、採用試験に向かう学生の皆様への指導は初めてです。その思いに応えていきたいと必死でした。その中でキャリアセンターには、教採を突破した先輩たちが届けてくださった復元資料があります。また、様々な対策資料があります。その資料に目を通しながら、一人の受験生は今何を求めているのかを理解し、必要なことを届けることにしました。
また、相談業務にあたっている過程で、今振り返ると誤った思考が働いていました。対策の指導をより効率化していくためには、一人の指導講師が受験生を専属で担当し、合格まで手ほどきしていく方が良いと考えていたのです。教職キャリアセンターの事務室で長年ご指導にあたっている職員の方のお話を聞いてハッとしました。「学生さんにとっては、様々な指導講師の皆様に違った内容の指導をいただけることによって意識が高まっていくのです」と。振り返ってみますと正にその通りだと感じています。受験までの数か月間において皆様の成長の様子を見れば一目瞭然です。職員の方の経験知は、流石です。あくまでも求める学生の皆様の側に立った視点が重要であることを学びました。
相談業務を何度も続けているうちに、私は不思議な心境になりました。親つばめが巣にいる雛たちにエサをとり与えている姿です。皆様を子供に例えて恐縮ですが、本当にそう感じました。これから独り立ちをして、自分力で羽ばたいていくことができるようにしていく責任です。
今回の対策は、私自身、まだまだ経験不足でお役に立てたかは心もとないことばかりです。いうまでもなく、採用試験は全国統一ではなく、各都道府県や政令都市によって様々に異なります。その違いに対応できていないと感じます。反省しております。これからさらに、まずは、教職キャリアセンターの専任講師、指導講師を勤めておられる先輩の知見と財産に学び、指導の力量を高めていきたいと思います。
また、意識を日本全国津々浦々の都道府県と政令都市の教育委員会の取組に向け、受験地に合ったアドバイスが必要と感じています。受験する皆様が合格を勝ち取り、実際の学校現場に赴任して学校教育の振興を図っていくことができるよう、私自身が学びと努力をしていきたいと考えます。
最後になりましたが、今年度の教員採用試験に真剣に立ち向かわれた皆様にエールを送ります。今、人類は危機の時代を迎えています。未来の予測が困難で、なおかつ目指すべき社会像が不透明です。地球規模でどうしても解決しなければならない問題が席捲しています。今こそ、教育の力によって人間主義の世界を創出すべき時がきています。
創価大学の通信教育で学ばれておられる皆様は、その最前線でかつ即戦力としてご活躍いただく尊いご経験と資質を持たれている方々と思います。なぜならば皆様は、現実社会の中で日々学び続けていく意味と大切さを知っているからです。創立者池田大作先生は『法華経の智慧』の中で「今の現実を離れずに永遠をみよ!」とご指導されています。共々に児童の幸福のため教育に邁進していきましょう。
はしもと かずお KAZUO Hashimoto
教職キャリアセンター指導講師
[ 職 歴 ] 国立大学附属小学校教官、小学校校長、地区校長会会長
[専門分野] 生活科教育
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