オンデマンドスクーリングだより「マクロ経済学・理論経済学Ⅰ」
経済学部 教授 小林 孝次
「マクロ経済学・理論経済学Ⅰ」のオンデマンドスクーリングを受講されている、あるいはこれから受講される皆さんに、1.全体の構成と概要、2.テキスト(スライド)の特徴を説明し、そして3.学習上のアドバイスをしておきたいと思います。
皆さんは、メディア授業の第1回から第5回までにおいて、すでにオンラインで講義を受講されていますが、そこまでの内容を整理するレポートが第6回で課せられているかと思います。ここまでの学習を通じて、実はレポート課題の第1課題をまとめられるようになっていますので、この段階でレポート課題の第1課題を仕上げておくことを強くお勧めします。
さて、オンデマンドスクーリングとしては、全体の授業でいうと第7回から第15回までの学習になりますが、マクロ経済学は経済理論ですので、毎回の授業の内容が積み重ねられていきます。そこで第7回のオンデマンドスクーリングでは、それまでの内容を理解されているかどうか確認しておきます。第1回から第5回までのメディア授業において学習してきたケインズ理論の基礎について復習・まとめをします。特に第3回から第5回のメディア授業における小テストのうち、計算問題は重要ですので、基本用語の解説とともに復習します。さらに類似の問題を小テストにおいて行なっていただき、第8回においてその解説をします。ここまでやっておけば、ケインズ理論の基礎、導入となるメディア授業での5回分の内容については、完全に習得できるかと思います。
そのうえで、第9回において、これまで学んだ国民所得決定モデルの基礎(45度線図理論、貯蓄-投資曲線図理論、そして乗数理論の3点セット)に財政部門を導入し、モデルを拡張します。
さあここまでの準備をもとに、第10回から第15回において、マクロ経済学、ケインズ理論の主要な部分、教科書のPart C、IS-LM分析を学びます。
まず、第10回・第11回では投資を独立投資ではなく、投資需要の重要な決定要因である利子率を導入して、投資関数を導きます。そのうえで生産物市場の均衡を表すIS曲線の理論を学習します。第10回では政府部門を除いてIS曲線の理論の骨格を、次に第11回において政府部門を加えたIS曲線の理論を展開します。ここでのポイントは、1.IS曲線とは何か、2.生産物市場の不均衡からの調整、3.IS曲線はなぜ右下がりなのか、4.IS曲線のシフトの4点です。
一国全体の経済活動について学ぶマクロ経済の世界では生産物市場だけではなく、金融の分野、貨幣市場も重要な市場として扱われます。まず第12回において貨幣に対する需要について学びます。次に第13回において、貨幣市場の均衡であるLM曲線の理論を学習します。第13回でのポイントは、1.LM曲線とは何か、2.貨幣市場の不均衡からの調整、3.LM曲線はなぜ右上がりなのか、4.LM曲線のシフトの4点です。
以上、IS曲線、LM曲線それぞれを理解したうえで、第14回において生産物市場も貨幣市場も同時に扱うIS-LM体系、すなわち両市場を同時に均衡させるGDPの大きさとそのときの利子率の高さを求めるIS-LM分析を行います。最後に、第15回において、景気をよくするための経済政策として金融政策や財政政策の効果を論じてまいります。
マクロ経済学は、経済理論ですので、メディア授業、オンデマンドスクーリングにおいても各回ステップバイステップで順を追って内容を拡張し、徐々に現実のマクロ経済全体の分析に近づけていきます。はじめは細かい部分は省き、理論の骨格となる最も主要な部分からはじめ、順に現実に向かって内容を拡張していきます。その手順は、カーナビや地図を用いて目的地に到着するために、まずは大まかな略図からはじめ、順に細かい部分も記載されたものを用いていき、最終目的地に到達するような手法です。
さらにこの授業においては、それぞれの回の理解が確実に進むように、トピック1つずつに対して、用語での説明、簡単な数式を用いた展開、数値例を用いての説明、さらにグラフを用いての図解と4パターンで学んでいきます。加えて各回の小テストの問題をもって確認をしていただきます。
この授業は、オンデマンドスクーリングですから、利点として何回も繰り返し、学ぶことができます。また、忙しい方にとっては、2倍速で視聴することもできるでしょうし、場合によってはゆっくりと視聴することもできるかと思われます。
ただし、各回の授業の内容は連続しておりますので、前後のつながりのない一話完結のドラマではありません。連続ドラマですので、途中で手を抜かずに学習を続けていただきたいと思います。最終回まで行ったときには、見晴らしの良い頂上にたどり着けることと思います。
なお、レポート課題の第2課題は、15回目の授業まで終われば、すぐできるはずですので、間髪入れずに仕上げておいてください。
著者としてはテキストをわかりやすいものになるよう努力しましたが、それでも難しいという声をときおり耳にします。よくわからないと思ったときは、まず最低10回は読んでみようと腹を決めてください。10回読んでもわからない時にはテキストが悪いと思っていただいて結構です。大学での学びですので、このくらいの努力はいとわないでください。
ともかくこのオンデマンド授業を通じて、1つひとつ理解が進むごとに学ぶ喜びが深まり、充実感を味わっていただけることと期待しています。仕事や諸活動で多忙ななか、皆さんは学びを続けられています。素晴らしいことだと思います。閉塞感が蔓延しているこの時代にあっても、こうした挑戦を通して、皆さんは、ワクワク感を感じながら人生を謳歌し、勝利されてゆくことと信じています。ワクワク感とは英語でSUPER FUNといいます。日本語にすると、“超楽しい”です。それでは皆さん、楽しんでください。
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