4タイプの「レポート作成講義」の概要
通信教育部 教授 有里 典三
最初に、2023年度からの「レポート作成講義の変更点と日程表」について申し上げます。これまで科目試験終了後に試験実施会場で開催していた「レポート作成講義」は、会場での科目試験が終了したことにより2022年度をもって終了します。今後は、形を変えて創価大学や地方会場での対面式(3月・4月・5月・8月)とオンライン方式(6月・7月・9月・10月・11月)を併用しながら開催する予定です。レポート作成講義の年間実施計画については以下の表をご参照ください(『スタディハンドブック 2023』p.133より引用)。
次に、2020年の初頭から顕在化したコロナ禍の蔓延によって、対面式の講義の開催が困難になりました。こうした教育環境の危機的状況を踏まえ、翌年の2021年4月から、「レポート作成講義」についても4タイプすべての内容を学光ポータル内に「WEBレポート作成講義映像」としてアップすることにしました。これらのオンデマンド講義は、現役の通教生であればどなたでも常時視聴することができます。通教生のみなさんにとってレポート学習を円滑に進めるための力強い味方となりますので、積極的な活用を心から期待する次第です。
では、続いて4タイプごとにレポート作成講義のポイントと概要についてご説明いたします。
最初の入門タイプの学習サポートのポイントは、(1)レポート学習の進め方と留意点、(2)レポート学習の前半(インプット段階)と後半(アウトプット段階)の学習課題、(3)それぞれの学習工程において、「読む・書く・考える」能力を高める基本的なアカデミック・スキルについて明確にすることです。
(1)では、①学術的なレポートと作文、エッセイ、小説との違い、②レポート学習の心得、③不正レポートと罰則、などについて説明します。
(2)では、前半のレポート学習の重点が、①「レポート課題の意味を的確に理解するためのスキル」と、②「テキストの内容を正確に読み取るためのスキル」の2点(=Aタイプの学習ポイント)にあることを示します。これに1週間、時間に換算すると15時間程度の学習量を割り振ることを指導します。それに対して、レポート学習の後半の重点は、③「論理的なレポートを執筆するためのスキル」(=Bタイプの学習ポイント)と、④「下書きを見直してレポートを完成させるためのスキル」(=Cタイプの学習ポイント)の習得にあることを示します。学習量は同じく15時間程度が基本になります。
(3)では、レポート学習の全工程で「読む・書く・考える」際に必要となる代表的なアカデミック・スキルをとり上げて紹介します。なお、入門タイプでは、レポート学習全体の工程を時系列的に総攬することに比重を置いているため、個々のアカデミック・スキルについてはA・B・Cタイプでより詳しく扱うことになります。
入門タイプの学習サポートは、3月・4月・5月の新入生ガイダンス終了後に対面式で3回、夏期スクーリング期間中の1期・2期・3期の初日の授業終了後に同じく対面式で3回実施する予定です。
Aタイプの学習サポートのポイントは、レポート学習の前半(インプット段階)の課題である(1)レポート課題の意味を的確に把握するためのスキルと、(2)テキストの内容を正確に読み取るためのスキルを分かりやすく説明することに置かれています。
(1)については、レポート課題のゴールをピンポイントで予測するために、①「出題の意図」や「要求されている解答の種類」を読みとるコツ、②「関連情報」をテキストのなかから見つけ出すコツ、③「考察条件」と「考察の種類」を正確に把握するコツなどを、具体例を踏まえながら説明します。
(2)については、①テキストの全体像をつかむための「トップダウン的な読書術」、②テキストの内容を正確に読みとるための「パラグラフ単位の精読術」、③レポート課題(問い)に対応した解答を探し出すための「探索型の読書術」、④思考を深めるための「批判的な読書術」など、4種類の学術的な読書術について解説します。また、こうした読書術と密接に関連する「読書メモ」のとり方や「情報カード」のつくり方についても説明いたします。
Aタイプの学習サポートは、6月と9月にオンライン方式で2回、夏期スクーリング期間中の1期・2期・3期の初日の授業終了後に対面式で3回開催する予定です。
Bタイプの講義ポイントは、レポート学習の後半(アウトプット段階)で最も重要となる(3)レポート全体を明確な論理に基づいて執筆するためのスキルを分かりやすく説明することです。
すなわち、①「レポート全体のアウトライン」(論理展開の流れを示した思考の見取り図といったもの)を作成し発展させるコツ、②レポート全体(2,000字)を「序論・本論・結論」の3つのパーツを意識しながら構造的に組み立てるコツ、③レポートを作成するときの基本単位となる「パラグラフ」(=およそ200~400字程度の意味の統一体)の特徴と要件、④分かりやすいパラグラフを作成するための「叙述パターン」の特徴、などに焦点を当てて講義を進めます。
この執筆段階の学習は通教生のみなさんがもっとも苦手とする内容であるため、ここで紹介するアカデミック・スキルをどこまで理解し使いこなせるようになるかで、提出されるレポートの完成度が大きく左右されるといっても過言ではありません。
Bタイプの「レポート作成講義」は、7月と10月にオンライン方式で2回開催するほか、夏期スクーリング期間中の1期・2期・3期の初日の授業終了後に対面式で3回開催する予定です。
最後のCタイプのレポート指導のポイントは、受講生に(4)下書きしたレポートを見直し磨きをかけて、完成させるための推敲のスキルを体系的に習得してもらうことと、(5)レポートの説得力を高めるための代表的な「論証形式」について理解を深めてもらうことに重点が置かれています。
(4)の推敲については、①論理構成面からの推敲、②文章作法に則った推敲、③原稿作法とルールに則った推敲に分けて、推敲作業の要点と具体的なスキルについて体系的に指導します。時間の余裕があれば演習問題を使って実践的に指導を行います。
(5)のアカデミック・スキルについては、④論理的な観点から見た「妥当な論証形式」とダメ論証との違いや、⑤学術的な文章のなかで頻繁に使用される「分類と定義」、「敷衍的な説明や例示」、「因果関係」、「比較・対照」のようなパラグラフ・ライティングの技法を中心に、具体例をあげて説明します。
Cタイプの「レポート作成講義」は、夏期スクーリング期間中の1期・2期・3期の初日の授業終了後に対面式で3回実施するほか、11月にオンライン方式で1回だけ実施する予定です。
以上
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