地域に根ざした難病支援ネットワークに
法学部法律学科 1994年年度卒業
三原 睦子さん(佐賀県在住)
佐賀県難病支援ネットワーク 理事長
私は、20歳代の時に、難病である「全身性エリテマトーデス」と診断をされました。診断されたときは、目の前にすぐ死があるようで、本当にショックでもがき苦しみました。数年ほどたち「どうせ死ぬなら自分のやりたいことをやろう」と考え直し、自分が行きたくても行けなかった大学で勉強し、病気で苦しむ人々のために貢献したいという思いで、通信教育部に入学しました。
認定特定非営利活動法人佐賀県難病支援ネットワークは、難病を抱えた方々が孤立している状況があるという課題を目の当たりにして、患者をひとりにしないために難病患者や家族への相談業務を柱として、患者ひとりひとりに寄り添い、患者が住み慣れた地域で就学、就労、結婚、医療、福祉サービス等の日常生活支援を支えるために、志を同じくした患者・家族・医療者・行政等の多職種で理事を構成し、「患者の立場に立った相談支援」を行うことを原点としています。
難病というと、寝たきり、地域には存在せず、医療機関や施設等におられるものと認識され、就学、就労もできないと思われている方が多く、難病に関する普及啓発がなかなか進まない状況があります。一方で、患者自身は、「治らない」という病気を抱えながら生活をしていかなければならず、病気を明かさずに就労され、疾患への配慮がない中で病気が悪化し退職せざるを得ない状況になり、就労継続ができない状況があります。また企業等でも、表面に見えづらい難病の方々に対して、配慮ができないなどの課題もあります。
難病患者が地域で普通に暮らしていける社会の構築が私たちの目的でもあります。私たちが行っている支援は、難病患者への心のケア、就労、手帳、障害年金、医療費など制度の情報提供、文字盤を使用したコミュニケーション支援など、関係機関との連携を通して患者の自立に向けた支援を行い、必要であればアウトリーチによる支援を行っています。また、相談を受け関係機関との会議を何回も開催することにより、情報や課題の共有を行うことで、次への支援につながります。
難病の数は、今指定難病に指定されているだけでも「330疾患」あり、同じ病気でも相談内容は個々に差があります。相談を受け課題を分析し、その克服のために提案型事業を行い、克服した事例や成果物(大規模災害時における難病患者の行動支援マニュアル等)を患者に還元させていただいています。
提案型事業には、難病患者の就労支援を充実するため、を雇用していただいている企業や中間支援企業、事業所、行政機関、患者などをパネリストとして登壇していただく『「就労支援シンポジウム」~あなたの働きたいを応援します~』を開催することで、難病患者の雇用を拡大していく取り組みを、毎年行っています。
さらに、大規模災害時における避難訓練などを開催し、難病や障害を理解してもらえるような取り組みを行い、日頃からの地域のつながりの大切さや自助・共助の在り方、災害が起きたときにどうすればいいのか、受援力の大切さなども学んでいただく良い機会となっており、行政とも連携して避難訓練に参加をさせていただいています。
私自身、産業カウンセラー、障害者相談支援専門員、サービス管理責任者の資格を取り、今はキャリアコンサルタントの資格、ヨガの資格に挑戦しているところです。
最後に、現在、通教で学んでいる皆さんに、“何のために学ぶのか”という原点を忘れず、学業に邁進していただきたい、常日頃から一生懸命人のために尽力する皆様のことを必ず見ていてくださる方がいることを信じて、自身の目的達成のために頑張ってほしいと心から念願いたします。
ページ公開日:2018年02月16日 17時37分