創価大学ニュース「SUN」108号 2021 Winter
コロナ禍によって、公演中止や観客数 制限といった影響を受けているエンター テインメントの世界。しかし、数々の苦 難を乗り越えて、今も発信し続ける表現 者の皆さんの姿に、私たちは大きな勇気 をもらっています。 そこで今回は、寄席の舞台だけでな く、大学の教壇にも立たれる落語家の 林家たい平師匠と、創価大学の教員で あるとともに音楽家としても活動する教 育学部の足立広美准教授に、厳しい状 況に負けず、前進するための心構えを 語っていただきます。 林家たい平師匠 :落語というのは、お客 さんとのキャッチボールで間が生まれる もの。リモートだと、何かが違うなと感じ てしまうのです。発せられた言葉がお客 さんに届いて、そこから生きた間が生ま れるので、コロナ禍によってそれができ ない状況はかなり厳しいものでしたね。 足立准教授 :舞台を見ることも一つのコ ミュニケーションですよね。コロナ禍に よってコミュニケーションの機会が喪失 し、多くの人が孤独感や不安感に苛まれ ています。本当に大変な時代ですよね。 たい平 :笑うこともできなくなるんじゃ ないかという状況でした。しかし、若い 落語家がリモートで落語を発信してくれ て、それをたくさんの人々が見てくださ り、落語をはじめとしたエンターテイン メントが多くの人の生きる力になってい るのだと実感できました。そして改めて、 元に戻る、コロナ前に戻らなければいけ ないという思いも強く持ちました。 足立 :私も、コロナ禍で音楽家として目 指していたコンクールや演奏会が全部中 止になりましたが、その時間を自分の音 楽の原点を振り返ることに活用しました。 何のために音楽をやるのか。音楽で人々 を励ますためではなかったか、と。そう した原点回帰が、コロナ禍で自分自身と しての希望を見出すために必要でした。 今はまだ、withコロナの時代を生きる ための正解を求めるというより、自分が できることに尽力するなかで、希望を見 出し、人にエールを送り続ける。それが、 表現者として努力すべきことなのかと 思っています。 たい平 :簡単に答えは出ませんね。リ モートで発信し続けることも大切だと思 いますが、お客さまがリモートに慣れて しまったら、「もうネットでいいや」と寄 席に足を運んでくださる機会が減ってし まうかもしれません。 大学もそうだと思うのですが、対面す ることの価値を忘れてはいけないと思う のです。ネットで授業を受けて、知識だけ ▲たい平師匠に学内の見学もしていただいた 04 リモートに慣れた今、 対面することの意味と大切さをもう一度考えるべき。 【 落語家 】 【 教育学部 】 足立 広美 准教授 林家 たい平 師匠 、人のぬくもりの大切さを伝えたい。 SUN108 2021 Winter
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