創価大学ニュース「SUN」108号 2021 Winter
05 たい平 :僕も大学の教壇に立っているの ですが、今年度はオンライン授業になる と聞いて断ろうと思いました。しかし、「リ モートでも何かできることがあるはず」と 思い直し、引き受けることにしました。面 白かったのは、通常の講義でも僕の授業 は履修生以外の “もぐり” が多かったので すが、オンライン授業になったら「家で 友だちと一緒に聞いている」とか「母が うしろで画面を見ている」という、リモー トを活用した新しい“もぐり”の形が広がっ たことです。大学側のオンライン授業の ルールで、発言する人以外は基本ミュー トにしなければいけなかったのですが、 講義最終日は学生とのつながりを感じた いと思い「、今日は全員ミュートを外して、 みんなの声を聞かせてくれよ」と言った んです。すると一斉にミュートが外れて 「たい平さん、ありがとう」と声が届いた。 もう、何だかわからないけど涙が出てき ました。リアルな声が、人とのつながり の尊さを呼び覚ましてくれたのかもしれ ません。ソーシャルディスタンスを保つこ とは大切です。でも、抱きしめたり、手 を握ったりといったことは、人間が生き るためにもっとも大切なことなんだと、 今だからこそ逆に教えなくちゃいけない とも思うんです。苦しいとき、辛いときに ギュッと誰かに抱きしめてもらえると、 そのぬくもりや力強さに心が満たされ る。人と会えない今だからこそ、人との つながり、温かさを僕たちが学生に伝え なければいけないし、学生たちもそうし た思いをどう自分たちのなかで育ててい くかを考えてほしいと思います。 足立 :私も、コロナ禍では自分で生き ▲落語研究会の学生が和室のある教室でご挨拶 「withコロナ」だからできることは、何か。学生時代にしかできない挑戦を。 受け取ればそれでいいじゃんとなったら、 それはすごく怖いことです。 落語ではよく「先生なんてただ先に生 まれただけの人」なんて言い方をしてい ますが、先に生まれた先輩がどういう生 き方をしているのかをリアルに学べる場 所は、子どもにとって学校という場所し かありません。これまで学校教育がずっ と価値あるものであり続けているのは、 対面する意味があるからだと思います。 歌だって、小鳥のさえずりや秋の虫の 鳴き声からインスピレーションを感じて、 自分も自然の一つとして発する音と、家 に閉じこもり1人で楽譜を見て歌うのとで は、明らかに表現が変わってくる。それ こそが本当に大切で、リアルに触れない と得られないものがあると僕は思うんです。 足立 :そうですね。表現には、生の出会 いや体験で感性を養うことが大切です。そ れはコロナの時代でも変わりませんよね。 たい平 :「新しい生活習慣」と言われま すが、人間が今まで積み重ねてきたもの の大切さは、忘れたり失われたりしては ならないと感じます。 足立 :学生もリアルな触れ合いを求めて いると感じます。春学期の授業はすべて オンラインで行われたのですが、「早く 学校に行きたい」というたくさんの声が 聞こえました。秋学期になってから対面 の授業が少しずつ増え、学生たちと週に 1回対面で会えるようになったんです。と にかく同じ空気を吸って人との関わりの 大切さを感じてもらいたいと、感染防止 対策を十分に行い触れ合いながら、対話 する時間を以前よりも増やしています。 たい平 :とても素晴らしい授業ですね。 学生たちの活き活きとした姿が目に浮 かびます。 なま
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