創価大学ニュース「SUN」102号 2019 Summer
「人類の平和を守るフォートレス(要塞) たれ」――この建学の精神に通じる取り 組みを体現している方がいます。それは、 イラン出身の女優サヘル・ローズさん。 8歳のときに養母と共に来日し、数々の困 難を乗り越え、現在、女優、タレントとして 多方面に活躍する傍ら、ボランティアや 講演などを通して、発展途上国で困難に 直面する子どもたちへ援助活動をしてい ます。 今回のスペシャル対談では、創価大学 で国際平和の分野で教鞭をとる法学部・ 中山雅司教授とサヘルさんが、「平和」に ついて語り合いました。 サヘル :私は先日、バングラデシュでスト リートチルドレンを対象とした青空教室 を開きました。彼、彼女らは路上で生活 し、貧困、暴力といった困難と常に隣り合 わせで暮らしています。一方で「ドクター になりたい」「政治家になって貧しい国を 変えたい」といった夢を、キラキラと目を 輝かせながら語ってくれました。平和が 当たり前でない状況が、子どもたちにい い意味での野心や情熱を育んでいるな と、肌で感じることができました。 中山 :サヘルさんのことは、戦争と平和に ついて考えるテレビ番組に出演されたの を見て知っていました。実は、授業で学生 にその映像を見せたこともあります。私 は平和について教えていて、まず世界で 何が起こっているかを知ることが大切だ と伝えています。短期、長期を問わず海外 に出て、世界を体感してほしいと願って います。私もアフリカに行って、世界の現 実を知りました。 サヘル :自分で旅して、においを嗅いで、見 て、触れて。言葉が十分に伝わらなくても、 現地の人々の訴えを五感で感じた記憶は、 腐敗することなく残ります。実際に足を運 んでリアルを知れば、例えばストリートチ ルドレンは「モノはなくとも、心まで飢えて はいないのだ」と発見できるはずです。 中山 :その通りですね。学生たちには、知 るだけでなく、異文化を背景とした人々の 立場や気持ちを感じ取れる“共感力”が大 事だと話しています。「人権」は権利という 意味では法的な概念ですが、これを「人 権とは胸を痛める心」といった哲学者が います。相手の苦しみに共感できること が人権の基盤には必要であり、平和を考 えるうえでも欠かせません。 サヘル :賛同します。日本で暮らす子ども も、紛争地の子どもも、生きる権利は平 等で、それを奪う権利は誰にもない。そ れなのに、世界には一部の人たちの利益 のために犠牲となる命があります。 中山 :常に犠牲になってきたのは、名もな い民衆でした。そういう人たちが誰一人 取り残されずに幸せに暮らせる世界をど うつくるかが課題です。 サヘル :そのためにも、世界で困っている 人たちの現状を知り、彼らが発する救難 信号をキャッチすることが大切ですよね。 若い方々には世界を旅しながら、“向き合 うべき人”を見つけてもらいたい。すると 「女性を守りたい」「学校をつくりたい」な ど、目標がクリアになるはずです。 五感で感じた世界のリアルは、一生忘れない財産になる。 ことが、平和への第一歩 02 SUN102 2019 Summer 【 法学部 】 【 女優 】 サヘル・ローズ さん 中山 雅司 教授
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