創価大学ニュース「SUN」102号 2019 Summer
自分の経験を伝えることで、苦しみの先にある平和を知ってほしい。 中山 :サヘルさんご自身も、著書などを 拝見すると壮絶な人生を歩まれていて、 胸が痛みました。困難の中で支えになっ たものは、何だったのでしょうか? サヘル :育ての母に恩返しをしたいとい う思いです。養子の私を、母は一度も手 放すことなく育ててくれました。人は血の つながりがなくても、深く愛し合うこと ができるのだと、母が教えてくれました。 そんな母が「もっと世界を自分の目で見 てきなさい」と言葉をくれたのです。自 分の人生が整ったことで満足せず、苦し んでいる人たちにちゃんと手を差し伸べ られる人間になりなさい、と。人から受 けたやさしさを次の人につなげることが 平和につながると思い、今、さまざまな 活動をしています。 中山 :何と偉大なお母様でしょうか。 サヘルさんの著書に、“自分が生まれて きたのは、自分にしかない経験を伝える ため”とありました。平和への貢献を使命 に活躍されている。創価大学の理念と通 じ合うものがありますね。 サヘル :私なりの平和を伝えていきたいと 思っています。世界中で苦しんでいる人た ちに、その場所だけがすべてでなく、乗り 越えたところに平和があることを知ってほ しい。平和とは意識改革だと思うのです。 中山 :解決のためには、政治や経済のレ ベルの援助も大切ですが、最終的には人 間が変わらないと社会は変わりません。 意識を変え、人を育てる教育の役割はと ても重要です。 サヘル :戦争のない世界をつくるのにもっ とも大事なのが教育で、ペンを握らせるこ と。戦争や紛争が起きたとき、まず図書館 や学校などが破壊される。それは戦争を 起こす人たちにとって、教育が脅威である ということ。教育は絶対に裏切らないと思 うので、世界中の子どもたちには武器より もペンを手に取ってほしい。そして、学ぶ ことの大切さを知ってほしいです。 中山 :本学も、UNHCR(国連難民高等弁 務官事務所)と難民高等教育プログラム の協定を締結し、難民の方々を受け入れ、 現在では3名が学んでいます。困難な状 況にある人々が安心して学べる場に創価 大学がなれればと思います。 サヘル :素晴らしい! “何かしなきゃ”と 使命感を持って、困難な課題に取り組も うとしている創価大学の皆さんのような 方々が、日本にはいる。それは胸を張れ ることです。私はそうした困難を解決す る活動の一つの目標として、日本から“難 民”という漢字をなくしたいのです。決して “難しい民”ではない、と。 中山 :そうですね。もっとそういった方々 の人間としての尊厳を守れる社会を目指 さないといけません。本学の卒業生も熱 い思いを持って、国際機関やNGOをは じめ、自らが置かれた立場でグローバル に活躍しています。 サヘル :皆さんと力を合わせて、より平 和な世界をつくっていきたいですね。 人は 血のつながりがなくても、 深く愛し合うことができる。 中山 雅司/Masashi Nakayama 1959年、兵庫県生まれ。創価大学大学院法学研究科博士前期課程修了。専門は 国際法、国際機構論、平和学。ナイロビ大学客員講師、ハーバード大学客員研究 員、創価大学助教授などを経て、2003年から現職。創価教育研究所所員。国際法 学会、日本平和学会、人間の安全保障学会会員、戸田記念国際平和研究所評議 員。共著に『地球市民をめざす平和学』『人権とは何か』(第三文明社)など。 サヘル・ローズ/ Sahel Rosa 1985年、イラン生まれ。8歳で来日。日本語を小学校の校長先生から学ぶ。舞台『恭 しき娼婦』では主演を務め、映画『西北西』や、主演映画『冷たい床』はさまざまな国 際映画祭で正式出品され、最優秀主演女優賞にノミネートされるなど、映画や舞台、 女優としても活動の幅を広げている。第9回若者力大賞を受賞。芸能活動以外にも、 国際人権NGOの「すべての子どもに家庭を」の活動で親善大使を務めている。 by サヘル・ローズ 03
Made with FlippingBook
RkJQdWJsaXNoZXIy NDU4ODgz