創価大学ニュース「SUN」104号 2020 Winter
創価大学の目指す「創造的世界市民」の 育成には、異なる人種や言語、文化を理 解する多様性の醸成が欠かせません。 一方で「多様性」は、障がい者をはじめ としたマイノリティーへの理解を表す言葉 として語られることも多くなっています。 そこで今回は、3つの日本記録を持つ陸 上プロ車いすアスリートである廣道純さ んと、教育学部の鶴田真紀准教授との対 談を通じて、「多様性」の持つ意味、そし てマイノリティーをどう理解するかを考え ていきます。 廣道 :僕が乗っている車いすをご覧に なってどうですか? よく「スポーツ用で すか?」と聞かれるのですが、これが僕 にとっての普通の車いすです。皆さんが イメージする車いすは、きっと病院や介 護施設などで使われている車いすでしょ う。実は、あれは車いすに慣れていない 人のためのもの。僕の車いすは、身体に 合わせてオーダーメイドされて、身体の 一部のように扱えるものになります。 鶴田 :とてもスポーティで、私も競技用 の車いすだと思いました。それ以上に、 廣道さんが、自由に学内を移動される姿 に驚きました。 廣道 :僕は15歳まで健常者として生活 をしたあと、車いすで暮らす障がい者と してマイノリティーの世界に足を踏み入 れました。実際自分が障がい者になって 感じているのは、「健常者のときよりも 今の方が羽ばたけているな」ということ です。世の中の皆さんはそれを知らずに 「車いすは不便で大変」と思う。だから 1人で動き回る姿や階段を下りる姿、さら には1人で車や電車、飛行機に乗って移 動している姿を見てもらい、普通にでき るんだということを知ってもらうことがと ても大切だと考えています。 鶴田 :この対談のテーマである「多様性」 は、社会において他者とともに生きてい こうとする思考であり、そうした生き方な のではないかと、私は思うのです。しか し、「多様性」という言葉が今、異なる2 者をカテゴライズする言葉になっている ように感じます。 例えば教育において、“障がいのある子 ども” を一律にそのカテゴリーでしかとら えず、本来その子が持っているものまで も捨象してしまうような場合があります。 そもそも “障がいのある子ども” というカ テゴリーは、本人が選んだものではなく、 周りの大人や社会がつくったカテゴリー ですから。 廣道 :そうですね。子どもたちは障がい を持つ同級生に対し、一緒に遊んでいる うちに “壁” が一切なくなって、仲間とし て自然に溶け込んでいき、「多様性」を教 えなくても自然に実践できていますよね。 生活の中で「この子は手伝う必要がある んだ」「この子は放っといても大丈夫なん だ」というようなことを自然に感じ取って 柔軟にサポートするんですよね。 「多様性」とは、皆が他者とともに生きていく思考であり、生き方。 える。 06 【 教育学部 】 鶴田 真紀 准教授 【 プロ車いすアスリート 】 廣道 純 さん SUN104 2020 Winter
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