創価大学ニュース「SUN」107号 2020 Autumn
06 一つの側面から解決できる社会課題は少ない。 もっと視野を広げる体験を! 野村 佐智代 / Sachiyo Nomura 明治大学大学院博士後期課程修了。博士(経営学)。財務管理論、環 境経営論が専門。長年、企業の環境活動に着目し、企業財務や金融 市場の視点から評価、考察している。英国暁星国際大学専任講師、 埼玉学園大学准教授を経て、2010年より創価大学経営学部准教授 に在職。 渡部 カンコロンゴ 清花 /Watanabe Kankolongo Sayaka 1991年静岡県生まれ。大学時代はバングラデシュの紛争地にてNGO駐在員、国連開発計画(UNDP)イン ターンとして平和構築プロジェクトに携わった。2016年、難民の仲間たちとWELgeeを設立。英語より得意 なのはバングラデシュの先住民族語。グローバル・コンソーシアムINCO主催「Woman Entrepreneur of the Year Award 2018 (女性起業家アワード2018)」で、グランプリ受賞。東京大学大学院 総合文化研究 科・人間の安全保障プログラム 修士課程修了。トビタテ!留学JAPAN1期生。内閣府世界青年の船事業第 24回代表青年。WELgeeホームページ :https://www.welgee.jp/ by 渡部 カンコロンゴ 清花 で必要とされる医療の知識もなければ、 農業の経験もないし福祉政策もわかり ません。何のスペシャリストでもないこと にコンプレックスを抱く反面、自分の専 門分野以外で課題を見つめる角度がいく つもあると知り、視野が広がったのです。 野村 :現場と学ぶ場所を行き来して視野 を広げ、さらに学びを深めるというサイク ルを経験するには、大学という場はとて ▲ 逆境を乗り越えてきた難民の方が自分の経験を語る姿 野村 :私の専門である「環境マネジメン ト」の授業で、学生に繰り返し伝えてい る三つのキーワードがあります。一つ目 は「パーパス:目的」。本学には創立者 の言葉で「英知を磨くは何のため 君よ それを忘るるな」という言葉があります。 学生には常に自分自身に、なぜ学ぶのか、 なぜこれをするのかと目的を問いかけて ほしいと思っています。二つ目が「バック キャスティング」。“ありたい姿・あるべ き姿” から“今” を考えるという言葉です。 本学の学生は志が高く、「常に人のため に」という思いが強いのですが、そのた めに必要なスキルを身につけましょうと いう意味です。 3番目が、最近よくキーワードとしてあ げられる「レジリエンス:折れない心」。 今のコロナ禍のような事態や災害といっ た大変な状況を、跳ね返す強い力を持っ てほしいと願っています。 渡部 :「レジリエンス」については、難 民として日本に来た人たちから学ぶこと が多く、そういった学びを広めるには、 オンラインは有効な手段だと思っていま す。WELgeeでは1カ月に1回、難民の 人たちと対話できる場をつくっていたの ですが、今はそれをオンラインにシフト して開催しています。オンラインでも人 間的なつながりを生み、感覚的な何か を伝え、人に気づきを与えられると考え ているからです。 野村 :そうですね。大学も今はオンライ ン授業が中心なので、学生にはオンライ ン・オフラインを問わず、できる限りい ろいろなつながりを持って、気づきを得 てほしいですね。 渡部 :これまでの自分自身やWELgee の活動を通じて、若いからこそできるこ もいい環境ですよね。 渡部 :はい。多文化共生論も国際労働 力移動論も授業で学びましたが、偶然出 会った日系ブラジル人の子たちの話を聞 いてリアルな彼らの思いや問題を知り、 「この子たちの在留資格はどうなるんだろ う」と、私の頭にはたくさんの「?」が浮 かびました。その「?」を持ち帰ると、 教科書の内容や先生の話が全然違うよう に見えてくるんですよね。 野村 :私も、そう思います。私のゼミで は「エコプロダクツ展」という環境展に 毎年参加しているのですが、実際にプロ ジェクトを動かすことで、教室と現場の行 き来を学生たちは体験しています。インタ ビューなどのフィールドワークで実際の現 場を知り、教室に持ち帰って理論と照ら し合わせ、アイデアを練っているんです。 とは多いと実感しています。若いからこ そ、人とつながり、気づきが生まれる可 能性があります。私自身も難民問題の解 決に向けて、若い人に負けずにいろいろ な人とつながり、グッドプラクティスを つくっていきたいです。 野村 :渡部さんのお話を学生に伝え、 本学からもグッドプラクティスを広げて いきたいと思います。 渡部 :ぜひ、よろしくお願いします! SUN107 2020 Autumn 「目的」「志を叶える力」、そして「折れない心」で、社会課題に挑む。
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