創価大学ニュース「SUN」107号 2020 Autumn

05 渡部 :新型コロナウイルス感染症による 経済的な打撃は、日本で難民申請をして いる人々に壊滅的なダメージを与えてい ます。そのバックグラウンドを理由に、 明日生きるために、ブルーカラーの仕事 に就く難民申請者たちが、2月以降、根 こそぎ職を失っているのです。  そうした状況を改善するためにも、 WELgeeの事業の柱の一つ「就労伴走事 業」の大切さを感じています。日本に難 民として逃れてきた人たちに企業で就職 する道をつくるもので、紛争・テロ・迫 害を乗り越えた難民の人たちのパッショ ン、可能性、経験を価値に転換できる企 業とマッチングしています。今はまだ企業 への経済的な打撃も大きいので地道な活 動にはなりますが、グッドプラクティスを つくり、それに共感していただける企業 を増やし、アフターコロナ時代の価値に していきたいと思っています。 野村 :本学でも渡部さんの言うグッドプ ラクティスの基礎になる学習の機会を提 供しています。それは、経営学部の2年 生全員が履修する「人間主義経営演習」 というゼミです。「人間主義経営」とは、 一人ひとりが持っている無限の可能性や 力を活かすこと。将来そうした経営を実 践していくことを目指しています。授業 では活躍中の経営者の方々、卒業生に 講演していただいて視野を広げ、その話 をもとにグループワークの形で社会的な 問題を解決するアイデアを考え、プレゼ ンテーションを行います。ゼミを通じて、 「人間主義」を実践できるリーダーを育 てているのです。 渡部 :視野を広げる体験はとても重要 ですね。社会のいろいろな課題を見たと き、一つの側面から解決できることは本 当に少ない。それどころか、今のコロナ 禍もそうですが、誰かが解決策を知って いる課題などないわけです。私自身は 大学のとき途上国支援のゼミに在籍し、 現地で2年間暮らしました。ところが現地 ▲ 難民の方と会社見学に行くことも ▲ 「緑に囲まれた気持ちいいキャンパスですね」(渡部さん) 「現場」と「学び」の場を行き来し、多角的な視野を持つ。 います。  その一方で、日本では外国人雇用に足 踏みする企業がまだ多いのが現状です。 これからはそういった企業が一緒に最初 の一歩を踏み出せるようなプログラムを、 積極的に提供したいと考えています。 野村 :環境活動に対する意識の高いヨー ロッパでは、数名で組織されたNPOや NGOが大企業とパートナーシップを組 んでいます。小さな組織が堂々と大企業 と渡り合ってSDGsの取り組みなどをけ ん引しています。小さな組織が世界のグ ローバルスタンダードをリードしている のが、今の世界の潮流と言えるのかもし れません。 コニカミノルタのような「アンテナが 高い」企業は、環境問題はもちろん、 難民問題をはじめとしたSDGsの複数の テーマを意識しているのだなと、渡部さ んのお話に改めて教えていただきました。

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