創価大学ニュース「SUN」111号 2021 Autumn

学 問 探 訪 山﨑 めぐみ 准教授 【 教職大学院 】 SDGsの目標達成のために、 社会問題の背景にある価値観を「知る」行動を。 今回のSUNのテーマとなっている 「SDGs」は、社会に広く知られつつありま す。その背景には、新型コロナウイルス感 染症による世界的なパンデミックにより、 人が人を思いやる大切さを誰もが実感し たためでもあるのではないでしょうか。し かし一方で、紛争や差別、迫害に関する 悲しいニュースは途絶えることはありませ ん。そこで今回は、本学の教職大学院で 人権教育を研究される山﨑めぐみ准教授 に、SDGs時代における人権教育について 教えていただきます。 「貧困をなくそう「」質の高い教育をみん なに「」ジェンダー平等を実現しよう「」平 和と公正をすべての人に」―SDGsが掲 げる17の目標を並べてみるだけでも、持 続可能な社会の実現には人権に関する深 い理解が必要であることが見えてきます。 山﨑准教授も、人権について興味・関心 を持ち、自ら学び、自分なりの行動を起こ すことが大切だと提言します。 「SDGsというと、日本ではまだまだ環境 にまつわる話題が多いように感じます。日 本に住んでいると人権に関する問題をあ まり身近に感じることができず、環境問 題が学校教育に取り入れやすいからでは ないでしょうか。でも、そこから一歩踏み 出して、社会―自分の身の回り、そして 世界では何が起きているのかを意識して ほしいと思います。 例えば、紛争・内紛・差別・迫害は、決 して許されないこと、許してはいけないこ とです。しかし、そのきっかけが、場合に よっては『文化を守るため』といった社会 的・文化的権利として生じていることもあ ります。2つの立場を別々の観点から見れ ば、そこに善悪はなく、それぞれが『正し い』。だからこそ、人権教育という機会を使 い、自分の価値観を共有し、相手の価値観 を理解する方法を学び、そのうえで、とも に新しい考え方、価値観をつくり出してい こうという行動を起こす必要があります」 環境問題も深く掘り下げていくと、環 境に対する考え方や態度が文化的背景で 異なることが原因となって対策が進まな いケースもあります。例えば、経済的基盤 が整っていない途上国では生計を立てる ために、唯一の資源である自然環境に頼 らざるをえない状況があります。それが 地球温暖化につながることだと知らず、 日々の営みを維持する行動として森林を 伐採している人もいるのです。 プラスチックの削減といった身近なこ File 28 創大の とから行動を起こすのは大切なことだが、 それと同じぐらい社会課題の背景にある 「価値観を理解」するという行動も、重要 だということ。創価大学には人権問題やS DGsに取り組む学生団体が数多くあり、 そうした学生たちの「知ろう」という行動 は持続可能な社会をつくるために欠かせ ない行動だと山﨑准教授は語ります。 「知ろうとしなければ、その人にとっては 問題が存在しないのと同じです。自分の 考えや行動は何が基準なのか。他者の考 え、行動は何を基準にしているのか。それ らを理解しようとする姿勢を持ち、共生 のための新しい『第三』の考え、行動を一 緒につくり出すことを意識した行動が、私 たち一人ひとりに求められています。自分 が興味を持てる分野、守りたい人権、ある いはSDGsの目標は何なのかを改めて考 え、力を注げるものを見つけて、知って、 行動してもらいたいですね」 13 [ テーマ ] SDGsと人権教育 Megumi Yamasaki ▲人権教育とSDGsの関係図 判 断 力 + 実 践 的 な 行 動 力 知 識 持 続 可 能 性 + 人 権 感 覚 ( 気 づ き ・ 葛 藤 ) 人権教育 文化的 側面

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