創価大学ニュース「SUN」105号 2020 Spring

03 あるとき私が女の子を支援したいとウガ ンダのスタッフに話したら、「りえこ、女の 子を支援するということは、国を支援す ることなのだ」と言って、とても喜んでく れました。高等教育を受けた女性は地元 に戻ってきて土地の人のために貢献をし てくれるのだそうです。 佐々木:子どもたちの支援として、SPJで はメンタルヘルスケアに大変丁寧に取り 組まれているとうかがいました。 鈴木:アフリカの貧困層には、内戦・虐殺、 あるいはエボラ出血熱といった病気に よって、もといた国に住めなくなった難民 がいます。そうした人々が私たちの支援 する難民居住区にたどり着き、少し落ち 着いたところでメンタルのケアをします。 トラウマを解消するために、あえて辛い記 憶を引き出すのです。すると、みんな泣く のです。でも、泣くことがトラウマ解消へ のステップになる。過去を消すことはでき ないけれど、自分の人生の1つとして受 け入れることは、今後、前向きに生きて いくためには欠かせないことなのです。 佐々木:涙を流せるというのは、それだ け安心感があるということですね。子ど もたちがありのままの自分を出せる場は、 丁寧に寄り添いながら活動をしないとつ くることができないのですね。SPJの活 動を撮影したビデオを拝見して、鈴木さ んが泣いている難民の子どもの背中をさ すられている姿がとても印象的でした。 鈴木:現地で活動しているときはもちろ んですが、離れているときでも「あなた たちは1人だと思わないでね。遠い日本 でもあなたたちのことを考えている人が いるのですよ」と伝えられる関係が、子 どもたちの励みになると感じています。 佐々木:実は看護学部の私のゼミ生が、 4年生の卒業研究でザンビアの難民キャ ンプに行き、心のケアについて調査をし ました。その結果、判明したのは内戦直 後にあったPTSD※や心理的トラウマと は別に、難民キャンプでの長期の生活 で抑うつ症や不安症になっていることが わかりました。その割合は、なんと9割。 心のケアは支援の中では優先順位が低 いものですが、子どもの心のケアを優先 的に取り組まれている点は未来に向かう 大切な取り組みだと感じました。 鈴木:支援先の政府に難民支援をした いと伝えると、職業訓練をやってほしい、 ITの学校をつくってほしいといった要望 を受けます。しかし教育活動が効果を 発揮するのは、子どもたちの精神状態が 安定してこそ。まずはメンタルヘルスケ アが一番だと思っています。 ▲写真は鈴木さんがアフリカから持ち帰った マラウイの石けんとルワンダバスケット。SPJ はバオバブのオイルや石けんの製造販売など をサポートし、アフリカの貧困層の自立支援 にも取り組んでいる。 ※PTSD(Post Traumatic Stress Disorder)心的外傷後ストレス障害

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