04 SUN105 2020 Spring 「アフリカの実情を知って、 若者たちに、自分に何ができるかを考えてほしい」 佐々木 諭 / Satoshi Sasaki 新潟県出身。創価大学法学部卒業、創価大学法学研究科博士前期課程 修了。新潟大学大学院医歯学総合研究科博士課程修了、博士(医学)を 取得。1997年から2000年までNGO職員としてルワンダに赴任、2000 年より2007年までJICA専門家として、ザンビアの貧困地域の保健プロ ジェクトに従事。現在、創価大学看護学部教授、GCPディレクター。専門 は、国際保健学、疫学。 ▲南スーダン難民支援事業の現場にて 鈴木りえこ/ Rieko Suzuki 北海道出身。日本女子大学文学部卒業後、イギリス留学を経て株式会社電通総研に入社。1992年から1 年間休職し、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス大学院にて国際関係論の修士号を取得。復職後、研究 部のチーフプロデューサーや主任研究員として政府や企業からの受託プロジェクトなどに取り組む。2004 年に夫・北岡伸一(現JICA理事長)に同行してニューヨークへ行き、ミレニアム・プロミス創立者で当時の国 連事務総長特別顧問であるジェフリー・サックス教授夫妻らとともにアフリカを訪問したのをきっかけに、 ミレニアム・プロミス・ジャパン(SPJの前身)を設立。 http://sdgspromise.org/ by 鈴木りえこ 佐々木:常に現場に入って活動されてい る。そういったところから、現地の人々の 真のニーズを理解し活動に反映されてい るのですね。 鈴木:私は好奇心旺盛なので、自分で見 て、聞いてみないと納得できないのです。 一方で、若い人を育てる活動もしていま す。例えば有志の学生によって構成され た「ミレニアム・プロミス・ジャパン (MPJ)ユース」に参加する学生とともに現 地に行くこともあります。私は以前、日本 国内のシンクタンクに勤めていました。そ のとき、日本の若者は将来に希望を持っ ていないというデータがありました。だか ら自分たちを不幸だと感じている今の若 い人たちに、アフリカの実情を見てもらう ことで、自身の環境が恵まれていること に気づいてほしいのです。アフリカの子ど もは学校へ行きたくても行けないし、字 の読み書きができないことも多い。日本 は教育面ではかなり恵まれているので、 まずはそれを理解してもらいたいです。 佐々木:学生が海外へ行き、特にアフリ カなど日本とは大きく異なる環境で、異 なる価値観や文化に出会うことは、本当 に貴重な財産になりますし、将来につな がるビジョンを広げる機会にもなります。 創価大学でもできるだけ多くの学生が海 外で学ぶ機会を増やそうとサポートして います。今では毎年約900名(学生数の 11.6%)が留学・海外研修(単位認定を 伴うもの)を行っています。 創価大学が目指す教育理念の1つとし て、「世界市民」の育成というものがあり ます。その根底の1つが、鈴木さんのお 話にもあった、苦しんでいる人と同じ立 場に立って、その人の思いに寄り添いな がら自分を見つめていくことです。 鈴木:世界に出るためには語学力はとて も大事です。しかし、英語がいかにでき ても、中身がなければ何も伝わりません。 自分のビジョンが必要です。自分がリー ダーだったら何ができるかといった、自分 の意見を若者に持ってもらいたいですね。 佐々木:本学の「GCP(グローバル・シ ティズンシップ・プログラム)」では、まさ にそうしたビジョンを養うための授業を 行っています。2年生の秋学期で、世界 の課題に学生の立場で実現可能な解決 策を提示する授業があります。例えばあ る年の学生グループは、インドでは貧血 が妊産婦の主な死亡要因となっている 課題に挑戦しました。どうしたら貧血を 予防できるかを考え、昔の日本では鉄鍋 や鉄瓶を使うことで自然に鉄分を摂って いたという風習を知り、応用しました。 「鉄なす」というなすの形をした日本の工 芸品を料理する鍋に一緒に入れることで 鉄分を摂取するプロジェクトを考えたの です。さらにその学生たちは、実際にイ ンドへ行ってプロジェクトを実施しまし た。学生がどんどん力をつけてたくまし くなっていく姿を見ると、私たち教員とし ては大変嬉しいですね。 鈴木:実際に現地で活動をすることは、 とても素晴らしいですね。やはり現地に 足を運んで、いろいろな経験をすること で視野が開け、自分の軸ができると感じ ます。SPJの活動に参加した学生たちは、 国連をはじめとした国際機関で働いてい たり、外務省やJICA(国際協力機構)の スタッフとして支援活動に携わり続ける など、大きく羽ばたいています。もちろ んそのなかには創大生もいます。 1人でも多くの学生が世界に対しての 好奇心を持ってくれれば、それだけ世界 は豊かになると思います。 語学力とともに、伝えたい自分のビジョンも養うべき。
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