創価大学ニュース「SUN」112号 2022 Winter

これまでも生命に関する新しい可能性を解き明かしてきた 生命科学。その手がかりとして従来は「ゲノム(遺伝子)」「タ ンパク質」が注目されてきましたが、生命を構成する第3の 鎖である「糖鎖」を読み解くことで、さらなる未知の領域に 歩みを進めることができると期待が高まっています。しかし、 「糖鎖」は構造が複雑なことから分析に時間がかかるなど高 い専門性が必要であり、さらなる研究推進の道のりは平易で はありません。 そうした状況を打破して一層の「糖鎖」研究を進めようと開 始したのが、「ヒューマングライコームプロジェクト」です。同 プロジェクトは、国が策定した「学術研究の大型プロジェクト の推進に関する基本構想ーロードマップ2020」にも選定さ れ、国内外から期待の声が寄せられています。「ヒューマング ライコームとは、ヒトの網羅的糖鎖情報を意味し、本プロジェ クトは20,000人規模の糖鎖情報データベースの構築を目指 しています。これまでも糖鎖情報のデータベースはありました が、数万規模のサンプルを標準化されたプロトコルで解析し た例はありません。このデータベースを完成後、国内外の研 究者・研究機関に公開することで、次世代生命科学への飛 躍的な発展と、医療・ヘルスケア革新の実現を目指します」 (糖鎖生命システム融合研究所 木下フローラ聖子副所長/教授) 本学の糖鎖生命システム融合研究所は、東海国立大学機 構並びに自然科学研究機構とともにプロジェクトの主要拠 点として、このたび「文部科学省共同利用・共同研究拠点(糖 鎖生命科学連携ネットワーク型拠点)」に認定され、糖鎖生 命科学と情報科学を融合させるフィールドを担います。私立 大学がこうした国家プロジェクトの主要研究拠点に選ばれる 例は少なく、本学の研究力が高く評価された形になります。 「本学では15年以上前から生命科学と情報科学の融合を目 指していました。実は『融合』は大変難しく、研究領域が異な ると『常識』すら異なり、研究者同士の話がかみ合わないこと が多々あります。しかし、これからの生命科学の発展には情報 科学の知識が欠かせないと考え、時間をかけて双方の研究者 が共通言語で話せる環境を整えました。糖鎖と情報科学の専 門家が協働する研究所は、現時点では本学が唯一だと言える でしょう」 (糖鎖生命システム融合研究所 西原祥子所長/教授) 2022年4月から 本格始動する本プロ ジェクトが、どんな新 しい生命科学の扉を 開くのか、ご注目くだ さい。 糖鎖とは細胞表面やタンパク質に結合している糖が鎖状につながった構造。糖鎖 はCOVID-19をはじめとしたウイルス感染の窓口となるほか、がん発見のマーカー になることがわかってきており、遺伝子やタンパク質だけでは達成できない病気の 理解・治療・予防が、糖鎖情報を加えることで可能になると期待されています。 生命科学の可能性を「糖鎖」で拓く 国家プロジェクト 『ヒューマングライコームプロジェクト』に 主要研究拠点として参画 世界市民教育 ヒューマングライコームプロジェクト 11 細胞A 細胞B 細胞C TOPIC ▲ 2021年11月11日に文部科学省記者会見室に おいて、東海国立大学機構並びに自然科学研究機 構とともに記者会見を実施。 Focus 創大 Human Glycome Project 糖鎖生命システム融合研究所 写真左:西原祥子所長、右:木下フローラ聖子副所長

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