創価大学ニュース「SUN」113号 2022 Spring

差異を恐れ、排除するのではなく、そ れを受け入れて、成長の糧とすることだ と。大空の教育は、「勇気」を育む教育 だと感じました。分断が進む今の世の 中では、受け入れる「勇気」は社会でこ れまで以上に求められる力です。 木村:私も同意見なので、とても嬉し いです。大空の卒業生も創価大学に進 学しているのですが、そうした「勇気」 を育む教育をなされている大学がある ことに、とても安心しています。 鈴木:教育は、世の中を効率よく回す ための手段ではなく、一人ひとりの人間 が自分自身の可能性を開花させる場で なければいけないと、先生とお話をさ せていただき、改めて強く感じました。 創価大学は「Discover your potential 自分力の発見」というステートメントを 掲げています。学生のための教育を実 践し、学生一人ひとりの可能性を開花さ せる大学でありたいと思います。 04 のです。大空では、そういう学びを実践 されているのですね。 木村:自分の成長を実感することは、 子どもにとって欠かせません。ですので、 児童の失敗が成功体験に変わるように しています。また大空では、「自分がさ れて嫌なことは、人にしない。言わない」 という「たった一つの約束」があります。 当たり前のことですが、この約束を人は 破ってしまうのです。子どもだけでなく、 大人でも。この約束を破ったとき、大空 では罰も、説教もありません。ただ、自 分のために「やり直し」をします。その 方法は、「やり直し」場所になっている 校長室に児童1人で「やり直しをしに来 ました」と言いながらやってきて、その 場にいる人に、自分のしてしまったこと を話すことで、失敗をやり直すのです。 この「やり直し」をすると、児童にとっ てその失敗は成功体験に変わります。そ うした経験を繰り返すことで、自然と他 人を思いやる人に成長し、6年生になる ころには後輩に憧れられる存在になり、 自分と違う児童にレッテルを貼って差別 をすることもなくなります。 鈴木:本学の教育が目指す「世界市民」 の条件として、創立者である池田先生 は「知恵」「勇気」「慈悲」の三つに分析 しています。そのうちの「勇気」とは、 ▲子ども自らやり直しに校長室に 来たとき笑顔で迎える木村さん ◀ オンラインで木村さんと 語り合う鈴木学長。 ついつい熱が入った 口調になる by 鈴木 将史/Masashi Suzuki 木村 泰子/Yasuko Kimura 大阪府大阪市生まれ。「すべての子どもの学習権を保障する」という理念のもと、教職 員や地域の人たちの協力で設立された大阪市立大空小学校の初代校長として2006 年に就任。2015年に 45年間の教職歴をもって退職。現在は、映画「みんなの学校」の 上映会とともに、全国各地で講演活動を行う。著書に、『「みんなの学校」が教えてくれ たこと』がある。 東京大学理学部数学科卒業、同大学院博士課程単位取得満了退学。愛知教 育大学数学教育講座助手・助教授を歴任。2007年より創価大学教育学部児 童教育学科教授。国際協力機構(JICA)数学教育専門家としてカンボジアへ 渡航多数。2022年4月、創価大学学長に就任。専門:確率論、算数・数学教育、 発展途上国の数学教育。 SUN113 2022 Spring 「すべての子どもが自分らしく 育つことができる社会を、つくっていきましょう」 木村泰子さん

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