創価大学ニュース「SUN」119号 2023 Autumn

学問 探訪 内海 友子 准教授 【 国際教養学部 】 データの先にいる現地の人々に思いを馳せ、 開発途上国の抱える問題を自分事として考える力を育む 「学びたい」が見つかる―。本学の受験生 向けサイトのキャッチコピーです。この言葉が 示すように、創価大学・創価女子短大での学 びは、学生の未来の可能性を広げるために 何を学ぶべきかを見つけることをゴールに置 いています。特に本学には、社会に貢献した いという夢を胸に抱き、多くの学生が進学し ています。そこで、今回の学問探訪は開発途 上国が抱える課題について経済学の視点 から考察する「Development Economics」 の授業を一例として取り上げます。実際に学 生がどのように未来の可能性を広げていっ ているのか、見ていきましょう。 今回、お話をうかがう内海友子准教授の 専攻は、開発経済学。経済学と聞くと難しい 数式を使い、世のお金の流れや景気の行く 末を解明する学問というイメージがあります が、内海准教授はそうした固定観念を解い てくれます。 「経済学とは“人間がどのように意思決定す るのかを学ぶ”学問であり、開発経済学は発 展途上国が抱える貧困、経済格差、教育、 保健、労働、移住、金融、ジェンダー、紛争 など、さまざまな課題について、経済学の理 論や分析手法を用いて解決方法を研究する 分野です。『Development Economics』の 授業では、事例をもとに貧困層が抱える問 題点と原因を考察し、どのような対応策が 効果的なのか、ディスカッションを行う機会 を設けています。貧困問題などを考える際、 データだけではなく、その先にいる人々のこ とまで思いを馳せられる想像力も大切です。 さまざまな国から集う学生同士のディス カッションを通して、それぞれの国での実際 の経験や考え方からお互いに学び合うなか で視野が広がり、世界の諸問題をより身近 に捉えられるようになったとの声を聞きま す。創立者はかつて、貧困問題の解決のた めには『運命を共有する“地球社会の隣人” としての自覚と責任』を一人ひとりが持つこ とが大事だと仰いました。授業を通じて世 界の課題をアクティブに学び、1人でも多く の学生が世界市民として社会に貢献する きっかけを得てほしいと願っています」 内海准教授が開発経済学の学びを深め たのも、社会に貢献したいという思いから だと振り返ります。きっかけは、高校時代に 読んだ創立者と「平和学の父」として知られ るヨハン・ガルトゥング博士の対談。そこで 「戦争がないことだけが平和ではなく、差別 や貧困というような社会の“構造的暴力”が なくならない限り、平和ではない」という考 えを知り、貧困をはじめとした開発途上国 のことを学び、構造的暴力の解消に貢献し たいと決意したそうです。 「開発分野でも、多様な貢献の道があるこ File 35 創大の とを学生たちに紹介しています。途上国支援 というと国際機関やNGOといった道が思い つきやすいと思うのですが、授業では民間企 業で何ができるかという点についても触れる ようにしています。例えば、コーヒー豆は、途 上国で生産されるものの、そのほとんどが先 進国の人々によって消費されています。コー ヒー豆を輸入する先進国の商社が、民間企 業としてどのように途上国の生産者と関わ り、すべての人にとって持続可能なビジネス になるよう寄与しているかについて学ぶ授業 もあります」 実際にゼミの1期生には、将来的な社会 貢献の道を視野に入れながら、IT系の企業 に就職しスキルを高めている卒業生や、イギ リスのサセックス大学で開発経済学の修士 課程を学ぶ卒業生がいるといいます。 「国際教養学部はリベラルアーツの学部で す。経済学だけでなく、哲学・歴史・社会学 など、多様な学問を学べます。将来やりたい ことが決まっている学生も、漠然と社会に貢 献したいという思いはあるけれども、具体的 な道がまだ決められていないという学生も、 それぞれが可能性を広げていける場所です。 大学生活でいろいろなことに興味を持ちな がら、難しそうだと思ったことにも挑戦し、 世界の発展に貢献していける力を磨いてもら いたいです」 [ テーマ ] “社会に貢献したい” という夢へ導く 開発経済学 Tomoko Utsumi 13

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